NoName

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3/12/2026, 11:34:03 AM

もっと知りたい(914.6)

私は基本、他人に興味がありません。
だからか、顔も名前も覚えられません。
スキンシップも好きじゃありません。
学生時代、女友達にベタベタされるのが嫌でした。
けれどこの歳になって「手当て」の意味を実感し、癒されている自分がいます。
今から、とてもキモい事を言います。
私は美容院と歯医者に定期的に通っているのですが、他人に頭を洗われたり、歯を磨かれたりするのが、とても好きです。癒されます。
自分にはパートナーがいないので、触れられる機会がそのくらいしかないせいでしょうか。
飲みの席で、距離の近い女子にスキンシップのように絡まれるのも、今は結構嫌じゃない。
手当ての効果はスピリチュアルだけれど、データ根拠もあると聞きます。
人間って不思議なものですね。
面白いから人間の不思議をもっと知りたいと思うけれど、やっぱり他人に興味は持てません。
物書きには致命的かもしれませんね…。

3/11/2026, 1:04:11 PM

平穏な日常(オリジナル)

俺は愛妻家と言われている。
就職から10年で結婚。その後3年くらい遊び回っていたが、子供の誕生を機に、家族を何より優先するようになった。
当時はあまり社内で取れる雰囲気ではなかった育児休業をフルに取り、妻の子育てを支えた。
共働きなので、子供が具合を悪くした時は交代で面倒を見た。
一人暮らしが長かったため、家事も得意だ。妻が遅くなる日は食事を作り、子供を風呂に入れ、寝かしつけた。
クリスマスや結婚記念日や誕生日など、イベント事は欠かせない。外食や遊園地、お泊まりなど、様々なプランを立てて遂行した。
妻はとても喜んだ。
我々は仲良し夫婦だと思う。
社内で仲間と話していると羨ましがられるし、愛妻家だと言われるし、自分でもそう思っている。
子供は現在中学生。
何気ない今日。
玄関のチャイムが鳴った。
「あ、俺が出るよ」
テレビを観ていた俺は、キッチンにいる妻に声をかけて玄関へ向かった。
荷物でも届いたかと思って扉を開けると、予想に反して、中高生くらいの制服の少女が、こちらを見上げていた。
俺は何事かと首を捻る。ご近所さんではない。
何となく見たことがある気がするが、思い出せない。
年恰好的に、子供のお友達だろうか。
声をかけようとして、彼女が先に名乗りをあげた。
「私、あなたの子供です」
そう聞いて、結婚後、遊び回っていた期間の事を思い出した。
心当たりがある。
俺は蒼白になった。

平穏な日常は終わりを告げた。

3/10/2026, 12:58:21 PM

愛と平和(オリジナル)

「実は彼女と付き合うことになったんだ」
中学の頃のクラスメイト三人組で集まった席で、二人からそう報告を受けた。
我々は現在、すでに就職して一年が経過しているお年頃である。
私は目を丸くして、
「そうなんだ。おめでとう!」
と祝福した。
顔のパーツがくっきり派手な感じのトワちゃんが、申し訳なさそうな顔をつくっている。その実、少し勝ち誇ったような顔。
「三人で集まる時に気を使うから断ってたんだけどね。彼、全然趣味じゃないし」
「ひでぇな」
背が高くてシュッとしたソガ君は、文句を言いながら嬉しそうに笑っていた。
「え、全然良いよ。お似合いだよ。おめでとう」
私は心から祝福の言葉を贈った。
すごく嬉しかったからだ。
ソガ君。
彼は昔から、借りたものを返さない人間だった。
トワちゃん。
彼女は衝立にある傘は勝手に取って行って良いと思っていて、切符やチケットがなくても席が空いていれば座って良いと思う人間だ。
二人、価値観が似ていると思う。
私とは全然違う。
「なんか、ごめんね」
トワちゃんから謝られたけれど、私的にはむしろ万々歳であった。
これで、彼らの寂しさの穴埋めに使われずに済む。
彼らのような常識を持ったモンスターを世に放ってしまう罪悪感は少しだけあったが、今は喜ぼうと思う。
愛って良いね。
私に平和をありがとう。

3/9/2026, 11:31:14 AM

過ぎ去った日々

海外の、とあるイベントに参加しに来た。
大きな円形状の広場がある、西洋風の空間。
そこが、今回のイベント会場だった。

円を形作る周囲の建物に沿って歩く。
そこここで皆が着替えて、準備に入っていた。
参加者の傍には必ず、白くて細い、人がぎりぎり入れるサイズの、棺桶のような箱が置かれていた。
その中にすでに寝そべっている人もいる。
各自、エルフや冒険者など好きなコスプレをしてこの箱におさまり、そこからゲームが始まるのだった。
それぞれが特殊な光の出る武器を持ち、仮想戦闘、殺し合いだ。
私も自分の場所を確保すべくウロウロしたのだが、建物の隙間の細い路地含めて結構どこも満員だった。
広場の突き当たりまで行き、通り抜けできる店の中を突っ切って、円の外に出る。
外側は、少し寂れた店が並ぶ商店街だった。
そこにも壁に沿って、私と同じような人たちが着替えをしていたので、自分もここで準備しようと決める。
バックパックを地面に置き、そこから着替えを取り出してマントや耳をつけていると、左隣にいる幼稚園くらいの小さな子供に気がついた。
なぜなら彼女に、二人組の男が話しかけていたからだ。
何やら、いかがわしい袋を少女に押し付け、下卑た笑いを浮かべ、嫌がる子供の腕を引っ張っている。
(ロリコン?人さらい?キモッ!)
私は怒りと正義感から、咄嗟に腕を出していた。
彼らと子供の間に腕を入れ、二人組を睨みつける。
彼らは私の腕をどけようと掴んできて、何か言っていたが、私はずっとその姿勢を貫いた。
やがて、彼らは肩をすくめて去っていった。
(勝った…良かった)
今更ながらドキドキしてきた。
普段はこんなふうに動けたためしがない。
コスプレイベントに一人で来た事で、普段と違う自分になれたのかもしれない。
満足して元の位置に戻ろうと右を向いて、私は目が点になった。
バックパックがない。
私の全財産他が入っている荷物が。
忽然と姿を消していた。
途端、私は悟った。
海外で良くある窃盗の手口だ。
左を向くと、さっきまでいた幼女がいなくなっていた。彼女もグルだ。
頭が真っ白になった。
右を見て、左を見るが、走り去ったり怪しい動きをしている人間はいない。
というか、盗んでいる現場を皆見ているだろうに、誰も何もしてくれないとはどういう事だ?!
携帯もない。連絡も翻訳もできない。
私はその場で情けない声をあげた。
もちろん日本語でだ。
「誰か!警察!警察を呼んでください!私の荷物が盗まれました!誰か!」
誰もが無反応で行き過ぎる。
私はその場を離れる勇気もなく、ただウロウロと円を描いた。

やがて、行きに通り過ぎた店内に入り、がくりと椅子に座り込んだ。
これからどうすれば良いのだろう。
途方に暮れていると、カウンター向こうの店主らしき人が、
「だから店の外じゃなく中にいれば良かったのに」
と言ってきた。
私は怒りと悲しみにブチギレた。
だからって何?!
そんな選択肢あったわけ?
ここにいればあんたが荷物見てくれてたっていうの?今更言われても?!







というところで目が覚めました。
夢でした。
なんという悪夢。
肝が冷えました。

数日前に本当に見た、夢のお話。
(お題外かも。すみません)
(914.6)

3/8/2026, 11:16:02 AM

お金より大事なもの(オリジナル)(異世界ファンタジー)

「ラッツさんはお金より大事なもの、ないんですか?!」
ユーズにいきなり喧嘩腰でそう言われ、ラッツは目が点になった。
「へ?急にどうした?」
「どうしたもこうしたもないです!ラッツさんお金にガメついですよね」
確かにその自覚はあったが、お金に困った事のある人なら誰しもこうなると思う。
「人聞きの悪い事言うなよ。何をするにもお金は大事だろ」
「だからって、ほぼ全財産受け取ったらしいじゃないですか」
その発言で、数日前この街で受けて解決した依頼の事らしいと理解した。誰から何を聞いたやら。
ラッツはため息をついた。
「そりゃ依頼人が設定した金額だったからな。後から金ないとか言って値切ろうとしてきたから断っただけ。悪いのはあっちだろ」
ユーズは当初の勢いを失ったが、まだ不満があるらしく、小声でブツブツと文句を言った。
「そうかもしれませんけど…生活が立ち行かなくなるくらい払わせるなんて」
「それこそ、依頼のブツが金より大事なものだったんじゃねぇの?知らんけど」
ユーズを完全に言い負かし、ラッツは続けた。
「そもそも、お金より大事なものって、いくらを想定してるんだよ。金額によるだろ。1ピケ(10円)より大事なものなら山ほどあるけど、1000シーニ(1000万円)だったら仲間くらい簡単に裏切るかもしれん」
隣で話を聞いていたアレスが目を丸くした。
「1000シーニで?!」
「そこ?!大金だろ?!」
地方とはいえ王宮騎士だった彼は、高給取りだったのかもしれない。金銭感覚が違いすぎる。
同意を求めて見回すと、ネオが頷いていた。
彼とは貧乏人仲間だったようである。良かった。
「そういうお前らはどうなんだよ。金より大事なもの」
そう聞くと、アレスが即答した。
「私はいくら金を積まれようと、名誉と己の良心を重んじますね」
彼らしい、期待を裏切らない回答だった。
ユーズは少し考えていたが、
「私も…自分に失望する事や己の正義を裏切る事はしたくないです」
と、言った。聖職者らしい模範回答だった。
そしてネオは、じっくり考えて、
「俺は……家族」
と言った。
ラッツは目を丸くした。
ネオは故郷の里を滅ぼされて家族全員皆殺しにされており、今現在、守るべき家族はいないはず。
その話を知っているのはこの中でラッツだけなので、知らない二人は「家族!良いですね」「さすがネオさんです。お優しい」などとネオに話しかけている。
(あれ?それってお金が一番大事、になってしまうのでは??)
ラッツはネオを盗み見た。
ネオはぼんやりと中空を見つめている。
今は亡き家族の事を思い出しているのかもしれない。
何よりも大事なものだった、それを。
(それを言うなら俺も、か)
だから金より大事なものがないのかも。
ラッツは自虐の苦笑いを浮かべた。

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