みけねこ

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3/22/2024, 7:20:48 AM

二人ぼっち
大きな戦争で文明が滅んだ、終末世界。
生き残った人類は、わずかな食料と水を求めて、瓦礫と化した地上を歩き回った。

「誰もいないね」 『二人ぼっちだ』

コンクリートの瓦礫の下から這い出した、子供が二人。
男の子と少し小さい女の子。
周りはコンクリートや鉄筋が飛び出す瓦礫の山。

「世界に僕らしかいないみたい」 『面白いね』

アスファルトが割れた地面を歩き、
瓦礫の山を飛び越えて、二人は進み始めた。

「どこに行こうか?」 『二人で生きていける所』

途中でガラクタを拾い、キレイめのペットボトルを探し
名も知らない花を摘んで、歌を歌う。
行く先には未だ、二人以外の人間が見えない。
二人ぼっちの世界に、笑い声がこだました。

3/21/2024, 9:32:30 AM

夢が醒める前に
とあるカフェのテーブル席で、友に会った。
自殺してしまった友が目の前にいる。
だからこれは、夢なのだと思った。
カフェの店内は見覚えがある。
学校帰りに寄り道して、いつも入ったお決まりの席。
あの日も一緒に行くはずだった。
用事があると、先に帰ってしまって、友は学校でー
何かに悩んでいる風に見えなかった。
言葉の端から気づいてやれば良かった。
あの日も用事なんか放り出して、一緒にいれば・・・

「あのさ、もうそんなに苦しまなくていいよ」

今まで何も言わなかった友が口を開く。

「こっちは自分の勝手で自殺をしたんだ。君のせいじゃないし、君が責任を負わなくていい。それでもこんな風に悩んでくれてるのが嬉しくて、特別に夢に出てきたんだ。・・・ありがとう、ごめんね」

「・・・ううん。こっちこそ、夢に出てきてくれてありがとう」

ー夢が醒めたら帰らなくちゃいけないんだ。
ーそうなの?じゃ、夢が醒める前にたくさん話をしよう。まだまだ夜は長いから・・・

3/19/2024, 6:18:45 AM

不条理
いじめられた側が、学校に来なくなって
いじめた側が、そのまま学校に通う。
嫌な思いをした子は、学校に行けなくなる。
   
    これは不条理なことではないのか?

アメリカでは、いじめた側が精神的に問題があるとして病院に行かせ、学校に行かせないようにするという。

いじめられた子が悪い訳じゃない。
精神が弱い訳じゃない。

 日本でも、この不条理がいつか変わりますようにー

3/15/2024, 12:01:22 PM

安らかな瞳
ぬるり、と生温かい赤い液体が手をつたう。
短剣を持つ手が、すべりそうになる。
白い服の胸元を朱に染めて、彼女は薄らと微笑んだ。
短剣が刺さったままの姿で、身体が冷たくなっていく。
開ききった瞳孔の瞳は、俗に言う安らかな瞳でー・・
僕は血で汚れた手を軽く拭って、その瞼を閉じさせた。

3/14/2024, 3:28:51 AM

ずっと隣で

大きな木の隣に家がありました。

そこには小さな男の子と、その両親が住んでいました。

その木は男の子の成長をずっと隣で見守ってきました。

やんちゃな男の子は、その木に登って落ちるなど、

とにかく落ち着きがなく、木は心配もしていました。

何回も季節が巡り、男の子は立派な青年になりました。

かわいいお嫁さんをもらって、一緒に暮らすようになりました。

あのやんちゃな男の子が、こんなに立派な青年になったので、木もほっとしました。

それから、二人の間に子供が生まれました。

父親に似たのか、落ち着きがなく木も見守ることにしました。

今もその家の隣で木は子供を見守っています。

きっと、ずっと隣にあることでしょう。

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