谷間のクマ

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4/25/2025, 10:32:16 AM

《巡り逢い》

「巡り逢いて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな、ってねー」
「……紫式部か?」
 とある日の朝、SHR(ショートホームルーム。朝学活のようなもの)が始まる前。私、熊山明里が放送室に向かって歩きながらふと呟くと、たまたま生徒会に向かっていた蒼戒が(放送室は生徒会室の隣だ)言った。
「あれ蒼戒おはよー。早いねー」
「ああおはよう。じゃなくてなぜ紫式部なんだ?」
「ああいや特に深い意味はないと言うかふと頭に浮かんだだけと言うか」
「なるほどそういうことか……。確か『せっかく久しぶりに逢えたのに、それが貴方だと分かるかどうかのわずかな間にあわただしく帰ってしまわれた。まるで雲間にさっと隠れてしまう夜半の月のように。』という意味だったか」
「さっすが蒼戒。よくそこまで覚えてるねー。私でもちゃんとした意味はうろ覚えなのに」
「ま、まあな……」
 照れくさそうに視線を逸らす蒼戒。結構かわいい。とか思っていると。
「そうだ思い出した! なんで紫式部が出てきたかって言うとさっき源氏物語を持った山田先生にすれ違ったからだ!」
 紫式部が出てきた理由を思い出す。
「ああ、そういえば次の古文の単元、源氏物語だったか」
「ああそれだー!! っていけないいけない! 放送遅れるー!! じゃ、またあとでね蒼戒!」
 私はそう言って走り出す。ヤバいあと2分!
「あ、ああ……。頑張れ」
 放送室に飛び込む私の後ろでそんな声が聞こえた。
(終わり)

2025.4.24《巡り逢い》

参考文献 https://ogurasansou.jp.net/columns/hyakunin/2017/10/17/1307/

4/24/2025, 9:58:00 AM

《どこへ行こう》

※明里×蒼戒 大学生(?)if

「ねぇ蒼戒ー、今週末暇ー? 久々にどっか行こうよー」
 とある日の夜8時過ぎ。私、熊山明里はふと思い立って今は離れたところに住んでいる彼氏の蒼戒にメールを打った。
『お前思い立ったが吉日主義にも程があるぞ。今週は無理だ』
 そう返事が来たのは午後10時過ぎ。もともとスマホを持ってても使う文化がない人だしなんだかんだいつも忙しそうにしてるから今日も忙しかったんだろうなー、と思いながら私は返信を打つ。
「えー、じゃあ来週……は私無理だ。その次の週末は?」
『その次……は今のところは大丈夫だが大会が近いから須堂先輩に呼び出されて稽古になるかもしれないな』
「あー、その大会いつ? 私応援行っていい?」
『来月。来てもいいが俺は忙しいし2人で会う時間はないぞ』
「えー、5分くらい取れないわけ?」
『無理だな』
「そんなー。でも応援行くからね。負けたらぶちのめす」
『準決くらいはいけると思うがそれ以上はどうだろうか……』
「そこは頑張りなさいよ」
『はいはい。大会の次の週末なら確実に空けるがどこか行くか?』
「いいの?! 海! 海行きたい!」
『海、か……。沖縄ならともかくこの辺りはまだどこも海開きしてないと思うが?』
「いいわよ別に〜。ちょっと砂浜を歩いて美味しいお魚でも食べましょうよ」
『わかった。ちなみにどこの海がいい?』
「んー、あんたに任せるわ。決めたらまた連絡ちょうだい」
『わかった』
 これで連絡が途切れる。まあ蒼戒がそっけないのはいつものことだし、「海だ海〜」と私は私で上機嫌にストレッチを始めた。
(終わり)

2025.4.23《どこへ行こう》

4/22/2025, 3:03:12 PM

《big love!》

余力があればかなり前の《cute》の続き書きたい!

2025.4.22 《big love!》

4/21/2025, 9:37:42 AM

《星明かり》

また後でかけたら書く!

2025.4.20《星明かり》

4/16/2025, 9:55:52 AM

《春恋》

 春は別れと出逢いの季節、とはよく言うものだが、それ以外にも春は恋の季節だとあたし、中川夏実はふと思う。あたしの少し先にはほんの数日前にめでたく付き合うことになった明里と蒼戒がいるのもあるかもしれない。
「しっかしよく頑張ったよねー、ハルも。恋のキューピット、大変だったでしょ?」
 あたしはあたしの右隣を歩いているハルに言う。
「いやー、その通りだな。すげーんだよあいつら。俺が何やっても全然甘い空気になんないし波瀾万丈どころか波瀾上等だっつーの」
「波瀾上等って……」
 左隣を歩いている紅野くんが呆れた様子で呟く。
「いやジョーダンじゃねーよ? あいつら本当に波瀾しか起きねーし『波瀾上等じゃコラァッ!』って声が聞こえてきそうだし……」
 げっそりと言うハルにあたしはとりあえずお疲れ……、と言っておく。
「そういえばハルってなんでキューピットやってるんです?」
 紅野くんがふと思い出したように尋ねる。
「なんでって言われてもなぁ……、あいつらには幸せになってもらいたいから、かな」
「わー、優しい人間の鏡だー……」
「ハルってこれで案外優しいんですよね……」
「おい紅野! これで案外ってなんだよ! 案外って!」
「だって見た目サッカー部のチャラ男ですよ、ハルは」
「確かに〜」
「酷いなオメーら!」
 ケラケラ笑って紅野くんに同意するあたし。ハルは怒ってるけど、ぶっちゃけ紅野くんの言う通りだしなぁ……。
「なつー、サイトーウ、紅野くーん、そんなにゆっくり歩いてたら置いてっちゃうよー!」
 道の先で、明里があたしたちを呼ぶ。そういえば今みんなで並木の空き地でバトミントンしに行くところなんだっけ。
「あ、今行くー!」
「というかお前らが歩くの早すぎんだよ」
「ごもっともです」
「黙れ春輝。お前たちが遅いだけだ」
「なんで俺だけ……」
「じゃあ明里たちのとこまで競走ねー!」
 あたしたちは桜の花びらが舞う桜並木を笑いながら駆け出した。
(終わり)

2025.4.15《春恋》
あんまり恋物語っぽくないな……

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