《波音に耳を澄ませて》
書けたら書く!
2025.7.5《波音に耳を澄ませて》
《青い風》
書けたら書く!
2025.7.4《青い風》
《遠くへ行きたい》
「うーん、どっか行きたい! 蒼戒! 旅行行こう!」
「は?」
8月某日、夏休み真っ只中。いつものように俺、齋藤蒼戒がリビングで竹刀の手入れをしていると、野球のグローブの手入れをしていた双子の兄の春輝が突然素っ頓狂なことを言い出したので、俺はつい間抜けな声を上げる。
「だーってせっかくの夏休みじゃん! どっか行きたい! 旅行行きたい!」
「……どこへ?」
春輝があまりにもキラキラした瞳で言うので、さすがの俺も現実的に不可能だとは言えない。
「んー、どっか遠いとこ! 遠くへ行きたい!」
「遠く、ねぇ……」
「何々お前も行く気あるの?!」
「な訳あるか。俺はどちらかと言うと外は暑いし人多いし家にいたい」
と言うか連日猛暑日を超えているというのに外に出たら熱中症になりに行くようなものだと思う。
「だよなー……。やっぱ無理かぁ……」
「そんなに行きたいのなら1人で行ったらどうだ?」
「それはやだー! 蒼戒と一緒に行きたい!」
「ガキか。というかそもそも現実的に不可能だ」
「だよなー。そーいや商店街で福引きやってたよなー。あれの一等、沖縄旅行ペアチケットだったよなー」
「そういえばつい数日前もそんな話したな……。あれ当てる気なのか?」
「うん!」
「…………頑張れ」
曇りなきまなこで言われ、俺はとりあえず応援の言葉を返す。
この話題はこれで一旦打ち切りになったが、数日後春輝ではなく夏実が沖縄旅行を引き当て、結局いつもの5人で旅行するハメになったのだった。
(おわり)
※一応かなり前の《未来への船》の続きになってます!
2025.7.3《遠くへ行きたい》
《クリスタル》
「へぇ〜、世界最大級のクリスタル、ですか……」
とある日の午後8時過ぎ。私、熊山明里が夕食の片付けをしてのんびりしていると、友人でビジネスパートナーの秋風美架(あきかぜ みか)さんから電話がかかって来た。美架さんは私と同じ現役JKではあるが、実は『怪盗ネージュ』という世間を騒がす大怪盗。怪盗ブレインである私とは仕事仲間である。
その美架さんからの電話の内容は、次のターゲットの話である。
『ええ。ま、桜並木美術館にあるらしいし、あなたなら造作もない仕事でしょ?』
「そんな簡単に言わないでくださいよー。ま、何とかしますけどー」
『ほら見なさい。ちなみに近いうちにこっち(東京)の最強金庫、《山狐・改》に移されるらしいから早く動いた方がいいわよ』
「ああ、修学旅行の時に破ったやつ。あれもう改良版ができたんですか?」
それは修学旅行でのこと。私は美架さん、つまり怪盗ネージュと協力して、レーザーにレーダーがフルコンボな最強金庫、《山狐》を破った。まああの時は割と簡単に破れたが、今回はそうもいかないだろう。
『みたいねー。じゃ、good luck、ってことで』
そのまま電話が切れる。
次の怪盗ブレインのターゲットは、世界最大級のクリスタル。
さーて、どんな山になるのかしらね、と私はパソコンを開いて情報収集を始めた。
(終わり)
2025.7.2《クリスタル》
《夏の匂い》
書きたい気持ちはある
2025.7.1《夏の匂い》