『優しさ』
あなたの手にふれ、優しさを知る。
あなたの手は暖かく、少し眉を下げて微笑む姿は愛らしい。
そして、少し荒れている手は僕の胸を締め付ける。
あなたに幸せをあげたい。
けれども、それは僕の勝手な想いだ。
僕はあなたに恋をした。
けれども、あなたは隣のあの子に恋をしている。
あの子を見る優しい目、僕にむくことはないのだろう。
それでもあなたの手は、暖かい。
きっと僕があなたにこの想いを伝えたら君は少し寂しそうに笑うだろう。
優しい君は「ごめん。」とすぐに言えなかっただろう。
だから、優しい君は、自分の辛いことも、嫌なことも、何も言わず胸に溜め込み、吐き出さなかったのだろう?
あの日の微笑みは偽りだったのだろうか?
もう、ここには優しいあの子は、いない。
だから、あの子が残してくれた僕にやどった魂。
誰かに、おすそ分けするね。
あなたが残してくれた『優しさ』を。
『こんな夢を見た』
みんな幸せで
みんな笑ってて
私も笑っていて
友達に囲まれている。
そして、私にできた傷やアザもなくなり、
みんな、私の目を見てくれる。
ちゃんと私の声を聞いてくれる。
いやだ。
と言えば彼らはやめてくれ、
欲しい。
と言えば彼らはくれる。
だが、夢が永遠に続くことは無い。
何事にも終わりはある。
「………もう、朝………?
…………。」
あぁ今日は、一体どんなシアワセな夢を見るのだろう。
夢の中ででしか出来ない私の復讐。
みんな、私に脅え、顔を伺い………
あは、なんていい気分なんだろう!!
……夢、なんだよね?
『タイムマシーン』
また今度、があるなら、
どんなによかっただろう。
あの時、私は何をしていたのだろう。
今になって思い返す。
あの時、私があの道を通らなければ、あの人は泣かなかったかな?
私は今も、冷たく澄んだ空気を肌で感じているのかな?
そんなこと今更考えたって、どう足掻いたって過去は変わらない。
未来だって、ほんのちょっとした出来事で変わる。
本当に、ちょっとした事で。
ただ、あの時、立ち止まらなければ、きっと今の未来はなかっただろう。
けれども、私にはどうすることも出来ない。
地獄のような日々。
毎日浴びる冷水に、暴言。
大事な人もどこかへ行き、唯一の心の支えもぐちゃぐちゃにされた。
その事がフラッシュバックすると、いても経っても居られなかった。
本当に、私はあの時、あの道を選択する他なかったのだ。
たとえ、私に明日があったとしても、それは無意味な明日だっただろう。
過去に戻ったって、未来へ行ったって、今は変わらない。
ただ、あの人が泣いて、私は初めて後悔した。
私は1歩ずつ、真っ暗闇へと落ちていった。
二度と照らされることがない本当の --へと。
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あの人が処刑され、49日が経った。
通知が来た時は本当に驚いた。
小学生の頃から優しかったあの人が、5人の同級生を滅多刺し。
「殺したくなった。」
と、本当なのか分からない言葉を言い残し、この世を去った。
あの人は小学生の時、その5人からかなり過激なイジメを受けていた。
私は途中で引越し、よく分からないが、どうやらあの人は登校拒否になり、そのまま中学も通わず、高校にも通えず、日々を送っていたみたいだ。
私はまだ、あの人の返事を返していない。
ただ、ありがとう。と、言いたいのに、あの人はもう、この世に居ない。
そう思うと、涙が止まらなかった。
過去に戻れたら、今を変えられたら、どんなにいいか、私には想像ができない。
少なくともあの人がまだ私のことを思っていたのなら、あの人は私の横で笑っていただろうか?
いや、わからない。
もう、何もかもが、遅すぎたのだ。
『今年の抱負』
絶対に推しキャラをゲットする。
前の作品に出てきた人程じゃないけど、かなり部屋が汚くなるので週一で掃除をする。
スマホの週の平均使用時間をマイナス2時間にする。
(今 5時間) (理想 3時間)
全ての英語のテスト、40点台にはなる。
やべ、1項目目以外達成できないかも。
机の上汚いと勉強出来ないのに、部屋の中で1番机の上が汚い。
1番綺麗なのはベッドの上。
あはは。
『新年』
新しい年になり、きっと、今年の抱負を掲げる人が多いだろう。
だが、僕はそれ以前に大晦日、丸一日頑張ったのに綺麗にならないこの部屋を綺麗にしたい。
僕の気持ちはまだ、新年を迎えていなかった。
僕は正月早々スーパーにゴミ袋を買いに行き、ついでに寿司を買ったはいいものの、冷蔵庫にも消費期限が切れた野菜や飲み物、加工食品が残っていて消費期限が切れているものを全て捨てた。
そしてようやく寿司を入れようと冷蔵庫に触れると、違和感があった。
僕は嫌な予感がし、記憶をたどった。
「…………!!!!!
電気代入金するの、忘れてたああああああああぁぁぁ」
僕は急いで銀行まで走り、入金してきた。
そして、家に戻り、復旧されたのを確認し、ようやく寿司を冷蔵庫に入れれた。
その後、僕はとにかく家に親を呼べるくらいまでにした。
そして、銀行行った帰りに買った冷えたビールを1杯のみ、寿司を食べた。
充電が少し溜まったスマホを見てみると山盛りの通知と電話履歴。
僕はめんどくさくなり、1番仲が良い友達にだけ送った。
「新年明けましておめでとうございます。
今年もどうぞ、こんな私をよろしくお願いします。」
友達からは『キモ』と帰ってきたが、僕の気持ちは伝わったみたいだ。
次の瞬間、『今から家行く』とき、さすがの僕でも驚いた。
さて、2年前にその人に借りた漫画、どこにしまったかな。
僕はサーっと冷や汗をかき、再び部屋をひっくり返す羽目になった。