【物憂げな空】
空を見上げて、ため息をひとつ。
「降りそうだなぁ。」
洗濯物は、また部屋干しか。
仕方ない事とは言え、少しだけ青空が恋しくもなる。
「ゆっくり、休むかぁ。」
家の中で出来る事だってあるのだ。
『毎日、良い天気が続いたら、何も育たないよ。たまには、雨も降らないと。』
大好きなあなたが言う事に、嘘はない。
嘘だったとしても、自分は信じている。
「…か、ずま。さむ、い。」
体温が高めの自分に抱きつくように伸びてくる腕が、思うよりも冷たくて焦る。
「冷たっ!何で!?」
少し離れただけで、こんなに?と思う程の冷たさに、急いであなたを布団に納める。
「トイレ行ってきたの?」
布団の中で抱き締めて、背中を擦る。
「急に、布団、剥ぐから。」
奥歯がカタカタと鳴っている様な音がして、枕元に常備してある体温計を引っ掴む。
「奥歯ガタついてんね。風邪引いたかな?」
天気が悪い日は、体調を崩しやすいあなた。
「…うん、ちょっと低いね。暖かくして過ごそう。」
いつもより低い体温を示す体温計。
「お腹は、空いてる?」
エアコンを点けて、部屋を暖める。
「温かい、雑炊でも作るかな!」
2枚程、多めに毛布と布団をかけて、昨夜入れた湯たんぽを、あなたの腕の中に抱き締めさせる。
「美味しいの作るから、待っててね?」
久し振りに、あなたの全てをお世話出来ると、不謹慎にも思ってしまう。
「今日は、ふたりで、のんびりしようね。」
鼻歌混じりで、朝食を用意する。
2/25/2024, 12:38:10 PM