谷間のクマ

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2/4/2025, 1:06:38 PM

《永遠の花束》

後日余裕がある時に書きます!🙇‍♀️

2025.2.4.《永遠の花束》

2/3/2025, 10:17:46 PM

《やさしくしないで》

「もう春だねぇ」
「そうだねぇ。早いねー」
 春は出会いと別れの季節。
 暖かな空気が漂い始めると、私、熊山明里はとある思い出が浮かんでくる。
「そーいや今日の天気予報雨じゃなかった?」
「ちょっと明里! それ早く言ってよ! あたし傘持ってないよ?!」
 一緒に歩いていた親友のなつこと中川夏実が私に怒る。
「まあ今日は時間あるしホームズにでも寄る?」
「あ、それありー!」
 というわけで2人でカフェ・ホームズに移動し、到着したその瞬間。
 ザザザッー、とものすごい勢いで雨が降ってきた。
「うわー、降って来た」
「危ないところだったねー」
 というわけで雨宿りも兼ねてのんびりしとうということになり、カフェオレとミニケーキのセットを注文する。
「こんな天気だと思い出すねぇ、あんたと初めて喋った時」
「あー、懐かしいな〜」
★★★★★


続きは後日余裕がある時に書きます🙇‍♀️

2025.2.3《やさしくしないで》

2/2/2025, 4:45:30 PM

《隠された手紙》

「手紙の紛失、ですか……」
「そう。どうやら机の上に手紙を置いた状態で出かけたらその家に泥棒が入り、手紙が盗まれたなりどこかへ飛んでいくなりしたみたいね」
 とある日、あたし、中川夏実がクラスメイトの紅野くんと一緒に県警で警察見習いのようなことをしていると、あたしたちの上司にあたる鈴木祈莉(すずき いのり)警部補(あたしは祈莉先輩、と呼んでいる)が鑑識から戻ってきてあたしたちを呼んだ。
「つまり僕らにその手紙を探してほしい、と」
「ええ。こき使って悪いんだけど、桜ヶ丘と赤岩山の所轄署、赤岩郵便局、あと百合ヶ丘郵便局に行ってその手紙がないか確認してきてくれない?」
「……電話すればいいのでは?」
 紅野くんがど正論をぶつける。
「普通の手紙ならね」
「とすると、問題の手紙は機密文書が何かで?」
「まあそんなところね。ここだけの話、その手紙はパッと見どこにでもある普通の白い封筒なんだけど、ブラックライトを当てると機密のメッセージが出るようになってるのよ」
 祈莉先輩は声を潜めて言う。
「簡単なブラックライトのようなものなら誰でも作れますが」
「だーかーらー! それなと機密のメッセージが外部に漏れる可能性があるでしょ! とにかく行ってきてちょうだい! ちなみに結構数があるみたいだから全部回ってね!」
「具体的な枚数は?」
「それがわかれば苦労はしないわ。被害者は大体5通くらいだったと思うって言ってるけど本当なんだか」
「つまり全部回れと」
「そゆことー。よろしくねー」
 というわけであたしと紅野くんはブラックライト片手に手紙の捜索に向かった。

 まず訪れたのは桜ヶ丘の所轄署。
「すみませーん、手紙届いてませんかー?」
「手紙? 落とし物ですか?」
 所轄署にいたのは若い男のおまわりさん。
「あ、いえ、かくかくしかじかでして」
 紅野くんが機密のメッセージの部分を伏せてざっと経緯を説明すると、そのおまわりさんは「もしかしてこれですかねぇ」と二通の白い封筒を差し出す。
「どれどれ〜」
 あたしはおまわりさんから見えない位置でブラックライトを当てる。すると、よくわからないが何かしらの文字が出てきた。
「多分これですね。ありがとうございます」
 紅野くんがお礼を言い、桜ヶ丘の所轄署を出る。

 次に向かったのは百合ヶ丘郵便局。ここにはそれらしきものが二通。
 その次の赤岩郵便局でも二通。
 そして最後に赤岩山の所轄署で三通。
 結局四箇所で合計六通の手紙が集まった。

「つ、疲れた〜」
「この町結構広いですからね……。移動に自転車を使っても坂しかないから疲れます」
 時刻は午後6時近く。あたしと紅野くんはようやく県警に戻ってくる。
「2人ともお疲れ様〜。早速だけど例の手紙を見せてちょうだい」
 県警では祈莉先輩が待ち構えていて、あたしたちが例の手紙を見せると、「ふむふむ」と言いながら机に広げて並び替える。
「よし、夏実ちゃん、紅野くん、ブラックライトを当ててみて」
「え? これ機密文書なんじゃ……」
「いいからいいから〜」
  祈莉先輩の勢いに押され、紅野くんがブラックライトを当てる。
 すると、手紙に何か文字が浮かび上がる。これ機密のメッセージなんじゃ……、と思ったのも束の間。
「……『いつもありがとう』……?」
 浮かび上がった文字はそんなメッセージだった。
「「え、えええ?!!」」
 全力でびっくりするあたしと紅野くんに対し、満足げな祈莉先輩。
「ど、どーゆーことですか!」
 あたしが祈莉先輩に詰め寄ると、祈莉先輩は笑って答える。
「今度県警と商店街で協力して新手のスタンプラリー的なイベントを行うんだけど、その実験よ。今みたいに事件性があるシチュエーションにして、商店街のお店を回るの。なかなかいいでしょう?」
「は、はあ……」
 あたしと紅野くんはなんとも言えない返事をする。
「まあこんなに驚いてくれたんだし、実験成功じゃないかしら?」
「……つまり僕らは完全に骨折り損だったわけで……?」
 紅野くんが小さな声で聞く。
「いいデータが取れたじゃない。これならたくさん歩くから健康促進にもつながるし商店街の活性化にもつながるわ。早速担当者に報告してこなくちゃ」
 つまりあたしたちは実験台にされたわけだ。ま、疲れたけど何気に楽しかったからいいかな。

 その約1ヶ月後、このイベントは《隠された手紙》という名前で行われ、家族連れや事件性に惹かれた小学校高学年くらいの子たちに大盛況だったんだとか。
(おわり)

2025.2.2.《隠された手紙》

2/1/2025, 9:10:18 PM

《バイバイ》

「おい蒼戒ー、そろそろ送り火を……って寝てんじゃん」
 8月16日、お盆休み最終日の夕方のこと。俺、齋藤春輝が送り火を焚こうと双子の弟、蒼戒を探していると、珍しいことにリビングの陽だまりでお昼寝をしていた。寝っ転がってすやすや寝息を立ててる蒼戒の横にはきゅうりの馬とナスの牛があって、何か考え事をしていたところ、襲ってきた睡魔に負けてしまった、ってところだと思われる。
「参ったねぇ……、これじゃ送り火焚けないじゃん」
 とりあえずタオルケットでもかけてあげようと、蒼戒がいつも使ってるタオルケットを持ってきたところ。
「……ん?」
 蒼戒の傍らに黒髪ロングの12、3歳の少女が見えた。
 ただしその少女はうっすら透けていて、この世の人間では無さそうだ。
「…………もしかして、姉さん?」
 その少女は俺と蒼戒が小学生になる前に死んだ俺たちの姉さんにそっくりで、俺は思わずそう声をかける。
「しー……」
 少女、いや姉さんは口に人差し指をあてて優しく微笑む。
「……それ、貸して」
 姉さんは小さくそう言って(俺の幻聴である可能性も否定できないが)俺が持っているタオルケットを指差す。
「あ、これか。はいよ」
 俺はそう言って姉さんにタオルケットを手渡す。
「ありがとう」
 姉さんは俺が差し出したタオルケットをしっかり受け取って、蒼戒の背中にそっとかけた。
「……大きくなったね、蒼戒。春輝も」
 姉さんは小さく言って蒼戒の頭をそっと撫でる。
 そうしているうちに、姉さんの体がキラキラ光り始めた。
「姉さ、」
「……もう時間切れみたいだね。春輝、蒼戒をお願い。もう私を追ってこようとしちゃダメよ」
 姉さんは俺にそう言って微笑む。
「……わかった。任せて、姉さん」
「ありがとう。……また来年」
 次の瞬間、姉さんの体がキラキラと光の粒になって、天に昇って行った。
「バイバイ」
 最後に、そんな姉さんの声を、聞いたような気がした。
(おわり)

2025.2.1《バイバイ》

1/31/2025, 4:30:22 PM

《旅の途中》

「あれ、絵葉書だ。珍しい」
 ある日の夕方、俺、齋藤春輝がポストに入っていた郵便物をチェックしていると、珍しく絵葉書が入っているのを見つけた。
「絵葉書?」
 キッチンで夕飯の支度をしていた蒼戒が俺の呟きを拾って怪訝な声を出す。
「そう、絵葉書。……ってしかも俺たち宛じゃねーか!」
「はあ? 誰から?」
「えーっと……、瀬音……あっ! これセオからだ!」
「セオだと?」
 瀬音立太(せおと りった)、あだ名はセオ。俺と蒼戒が幼稚園に通っていた頃のクラスメイトで、俺たちが小学生になる時に引っ越して今は北海道に住んでいる。
「そう、セオから」
「あいつ確か1週間くらい前にこっちに遊びにくるって手紙来なかったか?」
「だよなぁ……。あ、あるある。2、3日したらそっちに着くと思うからよろしくって書いてあるぜ」
 俺は郵便物がまとめて置いてある棚の中を探してセオからの手紙を発見して言う。
「そういえばまだ来ないのはおかしいと思ってたんだ……」
「確かにな。でも確かあいつさぁ……、
「「極度の方向音痴だったよな」」
 とても珍しいことに俺と蒼戒の声が重なる。明日は槍が降るかもしれない。
「あいつまだ方向音痴治ってなかったのか……」
 蒼戒が呆れたように額に手をあてる。
「すげー単純な道でもすぐ迷うから常に2人以上で行動させられてたよな。……つーかよくよく考えてみたらあいつが北海道からここまで来れるわけないじゃん!」
「今来た絵葉書、どこからだ?」
「えーっと、この絵葉書の写真からして……屋久島、かな」
「屋久島……縄文杉か」
「そう。鹿児島県だっけ」
「ああ。あいつどこまで行ったんだ……。かなり通り過ぎてるぞ……」
「まあ気長に待つっつーもんじゃね?」
「まあそれしかないな」
 どうやらセオがここに来るまではまだまだ時間がかかるらしい。今はまだ長い長い旅の途中だ。

 それから3日。
「あれ、また絵葉書」
「セオか?」
「ああ。今度は……大阪城、かな」
「いや、これは姫路城だ」
 今度は姫路城の絵葉書が送られてきた。
「とするとセオは今兵庫にいるのか」
「そうなるな。移動してたらわからないが」
「まあ段々ここに近づいてはいるな」
「だといいが」

 更にそれから3日。
「あれ、また絵葉書」
「今度はどこだ?」
 蒼戒はもう絵葉書が来るのに慣れてしまって、誰からだとか聞かなくなった。まあもちろんセオからだけど。
「えーっと、今度は……、どこだこれ。中国?」
「見せてみろ」
 俺は「ほれ」と蒼戒に絵葉書を見せる。
「これは……、万里の長城、だよな……」
「やっぱりそうだよな」
 絵葉書には万里の長城らしき建造物が写っていて、セオと思われる字で、『ここどこー?』と書き添えられている。
「とすると遂に他大陸に渡ったか……」
「日本に戻って来られるのかね、セオは」
「知らん。昔のままならあいつそれなりにタフだったしなんとかなるんじゃないか?」
「だといいけどなぁ……」

 セオが長い長い旅を経て、俺たちのところにやってくるのはもう少し先のお話。
 今はまだ、旅の途中だ。
(おわり)

2025.1.31《旅の途中》

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