紅の記憶·····?
えーと、歯医者に行ったら神経抜く一番痛い処置の時に有線でX-JAPANの〝紅〟がかかって滅茶苦茶響いて痛かったこと、かな。
昔行った歯医者、何故かロックがよくかかってたんだよね·····(笑)。
END
「紅の記憶」
書きかけの小説、コンプリートしそこなったトレーディングカード、中途半端なアドレス帳、数人しかいないフォロワー、買うだけ買って読んでない参考書、ラストダンジョンで止まってるゲーム、小学生の頃はたくさん貰っていた賞状、乗れないまま補助輪が取れなかった自転車、買って使っていないお菓子作りの器具··········
諦めたり、手放したり、急に熱が冷めたり、まぁ理由は色々だよね。
たった一つの夢に向かって邁進し続ける人は、私には眩し過ぎるのです。
END
「夢の断片」
未来が見えないのは当たり前だと思う。
〝未だ〟〝来ず〟なんだから。
でも近い未来ならなんとなく見えるものもある。
たとえば暴飲暴食したら数年後には体重が増えるだろうなとか、肝臓が悪くなるだろうなとか。
誰かとずっと付き合っていたら、いつか同棲するのかなとか、結婚するのかなとか。
見えない未来はどうしたって見えないんだから、それをあれこれ悩むより見える未来の方心配した方がいいよ。
まずは、煙草やめな!!
◆◆◆
ほら見ろ、だから言ったじゃん。
寝煙草で火事なんてダサ過ぎて笑えないよ。
見えなかった? この未来·····。
カッコ悪いねえ。
でも·····本当はさ。
煙草吸ってるアンタの横顔、好きだったよ。
END
「見えない未来へ」
風にも色々名前があるって?
俺はそんなのどうでもいいけど。
アンタはベンキョー出来るから、そういうの色々知ってそうだよな。
今、俺たちの間に吹いてる風はなんだと思う?
向かい風か? 追い風か?
それとも俺が感じる風とアンタが感じる風は違うのかな?
俺はアンタと同じモノを見てると思ったけど、もしかしたら違ってたのかもしれないな。
あぁ、そうか。
こうやって人の道ってのは分かれてくモンなんだな。
ここを吹き抜ける風はさ·····、俺にはちょっと強過ぎて立ってらんねえんだわ。
だからここで、お別れだ。
じゃあね、バイバイ。
アンタと付き合って楽しかったよ。
END
「吹き抜ける風」
手に持っていたものがいつの間にか無くなっている。
そんな感じなのだろうか。
ランタンを持って歩いていたら、知らないうちに火が消えて、いずれ持っていた事すら忘れてしまうほど長い時間を取り落としたまま手ぶらで歩いている。
そんな感じなのかもしれない。
持っているという感覚すら無くなってしまうほどそのランタンは長い時間寄り添っていたのに、消えないと思っていた火が消えて、いつかランタンそのものが無くなってしまった。
どこに落としたのかすらもう思い出せない。
もっと写真を撮れば良かった。
もっと録音すれば良かった。
いや、それよりも何よりも、もっと直接話をすれば良かった。
ランタンの火が消えないように、燃料を添えてあげれば良かった。
実の妹の顔も分からなくなった兄は、今日もぼんやり何も無い天井を見上げている。
END
「記憶のランタン」