―20歳―
人生の節目
とか、
人生の半分
って言うけど、
人間の寿命の世界平均って、
約70歳らしいよ?
やっと20歳かって思ったけど、
まだまだ先長い可能性の方が高いじゃん
―三日月―
いつもそう
心が落ち着かない日や、
眠れない夜は、
窓の外を眺める
今夜の窓から見えたのは、
窓の形に四角く切り取られた密度の濃い夜と、
それを蝕むように茂る深い緑
そして、その存在を雲の隙間から
ほんのりと浮かび上がらせる、三日月
あの細く、糸のような光でも
ちゃんと存在感があって
私の名にも、月という字が与えられているのに
この狭い部屋の中で、何も出来ない無力な私と
あの月とじゃ、存在がまるで違う
私は月を真似ただけのすっぽんだ
ぼんやりとそんなことを考えていると、
ただでさえ眠れない夜なのに、
嫌なことを思い出してしまった
あぁ、そうだ
―あの三日月が満ちて、
満月になる頃には、私はもう…―
―色とりどり―
今日、花屋を見た
軒下から店の奥まで、
所狭しと並んだ花、花、花…
それは、水やりをする店の人が
埋もれて見えなくなってしまうくらいの数で、
影の色なども含めれば、
この世の全ての色がここにあるんじゃないかと
思えてしまうくらい、色とりどりだ
こんなにも、色も形も様々な花達の中から
幾つかを厳選するなんて、
その花々の在り方を踏み躙るようで
無礼な気がしてならない
あの花は花弁の形が悪いだとか、
この花は色が綺麗じゃないだとか、
その花は新鮮さに欠けるだとか、
そうやって善し悪しをつける人もいるけど、
足りない部分も含めて、それぞれの個性なのに
…と、私は思うんだ
人もそれぞれ違う色をもつ
ひとつとして、同じ色はないし、
自分の色を作れるのは自分自身だけ
それなのに、
人と違うから、
人より劣っているように見えるから、
そう言って人を区別して、
拒絶したり、罵ったり、時に痛めつけたり
それはちょっと違うんじゃない?
どれだけ統一感がなくたって、
色とりどりだって、
混ぜれば全部一緒
同じ色になるんだから
―雪―
天高くから舞い降りてきた、
まるで夢の世界や絵本の中から
飛び出してきたように美しいそれ…
雪
それは、一面のコンクリートと
人々がつく息を白く染め、
このビルが立ち並ぶ都会をも、
ファンタジーの世界に変えた
―君と一緒に―
少なくとも、私に余裕があるうちは、
出かけるのだって、
ご飯を食べるのだって、
寝付くのだって、
君と一緒に
…って思ってた
もし君も同じだったら…
それに勝る嬉しさはないと思うのだけれど
いつかは、君にも独り立ちの時が来る
実際に今君は、自立の時を迎えようとしている
君はもう、そんなにも大きくなったんだね
毎日毎日、君と一緒に過ごしてきた筈なのに
…知らなかったよ
確かに、こんなに早く自立してしまうなんて、
思っていなかったし、
今まで通り、君のそばにいて助けをすることが
出来なくなるのは、少し寂しいと思う
でも、私はね、君を束縛したくはないんだ
自分の道を自由に進んでいってほしい
だから、
今、
君に贈る言葉
『見守ってるからね』