想叶空色

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「俺は、君の事が大好きなんだ」

そう言われた時、僕は救われた気がした。
僕の名前は叶斗。自分でつけた名前だ。
僕は皆に嫌われていた。
ある人は、「人とは思えない。」だとか
ある人は、「人殺しだ。」だとか
そんなことを言われた。
【貴方が生まれた時にあの子は亡くなったのよ。】
と、祖母が言っていた。
僕の母は相当愛されていたらしい。
母のことは聞いたことがないため、どんな人かは知らない。
でも、皆と同じように、母を愛するのだろうと思った。

「趣味が悪いな。」

一目惚れ。なんて、本当にあるんだと知った。
俺は望晴。読み方は、 みはる だ。
俺が一目惚れをした日。
それは天気が悪い日だった。
空は雲で覆われていて、今にも雨が降りそうだった。
そんな時に、何故か公園で遊びたくなったんだ。
猫がよく捨てられる場所。
だから猫公園なんて読んでいた。
なんとなく、ブランコが思い浮かんで、靴はどこまで飛ぶかな、とか、自分ごと飛んだら危ないかな、とか考えていた。
猫公園についた時、やはり天気が良くないからか、人は見かけなかった。
やっぱりやめたほうがいいかなと、思った矢先、
誰かがブランコで座っていた。
俯いていたし、体調が悪いと思ってすぐに声をかけた。
「大丈夫?何処か体調が悪いの?」
と、声をかければ、相手は反応して顔を上げた。
瞳は黒く染まっていて光がなかった。
何処か、 助けて 、と言っているように感じた。
あ、好きだ。
そう思った。
別にそういう趣味があるわけじゃない。
本当に全てが好きなのだ。
おかしい、今さっき知った人なのに。
心臓がうるさい。
「…いえ、大丈夫です。心配をおかけしてすみません。」
今更ながら、子供にしては敬語ってやばいなぁ、と思う。
この声も当然ながら好きだと感じた。
流石に自分を心配した。
まぁ、今の俺には関係ないだろう。
例のその子とは今、幸せ絶好調な日々を送っている。
弟二人には最初心配されたが、最終的に幸せを祈ってくれた。

救い出せて良かった。
そして、愛してくれてありがとう。
世界一、愛してる。

                   特別な存在

3/23/2024, 3:22:09 PM