あなたの やりたいように やればいい
あなたの いきたいように いきればいい
それでいい
ショーケースには、1つだけケーキが残っていた。
夜遅く、仕事帰りのボクは、あまりにも疲れ切っていて、自分のアパートへの道のりを間違ってしまったらしい。
気づくと、まったく知らない場所にいた。
困ったなぁ…と、辺りをキョロキョロすると、洋菓子店の灯りがついているのが見えた。お腹もすいていたし、お店の人にここはどこか尋ねてみよう、と中に入ると、そこにいたのは、エプロン姿のクマさんだった。
「いらっしゃいませ。」
と、にっこり笑うクマさん。
ボクはあっけにとられつつも、ショーケースをのぞいた。
そこには、1つだけ、ケーキが残っていた。
すごく大きなケーキで、苺と生クリームがたっぷり飾ってあった。
「今日はもう遅い時間で、これだけなのですが、よろしければ半額でいかがですか?」
と、クマさんは言い、またにっこり笑った。
ボクは、半額でそのケーキを購入し、店を出た。店を出てから、ここの住所を尋ねるのを忘れたことに気づいたが、振りかえるともう店の電気は消え、閉店の札がドアにかかっていた。
仕方なく、重いケーキの箱をかかえながら、ふらふらと彷徨っていると、小さな公園に着いた。
ボクはベンチに座り、ケーキの箱を開けた。甘くてとてもいいにおいがした。
お腹がぐ~っと鳴り、もう我慢できずにボクは手づかみでケーキを食べ始めた。
美味しかった。
美味しくて、なんだか涙が出てきた。
あっという間にケーキを食べ終えると、中に1枚のカードが入っているのに気づいた。
そこには、
『ありがとうございました🐻』
と手書きの文字が。
なんだか胸がいっぱいになって、ボクは子どもみたいに、えーんえーん、と泣きじゃくった。
そして、そのままうずくまっていつの間にか眠ってしまった…
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
眩しい光で目が覚めると、ボクは自分の部屋にいた。仕事着のままだったが、ちゃんと布団に入っていた。
昨夜のことを思い巡らし、
″うーん、夢でもみたのかなあ?″
と、枕元をみると、
『また来てね🐻』
という、手書きのカードが置いてあった。
「おかあさんとおさんぽした、おやまでみつけた、まあるいどんぐり!」
「おじいちゃんがくれた、きれいないし!」
「ゆうくんがとってくれた、せみのぬけがら!」
「おねえちゃんがつくってくれた、おはなのかんむり!」
…などなど、
こどもたちの大切なものは、とっても可愛らしいものばかり。それぞれに、誰かとの思い出があって、目をキラキラしながら、教えてくれました。
「ぼくはね、おとうさんにもらったおさかながたいせつだったの。でもね、しんじゃった。」
1人の子が、そう言ってうつむきました。
すると、隣りにいた子が、
「なくなっても、たいせつなものは、たいせつなんだよ!」
と、言いました。
ずっと形あるものばかりが、大切なものとは限らないのだなあ、と、改めて思いました。なくなっても、わたしたちの中に、それらは残っていて、目を瞑ると、みることができます。
″あなたの大切なものは、なんですか?″
今日はね、
エイプリルフール。
あのさ、
何が嘘だったかって?
あのね、
今までボクが体験してきたことが、
ぜーんぶ、嘘だったんだ!
あるものは、
なかったし、
ないと思っていたものが、
あった。
あはは、
びっくりだよね。
みんなは、どう?
自分が信じてきたこと、
いま、どうみえてる?
自分が大切にしてきたもの、
いま、どう感じる?
すべて真っさらにして、
新しい世界に飛びだそうよ!
大丈夫。
今までのことが、
ぜーんぶ、嘘だったんだから。
あと一歩が進めない。
悔しいけど、勇気が出ない。
夢の中だと分かっているのに、目の前にいる敵は現実でも1番苦手な奴で、ボクは怖くて仕方がない。
何回倒しても、奴は姿を変えて追ってくる。攻略法が間違っているのだろう。
諦めようと下を向いたとき、耳元で声がした。
「幸せに なりたいの?」
「幸せに なりたくないの?」
「どっちなの?」
夢が醒めるまで、あとわずか。
ボクは意を決して顔をあげた、