sol

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7/2/2024, 4:26:02 PM

こうして貴方に手紙をしたためるのは初めてね
50年も連れ添ってなんで今更って思うでしょう?

私、貴方のことが心配で堪らないの
頑固で、人に頼るのが苦手なのに、寂しがりな貴方
私が居なくなったらどうなっちゃうのかしらって

だけど私、貴方がいなかったらきっとダメになってしまうと思うの
滅多なこと言うなって貴方に怒られてしまうわね
でも本当の事よ、私貴方のことが好きで好きで堪らないもの

だから、貴方には申し訳ないけれど
少し安心してる自分も居るの
私が先で良かったって

私たちの思い出が、きっと貴方を奮い立たせる。
私たちの絆で、貴方はきっと私を忘れないでいてくれる。
私たちの宝物が、きっと貴方を支えてくれる。

何より貴方は、私が選んだ強くて優しい人だから。

愛してるわあなた、またどこかで、私を捕まえて。


蝉時雨が響き渡る部屋
私は母の丸くて丁寧な字で綴られた父への最初で最後のラブレターを読み終えた。
縁側に座る父は、母の好きだったお酒を呑みながら

「今日の日差しはしみるなぁ」
と目頭を抑え俯いた。

短い闘病期間、母の口癖は
「お父さんをよろしくね、愛してるわ」
どんな時も、真っ直ぐな愛を伝えてくれる人だった

「…最期くらい恨み言を吐いてくれよ…」

鼻をすする音と一緒に、そんな言葉が縁側から聴こえた。



【日差し】



あとがき

私もこんな素敵な関係築きたいなぁ
きっと手紙に各時間も勿体ないと思うほど
口で、態度で、愛を伝えて来た人なんでしょうね
そんな人に愛されちゃう旦那様も
きっと素敵な人なんでしょう、憧れちゃうね


6/20/2024, 10:38:13 PM

狭い布団の良さを知った
寝返りが打てなくたって
暑苦しくて悪夢をみたって
目を開けてあなたが居たなら

どんなに嫌いな掃除も
苦手な洗濯だって
あなたの為ならって腕まくり
単純で健気な私、悪くない

自分の弱さを知った
あなたがいないとダメなんて
そんな弱音は吐いてあげないけど
居てくれるだけで確かに救われる

あの時の私がフラッシュバックして
今の私の首を絞めてくる
そんな時あなたは私の頭を撫でてくれて
私が弱い時、あなたは強く居てくれる

広い布団も、あなたのためにならない掃除や洗濯も
あなたのいない世界も、私は要らない。

あなたがいてくれたから、私は今ここにいる。
いままで、あなたがいてくれたから
これからもあなたがいてくれるなら。

私は、



【あなたがいたから】





6/9/2024, 7:45:21 PM

部屋に差し込む光
隣から寝息が聞こえる
その一定のリズムが
私を眠りに誘う

はっと目を開け、見回すと
はたと目が合った。
「おはよう」
今日初めて鼓膜を揺らしたその声は
私の大好きな優しい声

きゅっと静かに抱き寄せられ
とくとく、とくとく
あなたの鼓動は子守唄
私はまた、夢の中

「朝だよ、起きて」
私はまだあなたに包まれたまま
幸せな朝、暖かな朝
これは私だけの、朝日のぬくもり。

「おはよう」



【朝日のぬくもり】



あとがき

何気ない日常が、1番の幸せだと言いますね。
それがそうたらしめるのは、どれだけ日々が充実しているかではなく
日常を受け入れることにあると思うんです。
周りに居る人、有る物
その全てがあることが当たり前でないと認識すること
それだけであなたの人生は大きく豊かになると
私は、そう思います。
あなたの人生が日常が、ぬくもりに溢れますように。

6/1/2024, 9:27:26 PM

私、雨野ハル。
大学3年生、好きな物は喫茶店、嫌いなものは雨
雨って体力削られるし髪は巻いても巻かなくても可愛くならない
とにかく何もいいことがなくて、自分の名前に「雨」ってあるだけでムカつけるくらいには嫌い。

それに私、去年憧れの先輩に振られたの、雨の日に。
「雨に当てられたのかなぁ、僕、君のこと好きじゃないや」
はぁ?!私雨でも可愛いし!絶対雨関係ないじゃん!
それからは雨の日は特有の頭痛とその記憶がフラッシュバックしてとっても、不快。

だから今の時期、梅雨ってほんとに嫌
なんで私がこんなに怒ってるかって
バスを降りたら土砂降りになったから
一限遅刻しちゃうじゃない!好きな授業なのに!
「…やっぱり、雨野ちゃんだ、どしたの?バス停で立ち止まって」

はっと顔を上げるとそこには同じサークルの吉田くん、イケメン。
「か、傘、忘れちゃって…」
「えっ、今日降水確率80%だったよね?」
「お昼からって事だったし、私今日3限までしか無かったから…」
「ふっ、意外とおっちょこちょいなとこあるんだね」
「行こ?入りなよ、傘」
「う、うん、!」

「今日の4限休講になったんだよね」
「そ、そうなんだ」
「うん、だから今日は駅前の喫茶店で勉強してから帰ろうと思って」
「あの新しく出来たところ?行ってみたかったんだ〜後で感想教え…」
「3限終わったら連絡するからさ、一緒行こ」
「へ?私?」
「うん、このまま降るみたいだしお茶して一緒に帰ろうよ」
「いいの、?」
「もちろん」
「ありがとう、でも…」
「こちらこそ、朝から顔見れて嬉しい。」
「えっ?」
「じゃ、また後で」

…梅雨…悪くないかも。
私って単純?



【梅雨】



あとがき


少し長くなってしまいました、笑
雨野って書いてあまのちゃんです。
先輩の言うことは未だに理解できないし、したくないけど
梅雨って言うか雨、ちょっと見直したかも。
な、出来事のお話。
この後雨野ちゃんと吉田くんはどうなったんでしょうか
それは皆さんのご想像にお任せします

5/31/2024, 12:29:24 PM

俺は何度でも、君を見つける。
何度も繰り返す、君との人生を
君は何度でも、正しい人生を歩む
その隣に、俺はいない。

何度も繰り返した
何度もやり直した
君の隣に立てるよう
君の隣に居続けられるよう
試行錯誤を

それでもやっぱり
君は俺を選ばない
「なんか貴方とは初めて会う気がしないなぁ」
優しくはにかむその顔を見るのは何度目か
彼女の潜在意識にきっと俺はいる
そのはずなのに

俺は、人生のストーカーなのでは無いか
君が俺を選ぶその時まで
何度でも君の人生を追い回す
汚くて、どこまでも身勝手で
彼女に俺は似合わない

華やかな白い布に包まれた純真無垢な君
人生で一番幸せと言わんばかりの顔
その隣はやっぱり俺じゃない。
何度見ても慣れないなぁ、君のその顔
何度見ても、世界で一番素敵なんだ。

俺はまた一つ、時を駆ける
俺の隣でその顔を見る時まで。



【無垢】



あとがき


無垢なんて言葉と、遠くかけ離れた彼が好きなのは
どこまでも真っ直ぐで素直な女の子。
彼は気付いた、自分には時を駆ける能力があると
彼女が自分以外の誰かを選ぶ度に彼はやり直す
そこからの人生、何が待っているかも知らないのに
彼は勝手に見切りを付けて、駆ける。

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