拾い上げた、たかが1枚のシラバス。
ぐしゃぐしゃだが、まだ辛うじて字を読むことができる。
授業内容、配点、書き連ねられているのはかつての教師たちの苗字だ。
口うるさい担任と、つまらなかった授業、出し損ねた課題。
私は随分と不真面目な生徒だった。
案の定赤点で追試で、特別指導を受けた。
そのとき改めて教わると案外分かりやすくて、私は拍子抜けしたものだった。
改めて聞くと案外優しい声だと思った。
友人は笑い飛ばした。
本気で馬鹿にしてくれたが、だからこそ私も笑っていられたのかもしれなかった。
アイツは賢かった。
私より何倍も優秀で世渡り上手で気の利くやつであった。
黒髪が滲んで、もう顔も思い出せない。
不意に烏が鳴く。
この惨状のどこに住処があるのだろうか。
あるいは、その鳴き声が喪った証明なのか。
君の家族は無事だったか。
手元の物をよく見ると、ちょうど半分で破れている。
あぁ、片割れを探そうか。
もうこれに価値は無いが。
5/9/2026, 10:50:10 AM