「覚悟しろ、魔王!
お前を倒して、この世界に平和を取り戻す!」
「よくぞここまで来た、勇者よ!
この魔王にひれ伏すがよい!」
勇者は始まりの村から、
魔王は封印から解き放たれた時から。
何度、世界を救う旅に出たことだろう。
何度、世界を滅ぼそうとしただろう。
決まりきっている運命をなぞることに、両者は何を思うのか。
わかっていても、どちらも後に引かない。
勇者の旅には誰かの背中を押すための勇気を、
魔王の支配には目的のために立ちはだかる障害が存在することを見知らぬ誰かに伝えながら、それ以外を知らずに終わりまで進み続ける。そうしてまた旅立ち、封印から解き放たれる。
これからもずっと、そうして戦い続ける。
沈む夕日に向かって、「バカヤロー!」と叫んでみた。
胸に残ったものは、「何だこれ?」だけである。
近くを通りかかった人は、危ない人がいると表情を引きつらせ、そそくさと去っていくのだろう。
なぜこんなことをしたかといえば、昔の漫画で登場人物がやっていたことだからだ。
なぜそんなことをするのか、それをやって何になるのか。それが知りたかったのである。
叫んでみても、特に何かがスッキリしたわけでもなく、恥ずかしい気持ちになっただけだ。
夕日が俺に向かって「バカヤロー」と笑っている気がした。
あぁ、無駄なことをした。
教室で独り、泣いている君の目を見つめてみた。
「目は口ほどに物を言う」というくらいなのだから、何かわかるんじゃないかと思って。
結果、全然わからない。
むしろ、ブラックホールみたいですごく怖かった。
それ以来、人の目を見ることが怖くて仕方ない。
星空の下で
「俺がどんな顔をしてるか、わかるか」
いつもいかつい顔をしている親友が背中越しに言う言葉は、怒っているように聞こえた。
「わかるか」
俺は軽くそう返す。
もともとコイツは、そういう奴だ。
相手が自分をどう思っているかを訊くことで、相手の目を通して自分を見る。
なんでそんなことをするのか尋ねたことがあるが、詳しいことは忘れた。ただ、回りくどいという感想だけが残っている。
「わかるわけねえよ。転校するから、寂しいんだろうなとは思うけど」
星空の下、親友の歪んだ顔が振り返る。
「俺だって、お前とずーっと一緒に、バカやってたかったよ」
「わかってんじゃねえか」
星空の下、年の節目には連絡を取り合おうと誓い合うのだった。
それでいい。
僕がそう言うと、彼女は不快という色を隠さずに自分で描いた絵と僕を見た。
何がいけないのだろう。
期限は設けていない、ただの口約束だった。
ただ、側にいて作品ができあがっていくのが見たかったのだ。
だから、彼女の求めるものがどこにあるかなど、僕には興味がなかった。
彼女は完璧な作品を作りたかったらしいが、僕が求めていたのはその過程だ。
彼女の求めるものに対する真剣さ、足掻き、一部に対する満足な表情。手や目線の動き。すべてがそれ「で」いいのだ。
そのすべてのまま、君よ。
変わらないで。