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『桜散る』

 「桜、散ってきちゃったな〜」

 「……そうだね」

 眠い目を擦りながら、幼馴染の小夜と共に学校への道を歩く。

 その道には桜の花びらが散っており、蕾も緑になって来ている。

 「俺、桜好きなんだけどな〜」

 「……私はあまり……くしゅん!」

 隣で小夜がくしゃみをしている。花粉症だからね、仕方がないね。

 「春は嫌い……」

 「まあ、花粉症のお前はそうだな」

 「ずるい……鼻水とくしゃみで死にそう……」

 「お前ずっと箱ティッシュ持ってるもんな」

 「……相棒……将来の結婚相手……」

 待て待て、どうやってティッシュと婚姻届を出す気だ。市役所の人たちがびっくりしちゃうでしょ。

 「……でも、桜が散っちゃうのは悲しい……」

 「お前、花好きだもんな」

 「……うん……桜はあまり好きじゃないけど花だから……」

 「そのティッシュの柄、花だもんな」

 「可愛いでしょ……?」

 うん、可愛い。誰が、とは言わないけど。

 俺は、落ちている桜の花びらを見ながら呟く。

 「もう、夏になるんだな〜……」

 「……夏休みまで、頑張ろう……そしたら、遊びに行こ……?」

 小夜がこっちを向き、真顔で言う。なんか圧があって怖いんだよね、小夜の真顔。

 「ああ、そうだな。海でも行くか? それともお前の家でスOブラでもするか?」

 「……遊びに来るなら、ついでに告白もしてくれると嬉しいです……」

 小夜が顔を赤くしながら言う。控えめに言って可愛い。そっぽを向いているのもまた良い。

 「んあ?ごめん、寝てた」

 「今、歩いてたよ……?」

 

4/18/2024, 8:24:43 AM