クラゲの森

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2/26/2024, 9:22:36 AM

神様は寂しい
私は知っている。神様の気持ちによって天気が決まっているということを。
晴れている日は機嫌が良い日だし、雨が降ってる日は悲しい日、曇りの日は気分が晴れない日、雷は怒っている日って神様の気持ちによって天気が分かれている。
私はいつも天気を見ては「今日は機嫌が良いのだな」とか思いながら洗濯物を干していたりする。
ある日、洗濯物を干していると空から神様が降りてきた。
「君はいつも僕の気持ちを見てくれているね」
神様はおじいちゃんなのかと思っていたが違っていた。普通の若い青年のような子であった。
私は頷き「いつも天気を見ていますよ」と言った。
「僕のところに来てよ。いつも、僕の気持ちを見て言葉をかけて欲しいんだ」
私は考えこう言った。
「私には家族がいます。1人の夫と2人の息子と1人の娘が」
「一緒に連れて来ればいい」
「仕事が出来ません」
「やらなければいい」
どんな言葉を投げても諦めてはくれません。
「私はこの世界から離れたくありません」
強くハッキリそういうと「そうか」と言って神様は帰って行った。
しばらくして、今まで晴れていた天気は物憂げな空になっていた。
私はそんな空を見て一言言った。
「神様も寂しいのですね」

2/23/2024, 1:03:59 PM

フィスナとLove You
昔、遠い昔の話。とあるところに、「アンドル」という国がありました。
そこは国民が貧しく、路上で横たわって明日の食事を探しているほどでした。
ですが国王はそんな問題を見向きもせず自分だけ大層な暮らしをしていました。
明日生きられるかどうか分からない国民達は苦しんでいましたがある娘は違いました。
「フィスナ」という娘です。フィスナは国王の実の娘であり、夜になると城の自分の部屋の窓から「Love You」と国民に対して、愛の気持ちを言い続けながらパンを籠に入れ、紐で下に降ろして国民に配っていました。
フィスナの心優しい気遣いに国民達は、毎日夜は城の周りに集まりました。
そんなある日、国王がその事を知ると国王は激怒し、娘のフィスナを処刑するといい始めたのです。
フィスナは牢獄に入れられ、嘆き、悲しんでいました。
国民もフィスナが処刑されると聞くと悲しみました。これからのご飯も「Love You」という美しい声も聞けなくなるというのは国民にとっても辛いことでした。
処刑の当日、フィスナは処刑場に立たされました。
フィスナの服はボロボロで体は赤く腫れ上がっているところがありました。
「それでは処刑を始める」
と国王が言い、剣を握りました。国王自身がフィスナを処刑するのです。
「Love You Love You」
そう国民に愛を伝え続けるフィスナ。
国王が剣を高く上げ、おろそうとした時です。
グサッ
国王から血が出てきました。国民の1人が国王の胸を刺したのです。
それから、国民はフィスナを助けようと国王を襲いました。
数時間もしない内に国王は殺され、兵隊も逃げ出してしまいました。
そして、フィスナは女王となり、国民達と幸せに暮らしました。
「おしまい」
と私が読み終わり息子を見ると息子はスッキリしないような顔で私を見た。
「なんで国民達は国王を殺したの?」
「国王はフィスナを殺そうとしたからよ」
私は息子と目を合わせ、優しく教える。
「なんで国王はフィスナが国民にパンや愛の言葉を伝えただけで処刑しようとしたの?」
私は少し考えて言った。
「魔女だったのかも……しれないわね」
「魔女?」と息子は頭を傾げた。
「例えば、Love Youが魔法の言葉でフィスナが国民に魔法を仕掛けて、国王を殺させて自分が女王になるチャンスを作ったとかね」
息子はそれでも頭を傾げていた。やはり、小さい子にはまだこのおとぎ話は早かったかと自分の心の中で反省する。
コンコン
誰かがドアをロックする音が聞こえる。
「"フィスナ女王様"もう少しで式典のお時間です」
お団子の茶色の髪をしたメイドが私に知らせる。
「さ、行くわよ。」
私は息子の、手を引きながら、"アンドル王国の女王フィスナとして歩き出した"。

2/22/2024, 1:50:10 PM

太陽の陰に寄り添う
私の彼氏を一言で表せば太陽のような彼氏だ。
ポジティブで性格が明るく、誰にでも分け隔てなく優しく接する彼。
そんな彼氏はみんなから羨ましがられていた。私も誇りに思うほどの彼だ。
そんな彼氏に甘えて、我儘をよく言っていた。
そんなある日、彼氏の家に泊まった。
「一緒に寝よう」と言っても彼氏は良いとは言ってくれず、私は少々不機嫌になっていた。
「おやすみ」
少し不機嫌になりながらおやすみを言うと彼が用意してくれたベットに入って眠りに落ちた。
突然、眠りから覚めた。
目を擦れば、時計は深夜の2時を指していた。
少し、喉が渇いたから水を飲もうとベットから立ち上がった。
階段を音を立てないようにゆっくり降りた。
「えっ?」
誰かが啜り泣く声が聞こえてきた。
階段の影からリビングを見てみると、彼氏が声を小さくして泣いている。
目を赤くしていて相当泣いていたことが分かる。
頭の中で彼氏の言葉を思い出した。
「どんな物にだって影はあるよ。どんなに明るくてもどんなに光っていてもね」
私は彼に近づき、そっと後ろから抱きしめた。
太陽のような彼にも影がある。私は、その影を隠す人間になりたいと抱きしめながら思った。

2/21/2024, 1:39:25 PM

0から1歩踏み出す勇気
拝啓、これを読んでいるの私へ
私は今、虐められています。理由は分かりますよね。アイドルという夢物語のような夢を描いているからです。同級生からはどんな物でも隠され、陰口の日々。先生さえも無視します。
それでも、私はアイドルを目指します。この手紙を読んでいる頃にはアイドルになれていますか?私の憧れたアイドルに努力が報われた事の証明になるような立派なアイドルになれていますか?
これからも日々頑張っていきます。
数年前の私
こんな手紙誰が書いたんだろう。
まだキラキラしたような夢物語を信じていた中3の私。アイドルになりたいと思って必死に努力していたあの頃。
どんなに辛くても、どんなに虐められても陰口を言われても、努力すればなれると思ってやってきた。
けど、現実はそうはいかなかった。0だった私は結局0のまま歩んでいない。
「私はどうやってこれから生きていこう」
そんな事を呟きながらベットに横たわる。努力は必ず報われるなんて綺麗事に過ぎない。そんなの分かりきった答えだ。
私は手紙を手で握りしめ捨てようと起き上がった。
「なにこれ」
手紙の後ろにもうひとつの紙が小さく折りたたまれていたのに気がついた。
私は恐る恐る手紙を開けた。
「0から1歩踏み出す時に失敗しても次はもっと気軽になるよ。勇気を持って!」
2枚目の折りたたまられていた紙には、大きな文字でそう書かれていた。
こんな私でもやり直せるだろうか?こんな逃げた自分でもまだ、夢を諦めずに1歩踏み出せる勇気はあるのか?
顔から涙が溢れながら、何故か私は誰かから背中を押されているような気がした。
私は0から1歩踏み出すために勇気を取り出した。