「お前のせいで!俺の人生が狂ったんだ!!!」
今日は雨の降る、普通に天気の悪い日だった。
こんな雨の中会議だと…?
面倒くさいったらありゃしない。
傘、OK レインコート、OK 長靴、OK
長靴は子供用ではないぞ!ちゃんと大人用だからな!
そう自分に言い聞かせる。
…足が成長しないんだ。ついでに手も。
音楽活動しておいてあれだが、楽器向いてないのか?と、自信がなくなる。
「会議の忘れ物はない?」「うん、ないよ。」
「そっか。気を付けてね?雨の日って危ないんだから。」「大丈夫だよ。なんなら、すぐに終わらして速攻で帰って来てあげる。」「早く帰って来てほしいけど…何かあった後じゃ、遅いから言ってるの!」「ごめんごめん。心配してくれてありがと。」「もー…あ、遅刻しちゃうよ!ほら!急いでね!気を付けて、行ってらっしゃい。」「うん、行ってきます。」
あーーーーー、幸せだ。うん。可愛くない?夫可愛くない?自慢したい。この人、僕の夫です!って。
天気は雨だが、僕の心は晴れってか?そうだよ(?)
はぁ、帰りてぇ。会議だるいって。
いや、でも、弟達や夫に怒られるのは勘弁。
僕がショックで死ぬ。好きな人に怒られるのは誰だって嫌だろ?いや、まぁ、いる人はいるだろうけど…
はい、速攻で終わり
ませんでした。はい。泣きてぇ。夫に抱きついて大泣きしたい。ただの迷惑っていうのはわかる。でもな。
甘えたいんだ…。え、引いた?すまん。
と り あ え ず
走れ僕。帰ったら愛の言葉を呟こうじゃあないか!!
プルルルルルル
あれ、電話だ、しかも夫の望晴からの。取り敢えず出よう。
「はいもしも「叶斗!今は絶対に家に来るな!」
「え、どうしたの」「どうもこうも、だめなんだ。お願いだ、暫くは帰ってこないでくれ。」「暫く?ちょちょ、詳しく聞かないと納得できないって。」「ごめん、詳しくは言えない。後で、会えた時にはな、っ!」
ゴンッ!!
「え?望晴?!何があった?!」「っ、はっ、なせ!!!」「ごめんねぇ、それはできない。」
この、声は
「あー、久しぶり〜。元気してた?俺はね、ずっっっっっと、憂鬱だったんだよ。お前のせいでさ。」
「なんで、家にいるんだよ。」「えー?お前に会うため?」「っ、今来たって何も変わらんぞ。」「それがね、変わるんだよ。」「は?」「お前も、俺の気持ちを倍にわからせてやらないとなぁ?」「もう、充分やったろ?!」「あー、これだけじゃあ物足りないから、そこら辺にいた双子も ブスッ って刺してやったんだ。今頃どうなってんだろーな〜。」「な、んだと」「叶斗!こいつに耳を貸すな!君だけでもっ、」「うるせーなぁ?今すぐやっちまうか。」
「なっ、やめっっっ」
ザシュッ
「っ、!!」
「望晴?!待ってろ、今すぐ」
「あらら!血がダクダク出てるね。大丈夫?死んじゃうんだねぇ?はは、やっぱりこんな考えは俺にしかできない。俺って天才だ。だから色んな人に好かれるんだ。あいつも、俺の事が大好きでしかたなかったのに…。お前のせいで…。お前のせいであいつは変わった!!!俺が一番なのに!お前ができたから!あいつは俺を見なくなった!!!!お前のせいで、お前のせいで!俺の人生が狂ったんだ!!!」
いつもの暴走。最後に話していた事は、僕の母の話だ。母は僕ができたことで育児に集中。そんなことを話題に出したら、狂ったあいつが勘違いして、母を…
こんなこと、僕だけにすればいいのに。そうすれば、死んだ母の恨みは殺せるのに。
父の言葉を無視して、走る。運動は嫌いだ。疲れるから。なのに、今は足が止まらない。泣くなまだ。生きられるかもしれない。弟達は何処にいるかわからない。何としても聞き出そう。もしかしたらこのサイレンは弟達によるものかもしれない。速く。もっと速く。傘なんてどうでもいい。長靴なんて脱いでしまえ。僕の邪魔をしないで。どうか、間に合わせて。
閉まった玄関を無理矢理開ける。廊下は濡れていた。
あいつだ。血も混じっていた。きっと弟達のだ。ごめん。ごめんね。僕のせいで。濡れた階段を登る。
寝室のドアを思いっ切り開けた。目の前には父が立っていた。
「あー、やっと来たか。まだ、そいつは生きてるぞ。もう死ぬけどな!」「っ、」「俺の事、殺したいだろ?復讐したいだろ?そうだよなぁ?最愛の人が殺されたんだもんなぁ?呪い合おうじゃないか?復讐を果たすまで。」
そう言ったあと、父は弟達や、望晴を刺した包丁で自分の首を刺した。
父は、微笑んでこう言った。
「やっとあいつに会える。お前を地獄に落とせる。」
きっとこれは、1人だけが幸せになれた話。
ハッピーエンド?
3/29/2024, 3:51:12 PM