街
私は今、〇〇街のある山を登っている。
理由は、ただ山が好きだからだ。
街からみる山も。山からみる街も。
全て、色があり、生きている。
どんな季節であってもそれは変わらない。
さて、少し話を逸らすが、今現在、山を登っているが、周りに人はいない。
そう、誰一人として。
何故なのか。
それは雨上がりだからだ。
足元は泥濘んでいるし、滑りやすいところも多々ある。
そりゃ危ないのでいないだろう。
だが、私は、今登っている。
雨上がりの山が一番好きだという理由でだ。
あれだ、水も滴るいい男で言う、
水も滴るいいお山、というやつだ。
大丈夫かこいつ、と思ったろうが大丈夫だ。
山の限界オタクなだけなので。
雨上がりで発生している霧。
前は少しだけしか見えない。
それでも、それでも観たいのだ。
頂上から観る、霧に隠れた、街の風景を。
(力尽きました…あとはご想像にお任せ)
あー、頭が痛い…
梅雨は辛い。
何がって、頭痛やら、何やら。
色々と暗いテンションになる。
だが、それが嫌ってだけで、雨は嫌いではない。
何より眩しくない。
晴れもいいけど、眩しいのだ。
私は眩しいのが苦手だ。
車を乗っている時は、前の車が反射で眩しかったり。
道路を歩いてたって、下を向いてもコンクリートが反射で眩しいのだ。
コンクリートの反射でさえ辛い。
それぞれ天気の良いところ悪いところがある。
私は梅雨が好きだ。頭痛で辛くたって、眩しくないのでいいのだ。
他の人はどの天候が好きだろうか。
是非聴きたいところだ。
「お前のせいで!俺の人生が狂ったんだ!!!」
今日は雨の降る、普通に天気の悪い日だった。
こんな雨の中会議だと…?
面倒くさいったらありゃしない。
傘、OK レインコート、OK 長靴、OK
長靴は子供用ではないぞ!ちゃんと大人用だからな!
そう自分に言い聞かせる。
…足が成長しないんだ。ついでに手も。
音楽活動しておいてあれだが、楽器向いてないのか?と、自信がなくなる。
「会議の忘れ物はない?」「うん、ないよ。」
「そっか。気を付けてね?雨の日って危ないんだから。」「大丈夫だよ。なんなら、すぐに終わらして速攻で帰って来てあげる。」「早く帰って来てほしいけど…何かあった後じゃ、遅いから言ってるの!」「ごめんごめん。心配してくれてありがと。」「もー…あ、遅刻しちゃうよ!ほら!急いでね!気を付けて、行ってらっしゃい。」「うん、行ってきます。」
あーーーーー、幸せだ。うん。可愛くない?夫可愛くない?自慢したい。この人、僕の夫です!って。
天気は雨だが、僕の心は晴れってか?そうだよ(?)
はぁ、帰りてぇ。会議だるいって。
いや、でも、弟達や夫に怒られるのは勘弁。
僕がショックで死ぬ。好きな人に怒られるのは誰だって嫌だろ?いや、まぁ、いる人はいるだろうけど…
はい、速攻で終わり
ませんでした。はい。泣きてぇ。夫に抱きついて大泣きしたい。ただの迷惑っていうのはわかる。でもな。
甘えたいんだ…。え、引いた?すまん。
と り あ え ず
走れ僕。帰ったら愛の言葉を呟こうじゃあないか!!
プルルルルルル
あれ、電話だ、しかも夫の望晴からの。取り敢えず出よう。
「はいもしも「叶斗!今は絶対に家に来るな!」
「え、どうしたの」「どうもこうも、だめなんだ。お願いだ、暫くは帰ってこないでくれ。」「暫く?ちょちょ、詳しく聞かないと納得できないって。」「ごめん、詳しくは言えない。後で、会えた時にはな、っ!」
ゴンッ!!
「え?望晴?!何があった?!」「っ、はっ、なせ!!!」「ごめんねぇ、それはできない。」
この、声は
「あー、久しぶり〜。元気してた?俺はね、ずっっっっっと、憂鬱だったんだよ。お前のせいでさ。」
「なんで、家にいるんだよ。」「えー?お前に会うため?」「っ、今来たって何も変わらんぞ。」「それがね、変わるんだよ。」「は?」「お前も、俺の気持ちを倍にわからせてやらないとなぁ?」「もう、充分やったろ?!」「あー、これだけじゃあ物足りないから、そこら辺にいた双子も ブスッ って刺してやったんだ。今頃どうなってんだろーな〜。」「な、んだと」「叶斗!こいつに耳を貸すな!君だけでもっ、」「うるせーなぁ?今すぐやっちまうか。」
「なっ、やめっっっ」
ザシュッ
「っ、!!」
「望晴?!待ってろ、今すぐ」
「あらら!血がダクダク出てるね。大丈夫?死んじゃうんだねぇ?はは、やっぱりこんな考えは俺にしかできない。俺って天才だ。だから色んな人に好かれるんだ。あいつも、俺の事が大好きでしかたなかったのに…。お前のせいで…。お前のせいであいつは変わった!!!俺が一番なのに!お前ができたから!あいつは俺を見なくなった!!!!お前のせいで、お前のせいで!俺の人生が狂ったんだ!!!」
いつもの暴走。最後に話していた事は、僕の母の話だ。母は僕ができたことで育児に集中。そんなことを話題に出したら、狂ったあいつが勘違いして、母を…
こんなこと、僕だけにすればいいのに。そうすれば、死んだ母の恨みは殺せるのに。
父の言葉を無視して、走る。運動は嫌いだ。疲れるから。なのに、今は足が止まらない。泣くなまだ。生きられるかもしれない。弟達は何処にいるかわからない。何としても聞き出そう。もしかしたらこのサイレンは弟達によるものかもしれない。速く。もっと速く。傘なんてどうでもいい。長靴なんて脱いでしまえ。僕の邪魔をしないで。どうか、間に合わせて。
閉まった玄関を無理矢理開ける。廊下は濡れていた。
あいつだ。血も混じっていた。きっと弟達のだ。ごめん。ごめんね。僕のせいで。濡れた階段を登る。
寝室のドアを思いっ切り開けた。目の前には父が立っていた。
「あー、やっと来たか。まだ、そいつは生きてるぞ。もう死ぬけどな!」「っ、」「俺の事、殺したいだろ?復讐したいだろ?そうだよなぁ?最愛の人が殺されたんだもんなぁ?呪い合おうじゃないか?復讐を果たすまで。」
そう言ったあと、父は弟達や、望晴を刺した包丁で自分の首を刺した。
父は、微笑んでこう言った。
「やっとあいつに会える。お前を地獄に落とせる。」
きっとこれは、1人だけが幸せになれた話。
ハッピーエンド?
「俺は、君の事が大好きなんだ」
そう言われた時、僕は救われた気がした。
僕の名前は叶斗。自分でつけた名前だ。
僕は皆に嫌われていた。
ある人は、「人とは思えない。」だとか
ある人は、「人殺しだ。」だとか
そんなことを言われた。
【貴方が生まれた時にあの子は亡くなったのよ。】
と、祖母が言っていた。
僕の母は相当愛されていたらしい。
母のことは聞いたことがないため、どんな人かは知らない。
でも、皆と同じように、母を愛するのだろうと思った。
「趣味が悪いな。」
一目惚れ。なんて、本当にあるんだと知った。
俺は望晴。読み方は、 みはる だ。
俺が一目惚れをした日。
それは天気が悪い日だった。
空は雲で覆われていて、今にも雨が降りそうだった。
そんな時に、何故か公園で遊びたくなったんだ。
猫がよく捨てられる場所。
だから猫公園なんて読んでいた。
なんとなく、ブランコが思い浮かんで、靴はどこまで飛ぶかな、とか、自分ごと飛んだら危ないかな、とか考えていた。
猫公園についた時、やはり天気が良くないからか、人は見かけなかった。
やっぱりやめたほうがいいかなと、思った矢先、
誰かがブランコで座っていた。
俯いていたし、体調が悪いと思ってすぐに声をかけた。
「大丈夫?何処か体調が悪いの?」
と、声をかければ、相手は反応して顔を上げた。
瞳は黒く染まっていて光がなかった。
何処か、 助けて 、と言っているように感じた。
あ、好きだ。
そう思った。
別にそういう趣味があるわけじゃない。
本当に全てが好きなのだ。
おかしい、今さっき知った人なのに。
心臓がうるさい。
「…いえ、大丈夫です。心配をおかけしてすみません。」
今更ながら、子供にしては敬語ってやばいなぁ、と思う。
この声も当然ながら好きだと感じた。
流石に自分を心配した。
まぁ、今の俺には関係ないだろう。
例のその子とは今、幸せ絶好調な日々を送っている。
弟二人には最初心配されたが、最終的に幸せを祈ってくれた。
救い出せて良かった。
そして、愛してくれてありがとう。
世界一、愛してる。
特別な存在
「ずっと二人でいようね」
弟の晴夏はそういった。
俺達は双子だ。
俺が兄で、名前は明記。
弟は、晴夏。
極一般的な家庭に生まれた。
僕達は、前世の記憶、というものがある。
いや、生まれ変わりと言えば良いものか。
生まれ変われば、必ず晴夏がいた。
不思議とそれを受け入れていた。
「また、だめだった。」
何度目なんだろうか。
明記が兄と姉を救えなかったたびに、
涙を流し、どれだけ悔やんだのだろう。
いつしか、俺は諦めていた。
諦めざる終えなかった。
姉は兄を愛し、兄は姉を愛した。
俺は明記を愛していた。もちろん家族愛だ。
明記も、俺のことを愛してくれた。
でも、知ってるんだ。
明記が、姉に恋心を抱いていることを。
兄弟のテレパシーというものか。なんとなく察していた。
でも、その愛に姉は答えなかった。
いや、答えられなかった。
きっと気づいていたのだろう。そして兄も同様に。
俺は、明記を慰めた。愛を返してくれなくとも別に良かった。
だから、許して。気づいたって別にいい。
二人でいようね
二人ぼっち