風と風に匂いが運ばれてくる。なんて詩的に表現してみたけれど、綺麗に写りはしない。焦げた髪の匂いと、湿った風が僕の顔を撫でていく。思いっきり息を吸う。もう、あの日の草木の匂いや、近所の家の夕飯の匂い、お風呂の湯気の匂い、ピリついた僕の家の匂いはしないんだ。この風が全てをさらって、僕を1人にしたんだ。
5/2/2025, 9:10:47 AM