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5/29/2024, 3:02:17 PM

貴女の笑顔も、涙も、怒りも
どんな表情も、大好きで、受け止めたかった
貴女にとってそれらをぶつけられる存在になりたかった

「私、好きな人が居るんだよね」
「そうなんだ?どんな人」
「うーん、素敵な人?」

僕じゃないんだなぁって勝手に振られた気分になっちゃって
いっそ貴女のそばにいられるならと
貴女の惚気を、恋物語を聞いていた。

「とにかく度を超えて優しい人でね、面白くて、」
溢れるように言葉を続ける貴女の顔は
それこそ乙女の顔で、一番可愛い。
「それは素敵な人なんだね、貴女にぴったりだと思う」
「そうかな…」
そう言って少し俯きがちになる
「なにか、不安なことでもあるの?」
「んーん、私なんかがなんて思っちゃったり」
「そんなに素敵なのに?」
貴女は目を丸くした
これが僕の本心で、貴女への気持ちなんです。

貴女と出会って3度目の冬
「体調、良くなるかな」
「日頃の行いが良いからすぐ良くなるよ」
「そうかな…」
貴女はまた俯いた
「僕、貴女のことずっと好きでした」
「え…?」
「だから、良くなったら返事くださいね」
「わ、私…」

僕は逃げるようにその場を後にした
なにか言おうとした彼女の言葉を遮るように
僕じゃないという現実を先延ばしにするように

「私ね…」
あれからしばらく経っても、まだ辛そうな貴女
やせ細り、あの時の笑顔も涙も、怒りもないような
何かが抜け落ちてしまったような貴女
「もう良くならないみたい」
か細い声でそう告げた
「だからね、私この前のお返事をしなきゃと思ったの」
生唾を呑む
「…ごめんなさい」
彼女の瞳が潤んでいく
皆まで言わないでくれと思ったり、最後まで聞きたいと思ったり
「私も、ずっと好きでした」
「…は?」
「ずっと…私なんかって思って、言えなくて」
「ずっとそばに居てくれて、私を肯定してくれてありがとう、貴方はとっても優しくて、面白くて、私にとってかけがえのない存在だった」
「…ぼ、僕」
「なかなか伝えられなくて、ごめんなさい。好きになって…ごめんなさい。」
そんな、やめてよ、冗談は
僕の大好きな人に、謝らせないで
僕の、愛する人の好きを、呪いに…しないで欲しかった。

これからも、貴女だけを愛し続けます
だからどうか、僕が逝くまで、待ってて。
僕の方こそごめんね、気付いてあげられなくて。



【ごめんね】



あとがき


2人はずっと、両片思いだった。その想いを伝えるのが遅かったが為に、お互いがお互いと自分を苦しめる呪いになってしまった。
でもこれが本当の愛と呼べるのかもしれませんね。

5/23/2024, 10:20:36 AM

これは牢獄、私が選んだこと。
これは盲目、私が望んだこと。

貴方を愛し、あなたに愛される。
それが私の唯一の願い。

だから私、今すっごく幸せ
貴方と2人、この部屋で
私は貴方だけを
貴方は私だけを
ずっと見つめ続けてる

これが間違いだって構わない。
これが今は私の独りよがりだって構わない。

貴方はきっと、私に恋をする。
それまでずっと、私は貴方に尽くし続ける。

これは恋の牢獄、恋は、盲目。
私はこの罪から、アナタへの恋心から
貴方は私から、真実の愛から
貴方が、私を愛するまで



【逃れられない】



あとがき


監禁、ダメ、絶対。
歪んだその恋心は、彼の心を、自分の人生を締め付ける鎖になってしまった。
それが幸せを生まない結果になろうとも、彼女は間違え続ける。
彼女にとっての、純愛だから。
誰か止めてあげてー!!

5/23/2024, 10:04:31 AM

「またなー!」
「おう、また明日」
お前、そう言ったじゃないか。

「俺さ!来月告ろうと思うんよね!」
「ホワイトデーだから?」
「そ!大田さん俺に絶対気ないけど、当たって砕けろっしょ!」
「俺がお前なら告らないなぁそれ笑」
「わかんないじゃん!やってみなきゃ!」
お前、そう言ってたじゃん。

「俺たちさ!大人になっても遊ぼうな!」
「何だ急に、改まって」
「俺、お前のこと大好きだからさ!」
「…きもいな笑」
「ホントの事だもん仕方ねーじゃん!」
「お前のそういうとこ嫌いじゃないけどね笑」
「だろ!!」
俺、なんでああ言ったんだろう

お前に会えなくなるって知ってたら
俺がお前の代わりになれないってわかってたら
俺が、分かってたなら…
「また明日」なんて、言わなかった。
「そういえばさ」って
大田さんお前のこと好きかもだってさとか
明日抜き打ちの小テストだってさとか
お前、このまま帰ったら、とか

あの時本当は俺もそう思ってた、とか。



【また明日】



あとがき


事故で亡くなってしまったあいつに、伝えられなかったこと、伝えなきゃいけなかったこと、それをあの時伝えていたらお前はもしかしたら。
と後悔してしまっている男の子のお話。
そんなもしもを考えたって何も変わらない
誰のためにもならないと分かっていても、自分を責めてしまっていること、ありませんか?
あなたがもしこれを読んで、主人公の彼に「それはきっと違うよ」と思うなら、
あなたのその後悔も、もしかしたら「きっと違う」「そうじゃない」かも知れません。
そんなに自分を責めないで、あなたのその後悔に対する向き合い方を変えて見てほしいななんて。


5/21/2024, 2:55:02 PM

私は孤独な透明人間
それでもいつか
その瞳に映れたらなんて
遠くからあなたを見つめる

水のように変容し、溶け込んで
そしていつか貴方のそばに
これは私の見る夢
この狭い部屋から抜け出せたなら
貴方の飲水に成れたなら

私の想いは膨らむばかり
私は多の中の一じゃない
私はあの子達とは違う
私は、わたしは、
海月なんかじゃない。



【透明】



あとがき


彼女は水族館の飼育員さんに恋をしてしまった海月
沢山の海月の中で自分だけは違う、私を見てと
叶わぬ願いを持ってしまった、その想いは届くはずもなく
いつかその身を泡にする。
海月には脳がないと言われていますが
何も考えずに漂っているだけかと言われると
それは海月にしか分からない
見た目や価値観で決めつけるのは、きっと良くないですよね、?

5/18/2024, 2:38:59 PM

私は、俺は「「あいつが嫌い」」
あいつってば意地悪だし、頑固だし、面倒臭い。
女のくせに、ガサツだし猪突猛進で口悪いし

私、イケメンで優しい幼なじみが良かったな〜
「ねーさな!」
「ど、どした?」
「貴臣くんてチョーかっこいいよね!」
「本当に、どした、?」
「高身長で運動神経良くて頭もいい!悪いとこ無しじゃん!」
「あいつはそういうんじゃないよ…」
「えー?じゃああたし狙っちゃおっかな?」
「私のじゃないんだから好きにしなよ笑」
「やった〜!」
私のじゃ、ないし

俺、もっとこう、お淑やかで…文武両道な?幼なじみがいいなぁ
「貴臣〜」
「なんだ〜」
「さなちゃんってさ!可愛いよな!」
「…俺でよければ眼科紹介するけど…」
「お前は幼なじみだからわかんねーかもだけどさ?
勉強も部活も一生懸命でさ、なにより可愛い!!」
「結局それかよ笑」
「な!俺さなちゃんに告ってみようかな!」
「俺に聞かないで好きにしろよ笑」
「交渉成立だな!」
…なんの交渉だよ

「あの二人早くくっつかないかなぁ」
「それな?俺も今日ちょっと焦らしてみた」
「両思いな癖に素直じゃないんだからもー」
「ほんとに、見ててじれったくなってくるよ」

「「あの、!さっきのさ、!」」

「あ、さな!どしたの?」
「貴臣も、急いでどした?」
「「いや、あの…」」
「てかさなちゃんお久!」
「貴臣くんじゃん!今日もかっこいいね!」
「ひ、久しぶり…」
「あ、あざっす…」

「「で?さっきのがどした?」」

「い、いや〜なんだっけ、?」
「お、俺も忘れたかも、?」
「か、帰ろ!」
「お、おう」

私は、俺は「「こいつなんか好きじゃない、!」」

「成功?」
「かな?」
「じゃ、俺らも帰ろっか?」
「へ?あ、うん!」



【恋物語】



あとがき


素直になれない恋愛ってなーんか応援したくなっちゃいますよね
さなちゃんと貴臣くんのお友達は2人の恋愛応援団でした笑
2人は無事に自分とお互いの気持ちに気付けるでしょうか
それは青春を歩む2人だけの物語
そして応援団の2人にも青春の風が…?

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