Iben

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手紙を開くと


ずっと待ち焦がれていた。
ずっとずっとずっと、待ち焦がれていた彼の事。
彼からの手紙。

その手紙の表面を撫でる。
乾燥していたその手紙は、彼の手のようだった。
所々焦げていて、焦げ臭く、土臭く、血生臭く…。
だけど、なぜだか彼の優しい匂いを感じた。

怖い。

この手紙を開くことで、蜘蛛の糸のような細い希望が途切れてしまう。
知りたくない。
読みたくない。
怖くて怖くて、どうしようもなく寂しい。
それでも、また、彼の言葉を聞きたくて、私は手紙を開いた。

手紙を開くと、焦げたところからぼろぼろと彼が崩れて風に舞っていく。

嫌だ。
嫌だ。行かないで。
ずっと独りだったのよ。
嫌だ。


「_あいしてる、' ` - ヽ ‐ ,, ー」

5/5/2025, 2:18:02 PM