おへやぐらし

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4/26/2024, 5:00:15 PM

天使と悪魔

あたしの家には天使さんと悪魔さん
が暮らしている。
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~Temperance~

👼「化学調味料は悪魔の食材!特に味の素!
あんなもの食べたら地獄に落ちるわよ!」

天使さんは自然派。
だから外食なんて行った事ない。

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~Gluttony~

悪魔さんの部屋にはコーラやポテチなど
たくさんのお菓子が用意されている。

😈「好きなだけ食べていいよ」

ゴクゴク、パリッ、モグモグ
おいしい。

炭酸もスナック菓子もこんなに
おいしい食べ物なんて知らなかった。

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~Lust~

悲しい事があった日には

😈「どしたん?話聞こか?」

悪魔さんはそっとあたしを
抱きしめてベッドで慰めてくれた。

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~Chastity~

👼「あなたの部屋のゴミ箱にこんな物が入ってたわよ。なんて汚らわしい!」

勝手に部屋入んな。

👼「私のいい子はどこへ行ってしまったの?」

あーもう、うるさいなあ。

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~Wrath~

あたしの赤く汚れた手や服を見て
悪魔さんは笑った。

😈「君は本当に悪い子だ」

お題「善悪」

3/24/2024, 1:56:58 PM

少年は雨宿りしていた。
ここは田舎のバス停だから
1時間に1本しかバスが来ない。

曇天の空を眺めていると、
いつの間にか隣に少女が座っていた。
艶やかな黒髪と白いセーラー服を着た
きれいな少女だった。

「雨、やみそうにないですね」
「そうですね」
「あの日も」
「はい?」
「あの日もこんな風に雨が降っていました。
ここでバスを待っていると、知らない
おじさんが近付いてきて…あの時はほんとうに
怖かったなあ、痛かったなあ」

いつの間にか少女は水に浸かったようにびしょ濡れ
の姿になり、彼女の足元には水溜まりができていた

彼女と話していると、バスが到着していた。
乗客も運転手もみんな青白い顔で俯いている。

「それじゃあ私、いきますね」
「はい…気をつけて」

彼女が乗ったのを見送ってからすぐに
次のバスがやってきた。

少年は先程まで少女が座っていた場所を見つめた。
そこはシミができたみたいにぐっしょり濡れていた。

お題「ところにより雨」

3/21/2024, 2:30:31 PM

とある密室にて
白骨化した二つの遺体と一枚のメモが残されていた

だいすきだよ
れんあいじゃなくてもいい
かならずしもね
ただそばにいてほしいだけ
すきなあいてとなら
けっしてはなれない
てつなごうよ

お題「二人ぼっち」

3/18/2024, 3:56:27 AM

「おはよう」

隣の席のSが笑顔で話しかけてくる。
咄嗟に返そうと思ったけど声が出なくて
そのまま俯いてしまった。

物心ついた頃から自分はおかしなやつだと気付いた。
自分では普通だと思っていたけど、周りの人たちは
「あの子はおかしい」「病気」だと話していた。

母はそんな自分を心配して病院に連れて行って
くれたりしたが何も変わらなかった。

ある時から持ち物がなくなっていたり、
丸めた紙をぶつけられたり、
小さな嫌がらせをされるようになった。

多分こんな自分に周囲の人達が腹を立てたのだろう。

仲間に囲まれながらこちらを見て笑うS。
自分もあんな風に笑えたらな。

「さあ、今日も始めるか!」

放課後にN先生と二人で挨拶の練習をする。
クラスで自己紹介の時に、何も話せなかった自分を見た先生は、こうしてよく話かけてくるようになった。

「まずは挨拶からだな。挨拶は人間関係の基本だ!」

普通の人間のように接してくれるN先生との時間は
とても心地よかった。

Mができるようになるまで練習に付き合う、そう言ってくれた先生はある日を境に学校へ来なくなった。

下駄箱から消えた靴を探しているとSに出会った。
初めて挨拶してくれた時と変わらぬ笑顔でこちらへ近付いてくるSを見て、何故だか逃げ出したくなった。

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┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「泣けよ」

馬乗りになったSに見下ろされる。

「どうして泣かないの?」

こんな事されてるのに。

泣かないんじゃくて泣けないんだ。
そんなことを考えながら
ぼんやりと天井を眺めていた。

お題「泣かないよ」

3/16/2024, 1:29:13 PM

それは些細な違和感だった。

帰り道誰かに後をつけられている気配がしたり、
部屋の雑貨の位置が少しずれていたり、
知らない相手からの郵便物が届いたりした。

もしかしてストーカー?

私は友人のユウちゃんに相談した。

「やっぱり警察に相談した方がいいかな」

「んー、警察って何かあってからじゃないと動いてくれない事が多いから、あんまりあてにならないかも」

ユウちゃんはそう話してたけど、
念の為に警察へ行ってみることにした。

だけど言われた通り、警察は頼りにならなかった。
この一帯のパトロールを強化するという報告と
戸締りや防犯ブザーを持ち歩くなど自衛を怠ないように注意される。それだけだった。

深夜
レポートを作っていると突然インターフォンが鳴った
こんな時間に?誰?

固まって動けずにいると、
何度も何度もインターフォンを押された。

次第にそれはエスカレートしていき、
扉をドンドンと叩いたりドアノブを
ガチャガチャと壊れるほど回された。

怖くなった私はユウちゃんに電話した。

『どうしたの?』
『外に誰かいるの。ユウちゃん助けて』
『わかった。すぐ行く』

夜更けにも関わらずユウちゃんはすぐに来てくれた。
その姿を見た私はユウちゃんに抱きついた。

震えが収まるまでユウちゃんは私の背中を
ずっとさすり続けてくれた。

「ありがとう。ユウちゃんがいてくれてよかった」
「かわいい」
「え」
「友達が困ってたら助けるなんて当たり前だよ。
いつでも頼っていいからね」

私の頭を撫でながら優しく微笑むユウちゃん。
そうだね、ユウちゃんがいてくれたらきっと大丈夫。
私はそのままユウちゃんに身を委ねた。

お題「怖がり」

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