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5/6/2025, 12:36:16 PM

ラブソング

ラブソングって誰に向けて書かれているんだろう。
いや、そりゃ好きな人、愛しい人なんだろうけど。

誰かに聴かせたい、
一緒に聴きたい、
歌いたい、
奏でたい、
それがラブソング。

もしそうならば、私は私に。

今まで、特別頑張ったことはなかったとしても、何らかの才能を持った人間でもない私でも、私は私からのラブソングを。
大好きで守ってあげたかった自分へ、

ごめんね、おやすみ、私。

5/5/2025, 2:18:02 PM

手紙を開くと


ずっと待ち焦がれていた。
ずっとずっとずっと、待ち焦がれていた彼の事。
彼からの手紙。

その手紙の表面を撫でる。
乾燥していたその手紙は、彼の手のようだった。
所々焦げていて、焦げ臭く、土臭く、血生臭く…。
だけど、なぜだか彼の優しい匂いを感じた。

怖い。

この手紙を開くことで、蜘蛛の糸のような細い希望が途切れてしまう。
知りたくない。
読みたくない。
怖くて怖くて、どうしようもなく寂しい。
それでも、また、彼の言葉を聞きたくて、私は手紙を開いた。

手紙を開くと、焦げたところからぼろぼろと彼が崩れて風に舞っていく。

嫌だ。
嫌だ。行かないで。
ずっと独りだったのよ。
嫌だ。


「_あいしてる、' ` - ヽ ‐ ,, ー」

5/4/2025, 1:38:20 PM

すれ違う瞳


いつも同じ電車に乗っている彼女。
僕はあの人が放つ異様な雰囲気に惹かれている。

登校時間、綺麗な彼女の横顔を見るのが毎朝の楽しみだ。
彼女の存在が、学校に行きたくない僕の家を出るきっかけでさえある。
黒く濃い色の髪からチラと見える長いまつ毛と黒い瞳、その瞳は凛としていてどこかを見ている。

その瞳がゆっくりと動く。

すぅ

僕は息を飲んだ。
彼女の瞳とすれ違う。

いつもどこを見ているかわからない彼女の瞳に、僕が一瞬でも写ったことに高揚感を覚えた。
手に入れたいと思った。
暗い暗い夜空のようで、反射した光が星のように輝いて見えた彼女の目を。

たった一瞬、真っ直ぐその瞳と向き合えた一瞬。
すれ違った瞳が、僕の心を優しく締め付けた。

5/3/2025, 2:40:34 PM

青い青い

「青いね、」
「うん。」
「青いね、」
「…うん。」
「どうしてかな。」

僕は妹に返す言葉を考えたくなかった。
青く青く。
冷たく冷たく。
血色の無くなった母の頬を撫でる。

「青いね、」
「うん。」
「にぃは赤いね。」
「うん。」

妹を真夜中の寒空の下で抱き抱えて、ハエがたかる母の青い青い姿を眺める。
悲しいという感情はなかった。
どうしてか”それ”は、五月の晴れ渡った空の色に似ていて、怒りや悲しみより、美しいという感情がまさっていた。

僕らはまだ赤い。
赤くなった妹の手を握りおやすみと一言言った。

5/2/2025, 9:10:47 AM

風と

風に匂いが運ばれてくる。
なんて詩的に表現してみたけれど、綺麗に写りはしない。

焦げた髪の匂いと、湿った風が僕の顔を撫でていく。

思いっきり息を吸う。
もう、あの日の草木の匂いや、近所の家の夕飯の匂い、お風呂の湯気の匂い、ピリついた僕の家の匂いはしないんだ。

この風が全てをさらって、僕を1人にしたんだ。

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