まるで火をつけたばかりの線香花火のようだったんだ。
ぱちり、ぱちり、と小さな小さな光が跳ね回る。
俺の心はだんだんと弾けて弾けて。
紡がれる君への言葉はこの胸からぱあっと広がって。
激しく激しく燃え上がったら急に終わりの始まり。
ああ、もう少し、俺の心よ、光り続けてくれ。
瞳は雄弁だ。声がなくてもあんたがわかる。
明るくて、きらきらしていて、眩しくて。
なのに深くて冷たい影を背負っている。
急に熱くなったり、すっと冷えてみたり。
きまぐれなあんたに翻弄されてばかりだ。
明日世界が終わるなら、あんたのすべてを包み込んで、
もう大丈夫だって、何度もその背を撫でてやりたい。
君と出逢ってから、楽しくて苦しくて仕方がない。
あんなに小さかったのにどんどん大きくなって。
もう死んだように退屈な日々には戻れない。
君がいない日々なんて考えられない。
いつだって俺を驚かせてくれるのは君だけなんだ。
次に君に会えるまで、が無くなってしまったら。
そう考えるだけで全てを投げ出してしまいそうで。
俺は、俺自身が怖くなる。
季節は廻りゆく。俺たちのように。
あんたの瞳も最近は更に熱を持っている気がする。
受け取る光が熱い。ぱっと瞼を両手でおさえる。
瞳から頬、手のひら、足の先まで、熱が伝わっていく。
全身が焼けてしまいそうだ。あんたのせいで。
両手を下ろし、睨みつけてやれば何とも楽しそうだ。
耳を澄ますと豪快な笑い声が聞こえる気がする。
俺だっていつかあんたを驚かせてやる。
曇った空。そして葉桜。
この木の根元に寝転んでからどれくらい経っただろう。
たくさん集めて作った花びらの寝床は、俺の体の形を綺麗に残して風に吹かれてどこかへ行ってしまった。
枯れかけて小さくなった花びらを手に取る。
頭上に広がる生命の色。俺の背に広がる死の色。
きっと赤が似合う君ならば、あの緑に混じっても負けない輝きを放つだろう。きらきらと輝く君ならば。
ふぅ、と長く息を吐く。さて、そろそろ時間だ。
君の目に映る時だけは、とびっきり綺麗な俺で。
花びらを破かないように、そうっと立ち上がる。
ざあっと吹いた風で俺の死体が空へ舞い上がっていく。
懐に大切に仕舞った、一等綺麗な花びらを残して。
君以外、俺は何もいらないんだ。