『優しさ』
あなたの手にふれ、優しさを知る。
あなたの手は暖かく、少し眉を下げて微笑む姿は愛らしい。
そして、少し荒れている手は僕の胸を締め付ける。
あなたに幸せをあげたい。
けれども、それは僕の勝手な想いだ。
僕はあなたに恋をした。
けれども、あなたは隣のあの子に恋をしている。
あの子を見る優しい目、僕にむくことはないのだろう。
それでもあなたの手は、暖かい。
きっと僕があなたにこの想いを伝えたら君は少し寂しそうに笑うだろう。
優しい君は「ごめん。」とすぐに言えなかっただろう。
だから、優しい君は、自分の辛いことも、嫌なことも、何も言わず胸に溜め込み、吐き出さなかったのだろう?
あの日の微笑みは偽りだったのだろうか?
もう、ここには優しいあの子は、いない。
だから、あの子が残してくれた僕にやどった魂。
誰かに、おすそ分けするね。
あなたが残してくれた『優しさ』を。
1/27/2023, 12:43:25 PM