赤いヘッドホン

Open App
1/27/2023, 6:29:13 PM

優しさに溺れていたい。
その暖かさに包まれていたい。
心地よい感覚を味わい続けていたい。
__もし叶うのなら、永遠に。

何も考えないでいたい。
全てを委ねていたい。
ゆりかごの中で眠りこけていたい。
理想郷が存在しないことを、本当は分かっているけど。

毎日自由に遊んでいたい。
甘い汁だけ啜っていたい。
全身の力を抜きっぱなしにしたい。
__どんなに困難でも、叶える方法があるのなら。

美しいものだけ見ていたい。
柔らかな光の下で日向ぼっこしていたい。
水面に映った満天の星を見て感傷に浸りたい。
優しいものに、包まれていたい。

1/26/2023, 4:39:27 PM

インターネットで「ミッドナイト 意味」と検索すると、
『真夜中』と出てくる。
ミッドナイトをmidとnight に分けて直訳すると、真夜中とは即ち、夜の中間地点、なのだそうだ。

その『夜の中間地点』 に、自分は生かされている。

……以前、どこかでONとOFFの切り替えが大切だと聞いたことがある。
人前ではON、プライベートな時間はOFF、というように。
しかし、プライベートな時間の自分は、本当にOFF状態になって良いのだろうか?

あくまで個人の意見だが、今の社会における 『休憩時間』 とは、あくまで体や脳を休めるための時間であって、心を休めるための時間ではないように感じられる。
共に過ごす相手がそこにいる以上、協調性は大切だ、という考えは理解できる。
しかし、気が合わない相手と共に摂る食事はどうしても味 が落ちるし、心も休まらない。
自分のプライベートな時間に誰かが存在する限り、それが覆ることはない。
これのどこが『休』み 『憩』う時間なんだろうか。

だから、自分が心を休ませられる時間はどこにもない。
唯一のタイミングを除いて。

それが、真夜中。
それこそが、自分にとって最高級の、そして本当の意味での『休憩時間』。
自分が自分のままでいられる空間。

家族との内容の薄い会話、知り合いや仲間からの連絡・返信といった、煩わしいものがまだ存在するのが夜の前半。
この場にいるのが自分一人である限り、夜の後半は、自分のための時間だ。
その事実が、心を太陽のように明るく照らしてくれる。
月光のように優しく包み込んでくれる。

おそらく、この一瞬の高揚感と、濃度の高い幸せが、自分の生きがいになっている。
自分は、夜の中間地点が生み出す『それ』に、生かされている。

1/25/2023, 4:11:43 PM

突然不安になることがある。
何かやらかした覚えがあるわけではない。
黒歴史を思い出したわけでもない。
悪い未来を察知できるほど勘が鋭いわけでもない。
家を出て鍵をかけたそばから鍵をかけたか心配になる、あの現象とは少し違う。
何に対しての不安なのか、はっきりしないのだ。

その為、答えはいつも分からずじまいだ。
自分は何をそんなに心配しているんだろう。
それはそんなに不安になる必要があることなのか。
そんな自問自答も意味がない。
なぜなら答えが分からないから。
模範解答も採点基準もない記述問題の丸付けをするかのごとく、きちんとした答えを出すことが不可能なのだ。
少なくとも、自分には無理なのだ。

教室で一人頭を悩ませていたところ、友人にどうしたの、と声をかけられた為、事情を説明した。
すると、友人は
「……なら、安心していいんじゃないの?」と言った。
「だって、不安だからその原因を見つけたくて、でも出来なくて、だから安心したいと思って安心できる根拠を探して___それって、手は尽くした、ってことでしょ?要は受験とか定期テストと同じ。やりきったんだったら、ひとまず安心して結果を待てばいいと思う。」

……なるほど。
自分はなぜあんなに難しく考えていたのだろう。
もっと単純な話だったんだ。

自分が感じる不安について、人に相談したことがあった。
ある人曰く、こういうことは大抵取り越し苦労で終わると相場が決まっている、らしい。
別のある人曰く、あるある、だそうだ。

あの時は異論しか無かった。
もう少し真面目に話を聞いてくれよ、なんて思っていた。
しかし今、この二人の返答の意味を完全に理解できたような気がした。

友人に礼を言った。
友人はいえいえ、と言った後、今日の小テスト、再テにならないように頑張ろーねー、と言うとどこかに行ってしまった。
え、そんなのあったっけ今日。

…ヤツは自分に新たな不安の種を蒔いて去っていった。

1/24/2023, 5:35:47 PM

逆光。
それは記念写真の敵。
それは皆の顔を隠すから。
それは私達の表情を隠すから。
しかしそれは私の心の底の思いを隠してくれない。

だから、自分で隠すしかない。
誰かに頼るという選択肢は無い。
それがほとんど無意味なことを知っているから。
それはハイリスクなくせにリターンが少ないから。
だから、一人で隠す。

だから、一人で過ごす。
誰かに話して共感を得ることはできない。
それは私がここまでの人生を放棄することと同義だから。
放棄は批判の対象だから。
だから、自衛する。

_____いつまで続ければいいのだろう。
私の姿も声も記憶も痕跡も過去も未来も今も。
文字通り私の全てを影に隠して、あわよくばそのまま闇に溶かしてしまえたなら。

写真の中の私は、その思いを隠せていただろうか。
もし答えが否であるなら…きっとそれは逆光のせい。
そういうことにしておこう。

1/23/2023, 12:23:40 PM

こんな夢を見た。
見覚えのない住宅街。美しい星空。白い息を吐きながら立つ自分。辺りに人の気配はない。
____電柱。上方には光に群がる羽虫。側面にはこども110番の家、と書かれた旗。今度は足元を見る。乾いたアスファルト。辺り一面ムラなく真っ黒できれい。マンホール。雨でも降っていたのだろうか、溝に水が残っている。

………目覚めてから気付いた。この夢はおかしな事ばかり起こっている。電柱は街灯じゃない。だから電柱を見上げても、その横に何らかの明かりがない限りは電柱の上方で光るものは無いし、当然そこに虫が群がることもない。そもそも、白い息が吐けるほど寒いなら虫は現れないと思うのだが…。そしてこども110番の家の旗は、対象の家を示すものであって、電柱に貼るものではない。張り紙じゃあないんだから…。マンホールが濡れていてアスファルトは乾いているなんて、自然現象の作用では有り得ない。一面真っ黒って…住宅街の広い道は路側帯などが白線で描かれているだろうからそんな場所があるとは思えない。その上、住宅街の道路なんて鳥のフンやポイ捨てされたタバコなどが落ちているものではないだろうか。
…とまあ、そんなことがあっても、目覚めるまで全く疑問を抱かないのが夢なのだ。

きっと誰かにこんなことを話せば、夢ってそんなもんだろう、と一蹴されるだろう。確かにその通りだ。以前どこかで聞いた話によると、人間の脳は、眠っている間に記憶の整理を行うらしい。その最中に引っ張り出された記憶と最近の記憶が混ざってこんなおかしな夢を見たのだろうか。
カーテン越しに朝日を浴びながら、布団にくるまったままぼんやりとそんなことを考えた。ふと手に取ったスマホの黒い画面に映った自分の髪は…爆発していた。最悪だ。

ニ○リで買った遮光カーテンを開け、少しだけ日向ぼっこ。このまま放置すれば布団はおひさまの匂いになるだろうか。なんて考えながら立ち上がって朝食の準備をすることにした。トースターから食パンを出し皿に乗せ、机に運ぶ。こんがり焼けている。隣にコップを置いて、いただきます。
ちなみに自分はマンションで一人暮らしをしている。だから先述のようなことがあってもすぐに話せる相手がいない。正直ちょっと寂しい。が、これはこれで快適だ。

洗面所で顔を洗い歯を磨き髪を軽く整える。習慣化すると手早く済ませられるようになって、ちょっと気分が良くなる。特に髪は、手櫛で十分きれいに整うので楽だ。今日もいつも通りこれらを一瞬で済ませ、服を着替える。そして、玄関のドアを開けて「いってきまーす」と言うと「いってらっしゃい」と奥の部屋から母の声がした。
そういえばもうすぐ母の誕生日だ。今年のプレゼントは何にしようか。もう社会人だし、ちょっと高級な……そうだ、メガネとかどうだろう。

……玄関で長考してしまった。これでは、いってきます詐欺だ。何だそれ。自分にツッコミを入れながらドアを開け、鍵をかけ、家を出る。ドアの向こうには、きれいと思えるほど真っ黒なアスファルトが、辺り一面に広がっていた。
…デジャブ。つい最近どこかで見たような。

「あ」

_____自分は、そこでやっと気付いた。

Next