すれ違う瞳
いつも同じ電車に乗っている彼女。
僕はあの人が放つ異様な雰囲気に惹かれている。
登校時間、綺麗な彼女の横顔を見るのが毎朝の楽しみだ。
彼女の存在が、学校に行きたくない僕の家を出るきっかけでさえある。
黒く濃い色の髪からチラと見える長いまつ毛と黒い瞳、その瞳は凛としていてどこかを見ている。
その瞳がゆっくりと動く。
すぅ
僕は息を飲んだ。
彼女の瞳とすれ違う。
いつもどこを見ているかわからない彼女の瞳に、僕が一瞬でも写ったことに高揚感を覚えた。
手に入れたいと思った。
暗い暗い夜空のようで、反射した光が星のように輝いて見えた彼女の目を。
たった一瞬、真っ直ぐその瞳と向き合えた一瞬。
すれ違った瞳が、僕の心を優しく締め付けた。
5/4/2025, 1:38:20 PM