平穏な日常(オリジナル)
俺は愛妻家と言われている。
就職から10年で結婚。その後3年くらい遊び回っていたが、子供の誕生を機に、家族を何より優先するようになった。
当時はあまり社内で取れる雰囲気ではなかった育児休業をフルに取り、妻の子育てを支えた。
共働きなので、子供が具合を悪くした時は交代で面倒を見た。
一人暮らしが長かったため、家事も得意だ。妻が遅くなる日は食事を作り、子供を風呂に入れ、寝かしつけた。
クリスマスや結婚記念日や誕生日など、イベント事は欠かせない。外食や遊園地、お泊まりなど、様々なプランを立てて遂行した。
妻はとても喜んだ。
我々は仲良し夫婦だと思う。
社内で仲間と話していると羨ましがられるし、愛妻家だと言われるし、自分でもそう思っている。
子供は現在中学生。
何気ない今日。
玄関のチャイムが鳴った。
「あ、俺が出るよ」
テレビを観ていた俺は、キッチンにいる妻に声をかけて玄関へ向かった。
荷物でも届いたかと思って扉を開けると、予想に反して、中高生くらいの制服の少女が、こちらを見上げていた。
俺は何事かと首を捻る。ご近所さんではない。
何となく見たことがある気がするが、思い出せない。
年恰好的に、子供のお友達だろうか。
声をかけようとして、彼女が先に名乗りをあげた。
「私、あなたの子供です」
そう聞いて、結婚後、遊び回っていた期間の事を思い出した。
心当たりがある。
俺は蒼白になった。
平穏な日常は終わりを告げた。
3/11/2026, 1:04:11 PM