せつか

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11/27/2025, 3:48:26 PM

〝大きく吸って 大きく吐いて 深呼吸
ここ一番 お役に お役に 立ちます 〟

小学生の頃TVでやってた五分番組で流れた曲。
タイトルは忘れてしまった。
五分で一曲、歌を紹介していた。NHKの「みんなの歌」のような感じだったけど、民法だったと思う。
この歌詞が何故かずっと頭の片隅にあって、なにか緊張するような事に直面すると不意に流れてくることがある。

大人になって、キツい事とか泣きたくなる事とか色々あったけど、何とかなってきたのはいざという時に深呼吸して一旦立ち止まる癖がついたから、なのかもしれない。

大きく吸って、大きく吐いて。

過呼吸になりそうな事の方が多いこの時代、立ち止まれる瞬間は大事にしたい。


END



「心の深呼吸」

11/26/2025, 9:55:35 PM

誰かの思いが誰かの信念になって

その信念に傷付く人がいて、心動かされる人がいて

離れていく人がいて、引き寄せられる人がいて

遠い遥かな過去を揺り起こし、

隔てた時間と、距離をまた繋ぐ。

一つの思いに邁進する人は、ひたむきで、滑稽で。

それが人を惹き付けて、時には嫌悪させ、

更には次の世代へ繋ぐ。それはまるで織物のようで。

そんな生き方をしている人に、私もいつか出会えるだろうか。


END



「時を繋ぐ糸」

11/25/2025, 3:54:46 PM

アスファルトの固い道が、その時だけは柔らかな絨毯になる。
黄色のふわふわした感触。
時々、くしゃ、カサ、と軽い音がして粉々になる。
十分ほど歩くと、今度は赤茶色。
やっぱり踏むとくしゃ、カサ、パキ、という軽い音と足元から伝わる柔らかな感触。
いつもは閑散とした通りも、この時期だけは人の数が多い気がする。
私と同じ気持ちでこの道を歩く人が結構いるのだ。
小さな子供が楽しげに黄色の葉の中を駆け抜ける。

笑い声。
カサ、くしゃ、パキ。

柔らかな絨毯はすぐに凍てつく霜に覆われるだろう。
儚く過ぎる季節を私はどれだけ覚えていられるだろうか。


END


「落ち葉の道」

11/24/2025, 11:47:16 PM

娘の部屋に入ったのはこれが初めてだった。
上京し、ひとり暮らしを始めたあの子は「大丈夫だから」を繰り返し、心配する私が訪れようとするのを頑なに拒んだ。
真面目で、親の言うことをよく聞く娘が初めて私達に反抗し、上京したのが五年前。
今、私は思いがけないものを見ている。

「好きだったんです」
目の前に広がるのは私の知らない漫画かアニメのキャラクター。青い髪の、眼鏡をかけた男の子が数え切れないくらい並んでいる。
机には見たことない機械が並び、その周りにも小さな同じキャラクター。
「これ、液タブって言って、これで漫画描いてたんです。年に一回は必ずイベントに参加してました」
――知らない。
「これ、作った本」
「·····作っ、た?」
「お母さんにだけ、見せてもいいって言ってました」
薄い本の表紙には青い髪の男の子。
「Xでも時々ご家族の話されてたんです。·····見ますか?」
初めて会う娘の友達は、私と四つ違いの女性で、でも私より若い格好で、それより何より、娘を私より知っていて·····。
「見ても、いいものなんですか?」
「××さん·····あ、コレ、彼女のアカウント名なんですけど。亡くなる少し前に、デジタル遺品とこの部屋にあるものの整理を私に託されたんです。それで、ご家族はお母さんにだけ知ってて欲しい、と·····」
ベッドの端に並んで座り、彼女の手の中にあるスマホを見る。
『設営完了~。皆様今日はよろしくお願いします!しんどいけど楽しいから頑張る!』
机に並んだ本。
顔はニコニコマークで隠してあるが、ピースする薬指が曲がる癖で娘と分かる。けれどその服装は見たことないもので。
「イベントの時はいつもゴスロリ系で揃えてたんですよ」
彼女がクローゼットを開ける。
フリルがたくさんついた服が並んでいる。
「普段はこっちだそうです」
隣に並んでいたのはシンプルなスーツやカーディガン。
「ああ、これ」
ベッドに戻った彼女がスマホの画面をスクロールさせる。
『いつかお母さんには話したい。好きなもののこと、家を出た理由、帰らない理由。そして将来は、お母さんと二人で暮らしたい』
「――」
「ちょっとメンタル下降してた、って言ってた時期で、これ呟いた二週間後に、病気が見つかったんです」
――知らない。
「オフで会った時に色々話してくれて·····」

画面が滲む。
私は娘の何を知っていたんだろう。
カーテンの向こうに夕日が見える。
差し込む赤い光に、名前の知らない男の子が照らされる。
「あなた、時間はあるの?」
私の問いに、彼女は紫のネイルをした手でピースを作る。
「有休三日取りました」
「·····ありがとう。実は私も、初めてなんです」
「·····?」
「夫に反対して旅行する、って言ったの」
「××さん·····あ、本名の方がいいですね。明日、〇〇さんの行きつけのお店、行きましょう!」
「·····そうね。でも今は、ここで」

私の知らないあの子と、彼女の知らないあの子。
知るための鍵を探そう。


END



「君が隠した鍵」

11/23/2025, 4:34:50 PM

やらなきゃいけない事があるのについついスマホとipadに手を伸ばしてしまって、Xを見たりYouTubeを見たりあれやこれやしてるうちに「あれ!?もうこんな時間!?」となる地獄(笑)。

困った、困ったと言いながらそれでも手放せないスマホとipad。
手放した時間はいつか取り戻さないとなー。


END



「手放した時間」

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