思えば、私がこれまで読んできた本のジャンルはかなり雑多である。身体を動かすのが苦手であったから、専ら読書を好んでしていたし、元々好奇心旺盛な性分だったというのもあるのかもしれない。そんな私ではあるが、本日のお題「好きな本」に沿って、創作などではなく、実際にある出版物からかつて好きだったものも含めて紹介していこうと思う。
まずは、『怪談レストラン』シリーズ。怖い話や怪談を知ったのは、小学校に上がるか上がったか位の頃に見た『本当にあった怖い話』の中のとある作品だったが、今の私が確実にハマったと言えるきっかけはこのシリーズだろう。後に方向性を間違えた興味をもつきっかけの「ギロチン」の存在を知ったのもこのシリーズのひとつ、『殺人レストラン』である。これは私が『怪談レストラン』シリーズで初めて買ってもらった本でもある。小学校の図書室や祖父母の家の近くの図書館に置いてあったのも手伝って、よく読んでいた。
次に、『黒魔女さんが通る!』シリーズ。これは学級文庫に置いてあったのを友人が読んでいたので気になり、読んでみたら見事にハマった。知ったのは小学校高学年で、卒業までに当時出ていた分は全部読んでいた。聞いたところによると、主人公たちも一学年進級したらしい。
3つめは『ガラスのウサギ』。小学校で読んだし、児童書と分類されているが、今でもふと読み返したくなることがある。戦争ものは国語の教科書で取り扱われるが、この作品は教科書で読んだことはない。何で知ったかは忘れてしまった。戦争については、その存在を知ってからずっと関心をもっている。
4つめは『浜村渚の計算ノート』シリーズ。中学校で読んで、数学が好きになったきっかけの作品だ。学校で習うものからかなり高度なもの、難問とされるものまで幅広く扱いながらも分かりやすく説明されている。
5つ目は『創竜伝』。友人が読んでいたものをお薦めされて読んでハマり、当時出ていた分は全巻買った。最近約10年ぶりに新刊が出た。主人公4兄弟の名前とやり取りが非常に面白い。
お題の変わる時間が迫っているので一旦ここで切ることにする。
また時間のあるときに追加していきたい。
彼女の好奇心にはほとほと呆れたものである。
ここ数日、心惹かれるようなことが何も無いと、家にこもって愚痴っていたと思ったら、突然行動し始めた。それ自体はまぁ、いつもの事と言えばいつもの事だった。誤算だったのは、その行動のきっかけ、つまり、彼女の興味の矛先がこの場所だったことだ。
「だから気をつけてって言ったのに…」
そう呟いて顔を上に向ける。そして、ここからでは見えない遠くの空へと思いを馳せる。
彼女に振り回されるのは日常面だけではなく、彼女の行動に付き合っているときもまたそうであった。そして、彼女が満足のいく結果を得られたあとは決まって空を見上げ、達成感の余韻に浸ったものだ。彼女はいつだってまだ見ぬ世界に溢れ返るほどある未知へと思いを馳せていたが、私は当たり前のように彼女が隣にいる日々を思い描いていた。
心のどこかでは、いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていた。彼女の好奇心が彼女自身の身を滅ぼすだろうことは想像に難くなかったし、私が彼女に隠していたこの場所のことを知ってしまうのは時間の問題だというのもわかっていた。
…わかっていたのに、その日が来ないことを願っていた。
その願いも、思い描いた未来も、もう二度と訪れないものになってしまったけれども。
私の足元には彼女が横たわっている。この場所は元々、人が滅多に訪れないし、ここに来るまでの道だって人通りは殆ど無いから、何があったかを知る人はきっといないだろう。ただ、この状況が客観的にどう見えるかはわかっている。
だというのに、私はこの場から動くことが出来ずにいる。かつて、星や雲を掴もうとするのと同じように、彼女と一緒に生きる未来を求めて遠くの空へ手を伸ばしたあの日のように、この廃墟の一室で、見えない空を見上げている。
この頬を流れる雫とともに溢れている感情は一体何なのか。
「好奇心は猫をも殺す」
これは昔から私がよく言われたこと。好奇心が旺盛で、危ないと言われることにも躊躇無く首を突っ込んでいたために、周りは「いつか痛い目を見るよ」という意味で忠告していたのだろう。しかし、その言葉は好奇心の赴くままに行動する私に対する制止力とはならなかった。それどころか、「無知は罪」ということを知って以来、忠告に対してその言葉を返しては制止を振り切って好奇心のままに、多少過激なことだってやるようになった。
そんな私だが、最近は興味を惹かれるものが無く、退屈な日々を送っていた。テレビやラジオ、新聞、雑誌、SNS、果てはネット掲示板まで漁ったが、大半が興味の無いものか、以前興味を持ったものばかり。情報は日々更新されるものだからと毎日確認するも、心惹かれるものは今のところ見つかっていない。そんな私の様子に、幼馴染は呆れたように言う。
「まったく相変わらずなんだから…そんなに退屈なら少しは自分のことでも気にしたら?部屋の掃除に洗濯、食事、何一つ自分ではやらないで私がやってるんだもの。興味を持ったものは誰に言われずとも好き勝手やるのに…」
「仕方ないじゃん。そーゆーことにはまっったく興味が持てないんだからさ。あーあ、この際、すぐに満たされるものでもいいから、私の好奇心をくすぐるような何かないかなー」
そう言って私は本日の情報収集のため、スマホをいじり始める。
正直なことを言えば、幼馴染の彼女には本当に感謝している。好奇心のままに行動している間、私は寝食を忘れてそれだけを考えているので、倒れたことが何度もある。その度に彼女の手を煩わせ、ある時から頃合いを見計らって私に食事や睡眠を無理にでも取らせる、というスタンスになっていた。お小言や説教という、私にとっては厄介なオマケ付きで。
そんなことを考えながら適当に眺めていたSNSで、ようやく心惹かれる噂を見つけた。それもこの近くでのもの。もう少し情報はないかと調べてみる。同じようなものが複数のアカウントから投稿されていた。中には、同じアカウントから何度も何度もその噂に関するものであろう投稿がされているのも見つかった。思わず頬が緩み、口角が上がる。うん、これに決めた。
私は噂の調査でいつも使っているバッグをつかみ、必要なものが全部入っていることを確認すると手早く身支度を整える。突然動き始めた私に幼馴染は驚きはしたが、いつもの事なので彼女ももう慣れたもので、「行先は?言っても無駄だとは思うけど危ないことはしないように。」などなど、必要最低限の質問といつも通りの忠告をため息混じりに口にする。それに玄関へと向かいながら答える。
「取り敢えず図書館!その後はわかったこと次第で動くからわかんない!多分ないと思うけど覚えてたら連絡はなるべく入れるようにするから!」
「連絡は必ず入れなさい!!ったく、好奇心は猫をも殺すんだよ?ま、気をつけて行ってらっしゃい。」
「はいはい!じゃ、行ってきまーす!」
そう言って家を飛び出した。
図書館での情報収集は順調に進んだ。むしろ、調べれば調べるほど噂に関係しそうな事実が次々判明した。それだから私の好奇心はどんどん溢れてくる。
知りたい、もっと。
もっと、もっと!
もっと知りたい!!
この噂の内容は、正直に言えば気分のいいものでは無い。だが、点でしかなかった情報が繋がって一本の線になっていく達成感や喜びがそれを上回り、手が止まらない。私には止められない。
これ以上は出てこないだろうという頃には閉館時間が迫っていた。丁度いい。これから現地に行ってみよう。そう思い立った私は図書館を出て、噂となっている場所に向かって歩き始める。その場所は私もよく知る場所だった。それにもかかわらず、私はその噂を今日まで知らなかった。その理由も気になってはいるが、今は噂それ自体が優先だ。
噂の場所は図書館からそう遠くはなく、歩いて10分ほどで着いた。そういえば、昼間にここに来ることや、見ることはあったけど、夜はなかったな、なんて思いながら目を向ける。
コンクリート造りだが、あちこち亀裂が入っていて、いつ崩れてもおかしくない廃墟。昼間はそうでも無いが、夜に見るととても不気味に映る。
恐怖はあるが、それ以上に好奇心が勝っている。私は意を決してその廃墟に足を踏み入れた。
どんな些細なことでも、君と居れば楽しいことに感じられる。
輝いて、綺麗なものに見える。
だから、私の見ている景色も、それを見ている私の想いも言葉にして君に伝えたいのに、いつだって全ての想いを言葉にして表しきれない。
君はなんてこともないように、それらを素敵な言葉で綴っているのに。
「次は終点、終点。○○です。」
ああ、もう着いてしまうのか。
この時期は毎日暑くて、駅から大学まで歩くのが大変だからとバスを利用している。
でも、乗っている時間はそんなに長くないから流れる汗はひいてくれない。
だからいつも、終点のアナウンスを聞くとそんな風に思ってしまう。
バスが停車する。今日も大変な一日が始まる。
それでも自分で選んだ道だ。
バスの終点まではあっという間でも、人生における終点はいくつもあって、自分で決めることができる。
まずは一番近い終点であり、新たなスタートとなる地点を目指して頑張ろう。