1/1/2025, 5:26:08 PM
年末。雪見障子の桟の影、縁側に並ぶ緑。底に粉が残る緑茶とズシリと重たいお布団。そこかしこから田舎のにおい。わだかまりはそのままに、お日さまの温みに溶け出すように、とろりと眠る12時半。
手土産の芋羊羹をつつきながら、ちょっと入り難いこたつに足を伸ばす。
女の子はお家のことができんと困るんだで…おばあちゃん今は時代が変わったんよ……そうかいねえ…あと私はお家のことできるからね…嘘だがなぁ…なあに根拠に嘘なんて言うん?もぉ……
毎年変わらないこのやりとりに、めんどくささすら消え失せて、パターンとして受け入れるようになった。いつのまにか平坦になった自分も、相変わらず昔を生きる祖母も、今はなんだか愛せるのだ。
年始。もう1人の祖母に会いに行く。コーヒーの匂いが染みついたポット、ペットボトルカバーにしまわれたリモコン。牛乳パックの口を挟むクリップ、白黒小さな犬たちのしっぽ。朝日の近づく紺の空、だらりと喋ればもう4時半。
昼のワイドショーと夕方の刑事ドラマは少しざわつく。今日は特番だらけで、面白くもないんだけど、それでいい。それがいい。
大小ばらついたみかんを軽く握って、やわこいものから剥いて食べる。昔は避けてたピーナッツが、今やメインの柿ピー。何も強制されず、無為に過ごせたこの部屋に、なんども救われたこと。
年々小さくなる祖母たちの肩が、寂しくて愛おしい。
また、近いうちに会いに行くね。
「新年」