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4/21/2024, 8:46:46 AM

『もしも未来が見れるなら』

 少し先の未来が見えたなら。

 そう思っている人は多いだろう。俺もその1人だ。

 もしもその能力を手に入れられたら何に使うだろう? お金を稼ぐ為に株や宝くじを買う? 事故などを回避する? 他にも色々あるだろう。

 俺は、多分、恋愛に使うだろう。今、片思いしている小夜さんとの恋愛の未来をみたい。そんなに先の未来は見れないかもだが。

 小夜さんは綺麗で、素敵で、可愛くて、素敵で、可愛い(語彙力? 捨ててきたわ)。だからお近づきになりたいのだ。

 未来が見れたら色々細工が出来る。廊下で『偶然』会う事だって出来るし、休日でもそうだ。上手くやれば色々出来る。

 なんて夢が膨らむ能力なんだ。最高過ぎる。まあ、無いんだけどな、俺にそんな能力。

 使えたらこの恋も成就してたのかなぁ。まあまだフラれた訳じゃ無いんだけどさ。望み薄と言うか……。

 辛い物だよ、人生というのは。これからも頑張って生きていこう。
 
 

 
 

4/19/2024, 4:19:05 AM

『無色の世界』

 「おいで、ラル」

 次の瞬間、私の隣に5mほどの鷲が空から降りてくる。

 「どうした、小夜? 何かあったか?」

 「ううん、何も無いよ。ただ少し、寂しかっただけ」

 この世界には、何も無い。緑も、海や川も、建物も、何もかも。

 生きている者は、私とラルだけ。他に生きている人間も、動物も、見た事がない。

 ラルは、私がこの世界で目が覚めた時に、隣で一緒に気絶していた子だ。素性は一切わからない。家で飼っていた鷲がいた。名前は忘れたけど。その子と比べても大き過ぎるとは思うけど……

 この世界ではお腹は減らない。睡眠も取らなくて良い世界みたいだ。でも、取れないわけではない。寝ようと思えば寝れるし、食べようと思えば食べられる。食材があれば、だけど。

 ラルは、いつも一緒に居てくれる。私が寂しいと言ったら近くに来てくれる。だから、私はラルが好き。

 この世界には、色がない。緑も、青も、他の色も。ただ、灰色。それ以上でもそれ以下でもない。あるのは、私とラルの『色』だけ。

 目覚めて少し経った後、情報を得る為にかなり歩き回った。でも、何も無いと言うことしかわからなかった。

 だから、私はラルとここにいる事にした。ラルは、私の側を離れないと思うから。私の寂しさを埋めてくれると思ったから。

 「ねぇ、ラルはずっと私の隣にいる?」

 「ああ、勿論だ」

 「う〜ん……」

 「なんだ、信じられないか?」

 ラルが首をコテン、と斜めに傾ける。

 「信じてるよ。でも、何か……おかしいの……なんか……わからないけど……」

 「……少し寝た方が良い。ほら、私に寄りかかれ」

 「うん、ありがとう。少し寝るね」

 「ああ、おやすみ」

 少し経った後、小さく、可愛い寝息が聞こえてくる。ラルは、小夜の事を見ながら、こう呟いた。

 「大丈夫だ、小夜。ここなら一緒に居られる。現実と違って、このお前の理想の世界なら、ずっと」

 そう、穏やかな、そして少し寂しげに。
 

 

 

4/18/2024, 8:24:43 AM

『桜散る』

 「桜、散ってきちゃったな〜」

 「……そうだね」

 眠い目を擦りながら、幼馴染の小夜と共に学校への道を歩く。

 その道には桜の花びらが散っており、蕾も緑になって来ている。

 「俺、桜好きなんだけどな〜」

 「……私はあまり……くしゅん!」

 隣で小夜がくしゃみをしている。花粉症だからね、仕方がないね。

 「春は嫌い……」

 「まあ、花粉症のお前はそうだな」

 「ずるい……鼻水とくしゃみで死にそう……」

 「お前ずっと箱ティッシュ持ってるもんな」

 「……相棒……将来の結婚相手……」

 待て待て、どうやってティッシュと婚姻届を出す気だ。市役所の人たちがびっくりしちゃうでしょ。

 「……でも、桜が散っちゃうのは悲しい……」

 「お前、花好きだもんな」

 「……うん……桜はあまり好きじゃないけど花だから……」

 「そのティッシュの柄、花だもんな」

 「可愛いでしょ……?」

 うん、可愛い。誰が、とは言わないけど。

 俺は、落ちている桜の花びらを見ながら呟く。

 「もう、夏になるんだな〜……」

 「……夏休みまで、頑張ろう……そしたら、遊びに行こ……?」

 小夜がこっちを向き、真顔で言う。なんか圧があって怖いんだよね、小夜の真顔。

 「ああ、そうだな。海でも行くか? それともお前の家でスOブラでもするか?」

 「……遊びに来るなら、ついでに告白もしてくれると嬉しいです……」

 小夜が顔を赤くしながら言う。控えめに言って可愛い。そっぽを向いているのもまた良い。

 「んあ?ごめん、寝てた」

 「今、歩いてたよ……?」

 

4/17/2024, 8:39:45 AM

『届かぬ思い』

 俺は今、とても悩んでいる。

 この国最高の高校、大学を出ていたとしても、人間である限り、この問題に直面するだろう。

 「う〜ん、悩むな……どうすれば……」

 「いや、何時間悩んでんの?」

 隣にいる小夜がそんなことを言ってくる。

 「は? 悩むだろ。お前馬鹿か?」

 「あんたにだけは言われたく無いわ!」

 そんな大きな声を出すなよ。迷惑になるだろうが。

 「五月蝿いなぁ。少し落ち着けよ」

 「マジでぶん殴るよ?!」

 小夜が俺に向けて拳を握ってくる。普通に怖いからやめて欲しい。

 「まあ待て、なんでそんなに怒っているんだ?」

 「あんたが堅あげポテトの塩味とブラックペッパー味で2時間も悩んでるからだよ!」

 「は?悩むだろ。塩とブラックペッパーだぞ?人生で1番悩むわ」

 「悩まないわ! 悩んだとしても2時間もお菓子コーナーで唸らないわ!」

 「?」

 「何言ってんだこいつみたいな顔でこっちを見るな!」

 「だって決められないんだもん」

 「だもん、じゃないわ気持ち悪い! 早く決めて! もう外暗くなってきてるから! あと1分で!」

 「え〜無理」

 「無理じゃ無い! さっさと決める!」

 もうそろそろ殺されそうなので早く決める事にしよう。流石にまだ死にたく無い。

 結局その後10分悩み、塩味にして帰った。

4/16/2024, 8:30:33 AM

『神様へ』

 罪と言うのは、一生消えない。

 一度犯した罪は、自分の心にも、そして周りの人の心にも残る。一生消えない傷として。

 「ねぇ、小夜先輩。目を開けてくださいよ……」

 そう、俺が抱き抱えている人に言葉をかける。

 先輩のお腹からは大量の血が出ていた。もう助からない、それはわかっている。

 でも、そう信じたく無かった。俺の油断で、こんな事になってしまったと言う事実を。

 「先輩、お願いします……俺、もっと気をつけますから……だから……」

 先輩からの返答は無い。ただ、まだ目を開けている。生きているはずだ。

 「煌驥……君」

 俺は声がする方、自分の胸へと視線を向ける。

 「先輩! 先輩!」

 「ごめんね……煌驥君……私がもっと、強ければ良かったんだけど……」

 「それは違う! 俺のせいだ! 先輩は何も悪く無い!」

 俺の目から、涙が溢れる。自分の弱さに、情けなさに。

 「ごめん……ごめんね……煌驥君……」

 「先輩?! 先輩! 目を開けてください!」

 何故、俺はこんなにも弱いんだ。何故、罪を消せない。後悔を消せないんだ。

 なあ、神様。お願いだ。1度だけ、1度だけで良いから。
    おれたち
 無力な『人間』に、力を下さい。

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