遠くの空へ(ポエム歌詞)
遠くの空へ
僕らの羽で
はばたくのさ
片翼もふたりそろえば
どこまでだって飛べる
希望の明日(あす)へ
地に足つけて
歩んでいく
遅くとも前に進めば
明るい兆し見える
飛んでもいい
歩いてもいい
休んでもいいさ
仲間がいてもいなくても
時は流れていくのだから
遠くの空へ
想いを馳せて
共に行こう
明るい明日を見つけに
いつまでもどこまでも
言葉にできない(オリジナル)(異世界ファンタジー)
ラッツは一人で依頼を受けて町はずれに来ていた。
依頼人は町のギャングで、反対派ギャングを陥れる依頼だった。
悪に手を貸すのかと、アレスには拒否され、ユーズにはドン引かれ、ネオには憐れまれた。
ゆえの、一人だった。
依頼は果たしたのであるが、逃げる途中に蟻地獄のような落とし穴に落ち、囚われの身となった。
阿呆である。
死ぬかと思うほどの暴行を受け、地下の薄汚い牢屋に監禁され、今は地面に身を横たえていた。
(あー、失敗した)
片目が腫れていて、前が良く見えない。
肋骨が折れているのか、身動きすると痛い。
人質としての価値があるか確認中らしく、使えないただの雇われ冒険者だとわかれば殺されるかもしれない。
(どう逃げるか…)
見ぐるみ剥がされて、剣も道具も何もない。
10人くらいなら何とかなるが、それ以上はキツい。
動かない頭でグルグル考えていたが、寒いし震えるし、何だかどうでも良くなってきてしまった。
(失敗ばかりの間抜けな人生だったな…)
色々頑張ってきたけれど、ここまでかと、ラッツは目を閉じた。
ガチャリと音がして、ラッツはうっすら目を開けた。
死刑宣告かと視線を向けると、牢屋の前に見知った顔。
アレスであった。
右手に剣を持ち、刃が血で濡れている。
(どうしてここに?)
「ラッツさん?!大丈夫ですか?」
アレスはラッツが動かないのを見て牢屋の中に入ってきた。ラッツを起こし、肩を貸す。
「いてててて」
「我慢してください。歩けますか?」
ラッツは小さく頷いた。足がガクガク震えるが、肩を貸してくれればいけそうだ。
「どうして、ここに?」
「ラッツさんが帰ってこないから探したんですよ。全く。だからこんな依頼、受けなければ良かったのに」
「……面目ない」
道々、足元にギャングが多数転がっていた。アレスが叩き伏せたようであった。強い。
地上に出ると、地上は火の海であった。
「は?」
ギャングが火消しに右往左往している。
ぽかんとしているラッツの目の前に、剣が2本差し出された。
その手は毛深い獣の手。
ネオであった。
取り戻してくれた荷物と魔剣を、ラッツに差し出していた。
「なんで?」
ネオの代わりに、アレスが答えた。
「ラッツさんの救出に手を貸してくれたんですよ。ちなみにユーズさんも外で待機していますからね」
ネオは荷物をラッツの胸に押しつけて受け取らせると、背負っていた巨大な両手剣を構え、道を切り開くべく巨体を前に走らせた。
ヒトより大きな半獣が、巨大な剣を手に飛びかかってくる迫力は相当らしく、ギャング達は逃げまどった。
ラッツ達はギャングの砦を無事脱出したのであった。
「もー!!ラッツさん!!」
森の外れで待機していたユーズが傷を治してくれた。
と同時に、怒りが飛んでくる。
「心配したんですからね!!」
「しん、ぱい?」
「何で「どうして?」みたいな顔してるんですか!!」
本気でわからないラッツに、ユーズはさらに怒り心頭。
「アレスさんがどれだけ心配していたか!」
「え、私ですか?!」
「え?」
「あ、ええ、心配、そうですね。いや?」
「アレスさん?!めちゃくちゃ走り回って探してたじゃないですか?!」
アレスはラッツが持つ魔剣の行方が心配だったに違いない。その監視のためについてきているのだから。
ユーズに誤解させてしまったようだった。
「すまんすまん。まぁ、正直助かった」
ラッツは笑ってそう言った。
それまで黙って皆を眺めていたネオであったが、そこでポツリと、
「危険な依頼の時はせめて行き先を伝えて行くんだな」
と、ラッツに言った。
「へ?」
「合流した時くらいは助け合える。仲間だろう」
(仲間)
ラッツの胸が、震えた。
己の過失で失った、幼馴染の仲間達が走馬灯のように、浮かんで消えた。
二度と仲間などつくるまいと誓ったあの日を思い出す。
胸の震えが果たして、怒りなのか、恐怖なのか、喜びなのか。
自分の事なのに感情がわからず、ネオへの返答は言葉にできなかった。
春爛漫(オリジナル)
満開の桜。
麗らかな陽気。
桜を愛でる人々。
春。
私は公園を歩いていた。
すると、突然、
「そこなお嬢さん」
と声がした。
私の事かと訝しく思いながら振り向くと、黒いロングコートを身体に巻き付け、短い髪を頭頂部で結んだ、赤ら顔のおじさんが立っていた。
私が足早に去ろうとすると、慌てた様子で、
「あいや待たれよ」
などと言う。
「私は春を呼ぶ魔法使いである」
完全に頭のおかしい人である。
けれど、ちょっと面白くなって立ち止まってしまった。
それに気を良くした彼は、鼻息荒く、
「とくとごろうじろ!」
バサリとマントを開いた。
突風が吹き、周囲の桜が一斉に花びらを散らす。
一瞬、本当に何かの魔法かと思ったくらいだ。
けれど、すでに咲いている花を散らしただけでは春を呼んだと言わないのでは?
私は突風と舞い散る花びらに目を開けていることができなかったが、風が止んだので目を開けた。
目の前の男は、両手を大きく開き、大の字で黒いマントを背中に広げ、その下の裸体を晒していた。
「その名も、春⭐︎爛⭐︎漫⭐︎」
喜びで、顔がキラキラしていた。
(春だなぁ)
女装男子の私はにっこり微笑み、警察に通報したのだった。
誰よりも、ずっと(オリジナル)
幼馴染がいる。
隣の家に住む、一つ年下の女の子だ。
彼女は幼い頃から活発で、僕は良く振り回された。
明るくて可愛くて、守ってあげたくなる子だった。
お互い鍵っ子だったので、親公認で僕が良く面倒を見ていた。
誰よりも、ずっと、彼女を大事にしてきた。
家族のようなものだった。
高校も幸いにして同じになった。
行き帰りで良く一緒になったので、周囲にもニコイチ扱いされていたが、悪い気はしなかった。
誰よりも近い位置にいると思っていた。
なのに。
彼女は友達からサッカーのチケットを2枚入手した。
自宅の2階、向かい合う窓の向こうで彼女がそう言うので、当然に僕を誘ってくれるものだと思っていた。
彼女は頬を染めて、
「サッカー観戦、瑛人と行こうと思って」
と言うので、耳を疑った。
「瑛人?」
「ほら、前に話したじゃない?私のクラスのサッカー部の子。初めてだから色々教えてもらえるだろうし、誘ってみたら行きたいって言ってくれて!」
僕も、インドア派とはいえ、サッカーのルールや選手くらいわかる。
彼女に説明できるくらいには。
でも、そういう事ではないのだろう。
わかってしまった。
「そう。晴れるといいね」
僕は動揺を隠しながらそう言って、部屋の窓を閉めた。
強制的に会話終了だ。
彼女から誘われなかった事にショックを受けた。
彼女の一番が自分でなくなりつつある事実を受け入れがたい。
兄が妹に思う気持ちだろうか。
どちらかというと父が娘に感じる気持ちかも。
否。
自分を誤魔化すのはやめよう。
僕は彼女をそういう意味で好きだったのだ。
自覚するのが恥ずかしくて、失敗が怖くて、考えないようにしていた。
その結果である。
僕の恋は、始まる前に終わったのであった。
これからも、ずっと(オリジナル)
人生、選択肢は多くあった方がいい。
それは間違いないが、決断できない私は困った。
自分の人生なので自分で決めれば良い。
けれど、自分の選択に責任を取りたくない。
常に他人や世の中のせいだと、諦めていたかった。
30歳になると、人生における大きな選択肢に惑った。
子供を産むか産まないか。
産むなら相手を見つけないといけない。
結婚の手段を取らず子供のみ育てるなら、今以上の収入と覚悟が必要だ。
これからの人生に、子がいるかいないか。
タイムリミットのある話である。
選択を迫られた。
けれど。
「そういうのは縁だから。相手は自然に見つかるよ」
「変な相手を捕まえるくらいなら焦らない方がいいよ」
それらの言葉を免罪符に、私は何も動かなかった。
結局、結婚も子供も縁がなく。
選ばない動かないという消極的選択ではあるが、子なしの人生を選んだ事になった。
これからも、ずっと、自分のために生きていきます。