曇った空。そして葉桜。
この木の根元に寝転んでからどれくらい経っただろう。
たくさん集めて作った花びらの寝床は、俺の体の形を綺麗に残して風に吹かれてどこかへ行ってしまった。
枯れかけて小さくなった花びらを手に取る。
頭上に広がる生命の色。俺の背に広がる死の色。
きっと赤が似合う君ならば、あの緑に混じっても負けない輝きを放つだろう。きらきらと輝く君ならば。
ふぅ、と長く息を吐く。さて、そろそろ時間だ。
君の目に映る時だけは、とびっきり綺麗な俺で。
花びらを破かないように、そうっと立ち上がる。
ざあっと吹いた風で俺の死体が空へ舞い上がっていく。
懐に大切に仕舞った、一等綺麗な花びらを残して。
君以外、俺は何もいらないんだ。
4/20/2024, 6:52:27 PM