江戸宮

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1/1/2024, 11:14:46 AM

「お正月だからっていつまで寝てるの!!」

突然、鬼の形相で私の部屋に入ってきたお母さんの威力に寝起きながら面食らった。
びっくりして思わずは、はいっ!!なんていい返事を新年からくりだしてしまう。

「わかったから……そんなにおこらないで、」

もう、なんて部屋のドアを閉めて1階へと降りていったお母さんを見送って何とか布団から出ようとする。
冷え込んだ冬の寒さは肌をさすようだ。
今更このぬくいベットを出るなんて想像しただけで鳥肌ものだ。
どうせならもう一眠りしちゃおうかな。
どんな夢を見たかも忘れてしまったし、初夢が先生だなんてちょっぴりロマンチックじゃないか。
現実で会うことが出来ないならせめて夢の中では恋人同士のような夢がみたい。
この後また部屋に乗り込んでくる鬼の形相を知らずにまた夢の世界へと旅立った。


2024.1.1『新年』

12/31/2023, 2:52:18 PM

来年も今年のような生活を続けられますように。
今年よりもちょっぴり幸せになってるも尚よしだ。


2023.12.31『良いお年を』

12/30/2023, 2:30:03 PM

この一年色々なことがあった。
こうやって家にいると無駄なことを色々考えてしまう。
最近やたら親密になった生徒とか最近距離を掴みかけている先輩とか。
あ、余計なことを考えていたらゲームオーバーの文字。
俺ってやっぱりゲームセンスがないのかも。
はぁ、とため息をついてコントローラーを置く。
気の抜けたため息をついたせいかぐぅと腹の虫が鳴いた。

「おなかすいた……」

無性に実家の蕎麦がたべたくなった。
味が薄くて当時の俺には物足りないものだったけれど、歳をとるとお袋の味が恋しくなるらしい。
昔の誰かの言葉は本当みたいだ。

来年もこうしてだらだら生きた一年をまた振り返るのだろうなとおめでたい年の瀬に考えた。
とりあえず今は蕎麦をたらふく食べてしまいたい。


2023.12.30『1年間をふりかえる』

12/29/2023, 2:16:51 PM

「この季節ってみかん、食べたくなりません?」

今日も勉強と称して学校に来ていた彼女をこの準備室に招いていた。
雪の片鱗も見せなくなった今日この頃だけど寒さは毎日肌を刺すように厳しくなる。
そんな中、彼女が鞄から綺麗なオレンジに色付いたふたつのみかんをとりだした。
久しぶりに見たオレンジ色だった。

「そういえば今年まだ食べてないなぁ…、」

そう自覚してしまうと無性に食べたくなってしまう。
甘酸っぱいみかんの味が急に恋しくなった。

「なので、ひとつあげます。一緒に食べようと思って」
「あら、ありがとう。…このみかんぴかぴかね」
「ん〜よく分かりませんけど家で食べて美味しかったので先生にも冬のおすそ分けをとおもって!」

ぜひ食べてください、にこにこの笑顔で言われて不意にもきゅん…と胸がなった気がした。
それを誤魔化すようにみかんの皮と白い筋をとってひとつ口に放り込む。
甘い味が口の中で弾けてあとから独特のすっぱさがふんわりと漂う。
甘さとすっぱさのバランスが取れた完璧なみかんだった。

「ん、美味しい……!それにすっごい甘い。」
「でしょ!先生にたべてもらいたかったんです」
「今まで食べたどのみかんよりも美味しい、」
「……せんせ、食べ物はなにを食べるかじゃなくて、誰と食べるかですよ」
「…なるほどね。貴方と食べるから美味しいのかな」

ふざけてそんなことをサラッと言えば急に黙ってしまう。
あれ、てっきり何馬鹿なこと言ってるんですか!と叩かれる覚悟ぐらいはしていたのに。
すぐ隣を見れば顔を赤くして下を向く貴方。
何その顔…ちょっと可愛いじゃん、なんて言いそうになって慌てて口を噤む。
貴方がこれ以上顔を赤くしちゃったら困るし美味しいみかんに免じて可愛い顔は見なかった事にしよう。


2023.12.29『みかん』

12/28/2023, 11:46:46 AM

冬休みが始まって、先生に会える機会がぐっと減った。
流石に私も多少は弁えているつもりなので、毎日学校に押しかけることは無かったから会えるのもたまにで。
早く会いたい、早く会いたい、メンヘラ彼女みたいになってしまった私をお母さんはちょっぴり心配しているようだった。

「最後に会ったのが3日前…。もういっそのこと、会いに…じゃなくて!勉強しに行こうかな。どうせやることも無いし」

半ば無理やり自分を納得させるようにそういって洋服の準備を始めた。
私の学校は補習なんかで学校に来てない限り、冬季休暇中は私服が認められている。
だから、今日は普段見せない可愛い服をきて、先生に褒めてもらおう!の作戦。
我ながらちょっぴり、いやかなりくだらないと思いつつ、やっぱり褒められたいのでお気に入りのものを選んだ。


「……あ、先生…っ!」

「え、……貴方…あれ、俺の幻覚……?」

なんで……?と頭にはてなを2つぐらい乗っけた先生。
今日も先生のかっこよさは健在で私服ぽい服装にきゅん、と胸が音を立てた。

「先生に会いたくて…じゃなくて、勉強しに!」

「ふふ、初っ端から心の声がダダ漏れだけどね。勉強するなら準備室あけた方がいいよね……先に行ってて!鍵もってくるね」

ひらひらと手を振った先生は小走りで職員室にいってしまった。
準備室に向かう途中先生服装に全然触れてくれなかったなぁってネガティブにも考えてしまう。
やっぱりあっちの服にすればよかったな、なんてグルグル考えていたら鍵を持った先生が隣に立った。

「そういえば、今日の貴方の洋服可愛いね。いつも制服だからみなれなくて変な感じ。似合ってるよ」

サラッとそういった先生はカチャ、と鍵を開けて直ぐにストーブを付けた。
普段陰キャを自称するぐらいな癖にそんなことはサラッと言えちゃうんだ。
そういえば、と続けた先生がまた話始める。

「貴方にあったら話そうと思ってたんだけど、文豪の言葉に人生は何事もなさぬにはあまりにも長いが、 何事かをなすにはあまりにも短い、って言葉があるんだけど貴方は知ってる?」

「あ〜なんか聞いたことあります。なんとか敦…?」

「あら、よく知ってるね。そう、その中島敦の言葉なんだけど、冬休みにもいえることだなってふと思ってさ」

「冬休みと人生がですか……?」

「だって、冬休み何もしないで引きこもってたら長いけど、何かを活動的にするならやっぱり少し足りないじゃない。ほら、一緒。……なんて、ちょっと横暴かな?」

「まぁ、確かに言われてみれば…ですね。それで……?」

「俺も冬休みもっと欲しいな〜!って話。それだけ」

「えぇ!オチないんですか」

「うんないよ、それだけだってば」

オチのない先生の長話をゆったり聞けるのも冬休みの醍醐味だったりするのかもしれない。
終わって欲しくないけど、早く毎日先生に会える日常に戻りたいと少しわがままな学生身分の私の願い。


2023.12.28『冬休み』

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