コトノハ

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5/9/2026, 10:50:10 AM

拾い上げた、たかが1枚のシラバス。
ぐしゃぐしゃだが、まだ辛うじて字を読むことができる。
授業内容、配点、書き連ねられているのはかつての教師たちの苗字だ。

口うるさい担任と、つまらなかった授業、出し損ねた課題。
私は随分と不真面目な生徒だった。
案の定赤点で追試で、特別指導を受けた。
そのとき改めて教わると案外分かりやすくて、私は拍子抜けしたものだった。
改めて聞くと案外優しい声だと思った。

友人は笑い飛ばした。
本気で馬鹿にしてくれたが、だからこそ私も笑っていられたのかもしれなかった。
アイツは賢かった。
私より何倍も優秀で世渡り上手で気の利くやつであった。
黒髪が滲んで、もう顔も思い出せない。

不意に烏が鳴く。
この惨状のどこに住処があるのだろうか。
あるいは、その鳴き声が喪った証明なのか。
君の家族は無事だったか。

手元の物をよく見ると、ちょうど半分で破れている。

あぁ、片割れを探そうか。
もうこれに価値は無いが。

4/27/2026, 3:24:13 PM

死にたくない。

恐ろしいことに、私はまるで産まれた時から輪廻転生を信じず、死ねば何も無くなることを知っているかのようだった。

そのせいだろうか。そのせいだろうな。
私が死というものを極端に恐れているのは。

死んだ時、何もかも、言葉も体も意識も失うことを自覚したかのように私は考えることをやめた。

消極的だと失笑する者もいるかもしれないが、私にとってはこれが精一杯で、唯一の理想だったのである。


Q.なぜ生きているのか?

A.死にたくないから。

4/22/2026, 11:26:58 AM

そうして終わりは告げられた。
一方が滅び、一方が生き延びた。
それは慈悲などない戦争だった。

私は歩いていた。
一面は焼け野原であった。

グレーと茶と黒だけが遺り、レンガ造りだった家も、整えられていた花壇も、大きな複合遊具も全て煤けていた。
灰の匂いがした。死んだ匂いがした。何もない匂いだった。

ふとゾッとした。それは此処で鍛えられた第六感だった。
振り返ると少女が瓦礫の裏からこちらを――震える手で拳銃を構えていた。

もう可哀想で仕方がなかった。
私は堪らず両手を上げて少女に近づいて膝をついた。

家族は?家は?友人は?
そんなことを聞いても仕方がないのはお察しだった。
少女に手を差し伸べ、私はこう言った。

「一緒に来ないか。」

少女は煤けていた。しかしまだ生きていた。
疑いを帯びた視線と拳銃を握る手が迷いに揺れて、やがて降ろされた。

「それでいい。」

私よりひと回りもふた回りも小さな手を、握り潰さないように包んだ。
生温く生きた感触がした。

立ち上がった。
私達はまた歩き出した。

4/20/2026, 10:53:23 AM

「何もいらない。」
何が欲しいのか?あるいは、何が欲しかったのか?今はそれすら分からない。ただ此処で眠っていたい。

「何もいらない。」
こんなものは望んでいない!要らぬものを受け取るくらいなら、何も持たない方が余程マシだ。

「何もいらない。」
私は自由だ。私を縛るものなどもう無い。私は遥かに見えるあの雁たちのように、ただ真っ直ぐに、好きに生きるのだ。

「何もいらない。」
君さえいれば、僕は溺れる程の幸福の最中にいられる。僕と、君と。これ以上に、僕は一体何を望めようか?


何もいらない。今も、誰かがそう思う。

4/16/2026, 10:47:49 AM

私はずっと夢を見ている。

あぁ、今目の前にあるのが現実であることは分かっている、安心してくれ。
これはそう、確かに現実であるんだが――。

告白しようか。私は現実を正しく認識することができない。

目が悪いわけでも、幻覚が見える訳でもないのだが、単に入ってきた情報を脳が処理しないと言うか。

いや、幻覚は、見ようと思えば見えるのだが……そうなると幻覚と言うよりは妄想に近いのか?まぁそんなことはどうでもいいのだ、ほんとうに。

ただずっと本物の現実が見えないんだ。いや、見えるのだが、現実味が湧かないと言うか。現実にしてはあまりにも薄味なのだ。なにも……。

おっと、こんなお題だったから、つい勝手な独白を書いてしまった。どうでも良かっただろう、謝罪させてくれ。

本当に締まらない話だったな。仕方ない、こういう時は名言を借りるに限る。私の好きなゲームのキャラクターの手記だ。良ければ調べてくれ。では。



夢が現実なのか、現実が夢なのか。
バルドゥークの冒険を通して私が辿り着いた答えは酷く単純だ。

「どちらでもいいではないか。」

どちらが真実なのか――ではない。どちらも真実なのだ。
いずれをも肯定して受け入れ、そして未来を生きて行こう。


アドル・クリスティン24歳時の冒険を描いた冒険日誌『バルドゥークの檻』より

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