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3/2/2026, 12:55:33 PM

たった一つの希望(オリジナル)

75歳年金暮らしの独居老人である。
明日は年金日だ。
お金が入るまであと3食。
財布の中には120円しかない。
冷蔵庫は空っぽ。
預金残高30円。
今月は出費が嵩んだ。トイレが壊れて修理したし、水道代も高めだった。支払いをきちんとしたら、切り詰めて生活しても、こんな事になってしまった。
別居の子供たちには頼れない。
私はプライドだけは高く、人に頼ったり、金を借りたり、試食巡りをしてお腹を満たすなどの行為が恥ずかしくてできなかった。
(今日は何も食べないで過ごすか…)
一日くらい何も食べなくても死にはしない。
一瞬そう思ったのであるが、頭に閃くものがあった。
昨今、米が値上がりして120円ではおにぎりも買えないが、コロッケなら。
近くのスーパーで売っているのを知っている。確か100円くらいで買えたはず。あれならお腹にたまるし、結構好物だ。
そう考えると、もうコロッケの口になった。
他には何もいらない。
とにかくお腹がすいた。
弱った足を何とか奮い立たせ、15分かけて600メートル先のスーパーまで歩いていった。
ウキウキと惣菜コーナーに向かうと、目当てのコロッケが、ひとつだけ残っていた。
(良かった!)
喜びに笑みを浮かべ、棚まであと数メートルというところで、若者が私を追い抜き、コロッケを奪い去っていった。
(ああ…!)
空になったコロッケの棚の前までようやくたどり着き、私は途方にくれた。
なんだか色々と込み上げてきてしまい、目からほろほろと涙が落ちた。

3/1/2026, 1:03:07 PM

欲望(914.6)

欲望には際限がない。
けれど欲を叶えるためのお金や時間には限りがある。
私はお金で困りたくないので欲を抑えて色々諦めるクセをつけていたのですが、推し活とは相性が悪い。
欲しいものを買いすぎると格納場所にも困ることになる。
それでも日々好きが生まれて欲が生まれる。
楽しいことだけれど限度はあるので、より良い選択をしていきたいですね。

2/28/2026, 11:53:06 AM

遠くの街へ(オリジナル)

私は正義感の強い人間だった。
クラスのいじめを見て見ぬふりはできなかった。
先生を味方につけ、いじめられっ子を庇い、いじめ加害者を糾弾した。
しかし、いじめっ子は強かった。
いじめなんてしていない。彼女は消極的がすぎる。嫌なことは嫌と言えばいい。皆について来れない方が悪い。皆迷惑してる。雰囲気悪くしてるのは彼女だ。だから私が皆を代表して言ってやっているんだ、と。
そして、私の事も、庇うというのは本人の反省と成長を阻害する行為だ。本人のためにならないし、あなたは自分が正義の者だと思いたくて、周りにアピールしたくて彼女を利用しているに過ぎないと指摘した。
絶対彼女の方が悪なのに、私は反論できなかった。
クラスメイトの視線が痛かった。
悔しさと混乱で涙が滲み、泣けば許してもらえると思ってるところが汚い、などとトドメを刺された。
先生は事を大きくしたくなくて、喧嘩両成敗的なシメをして終わらせてしまった。
私は泣いてしまった羞恥と、クラスメイトの冷たい視線の恐怖で、学校に行くのが嫌になった。
否、もはや外に出るのも怖くなった。
クラスメイトが親に話していたら、道行く誰かに汚い人間だと後ろ指を指されるかもしれない。
それが怖かった。
もう、この街にはいたくない。
誰も私を知らない、遠くの街へ行きたい。
逃げだと言われても構うものか。
誰か、誰か、私を連れて一緒に逃げて欲しい。
布団にくるまって、私は泣いた。

2/27/2026, 1:44:38 PM

現実逃避(914.6)

昔、会社の健診の中に、面談がありました。
たぶん、精神疾患やその予備軍でないか確認する検査だったと思う。
問診票記載の趣味の「読書」について聞かれ、物語に没頭する事でいかに現実を忘れられるか力説しようと話し始めたら、お医者さんはすでにこっちを見ておらず、すぐ次の話題に移ってしまいました。
「あ、こいつは(精神的に)大丈夫だ」ってなったのか「話が長くなりそうなので結構です」だったのか。
嬉しいやら悲しいやらの体験でした。
読書は良いぞ。

2/26/2026, 11:24:05 AM

君は今(オリジナル)

君は今、どうしているだろうか。
10年前、大学の時に付き合った彼女の事を想う。
高校の頃から男女の枠を超えて仲良しだった。
感性と趣味が似ていて、同じものに同じタイミングで盛り上がり、意気投合した。
家族のように、多くを語らずともわかりあえた。
男女間の友情は成立するかと周りに聞かれた時、当たり前に彼女が浮かんで、胸を張って成立すると答えていた。
大学が別になり、あまり会えなくなって、関係を繋ぎ止めるためになんとなく彼氏彼女になった。
けれど、始めてしまえば終わりがある。
今度はお互いに自分とは真逆の人間に惹かれて、納得の上、別れる事になった。
そして、なんとなく疎遠となり、今に至る。
友達でいられたら、一生一緒にいられただろうか。
否。恋人や伴侶ができたら、友達とはいえ異性とふたりで会うのは難しくなるだろうから、やはり仕方のないことだろう。
それでも、楽しい時間を過ごしたかけがえのない友であることには違いなく、彼女と見たのに似た真っ赤な夕焼けを目にした時や、ふたりがお気に入りだった映画がテレビでやっている時などに、ふと思い出す。
君は今、元気だろうか。
この夕日を(映画を)見ているだろうか。
僕のことを同じように思い出しているだろうか。

そして、必ず神に祈る。

彼女がどうか健やかで幸せでありますように。

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