床に伏せて外を見ていると寒空に枯葉が舞っている
間も無く閉ざされた冬がやってくる
外を出歩くことすらままならないこの身体
自分の命が永くないことを悟っている
山の中にひっそりと佇むこの家には、旅人や商人が宿を求めて我が家へ顔を出すことがあった
彼らの語る煌びやかな都の様子や珍しい土地や生き物たち、そんな話を聞くのが大好きだった
その後、彼らはどの様な人生を歩んだのだろう
彼らもすでにこの世を去っているのだろうか
チテチテとかわいらしい足音が響く
孫娘の寧音だ
手にもった紅葉や銀杏の葉を、私の枕元に並べる
「とてもきれいね」というと、にかっと小さな歯を見せて笑う
ひとりでこの世にやってきて、ひとりでこの世を去る
孫や子どもが産まれた時、どんなに嬉しかったことか。どんな気持ちで赤子を迎え入れたことか。
私がこの世を旅立った後、先に旅立った家族たちが笑顔で迎えてくれるのではないだろうか
『誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松も昔の 友ならなくに』
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お題:意味がないこと
「意味があること」「意味がないこと」、それを分けること自体が無意味なのかもしれない
あなたは大きい、わたしは小さい
あなたは強い、私は弱い
あなたは社交的、わたしは内向的
あなたは激しい、わたしは穏やか
あなたは黒い、わたしは白い
あなたは外を自由に歩き、わたしは籠から出られない
正反対のあなただから、あなたに憧れる
正反対のあなただから、一緒にはいられない
わたしは小鳥、あなたは猫
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お題:あなたとわたし
はるな「おはよー。雨だと髪の毛、めっちゃ広がる〜」
みき「それな。うちなんかくせっ毛だからすごいよ〜」
はるな「え〜、みきの髪型かわいいじゃん」
みき「でしょ〜、雨だから特別に巻いてきたの」
さや「おはー。見て、この傘ヤバくない?」
はるな「かわちい❤︎どしたん?」
さや「昨日買ってもらったの。長靴とお揃い〜」
みき「雨の日コーデ、いいよね」
ゆめの「私のレインコートも見て〜。帽子かぶるとユニコーンになるの」
さや「めちゃかわいいじゃん」
はるな「ねー、今日どうする?」
みき「もちろん雨でも外で遊ぶっしょ」
はるな「それな!雨ならではの遊び」
みき「水たまりジャンプ」
ゆめの「行こう〜」
ひだまり幼稚園のみんなは今日も元気いっぱいです。
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お題:柔らかい雨
この部屋はとても居心地がいい。静かで暖かく、辺りは暗闇に包まれている。ここにいれば安全だ。僕はここから出て行きたくない。もう少し眠っていよう。
なんだか最近部屋が狭くなってきた。腕や脚を伸ばすとすぐに壁にぶつかってしまう。でもこの部屋はやっぱり居心地が良い。小さく丸まって眠っていよう。
ちょっと部屋の外が騒がしい。何が動いたり壊れたりする音がする。ちょっと静かにしてくれよ。僕はまだまだ眠っていたいんだ。
あっ!誰が僕の部屋にぶつかってきたみたいだ。やめてくれ!僕も部屋の壁を叩き返す。部屋の中に一筋の光が入ってかた。ああ、僕の部屋の壁が壊れてしまった。部屋の中に光が溢れてくる。あれ?僕の部屋ってこんなに小さかった?なんだか汚れてる気持ちする。
もぉ、よしこうなったら僕も外に出て見よう。僕の仲間がいっぱいいるね。
「やあ、はじめまして。みんなどこに行くの?」
「着いておいでよ。みんなで外に出るよ」
んしょ、んしょ。わぁ、きれい。なんて広いの。頭の上には満天の星空。
「あっちだよ。海の方へ行くんだよ」
僕らは広い世界に放たれた。この世界は静かでも暖かくも安全でもない。でも、この世界は美しい。
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お題:一筋の光
紅葉の時期が終わり、木々の葉が落ちていく。色とりどりの山々は色彩をなくしていく。
山の動物たちの冬支度も落ち着き、山は静けさに包まれる。
陽の落ちた山には『フィー』という鹿の声が山に響き渡る。
布団の中でその声を聞きながら、寧音は眠れずにいた。加速度的に季節が進むこの頃、自分だけが取り残されて行きそうで寂しくてたまらなくなる。
3歳年上の姉が隣で寝息をたてている。寧音はそっと姉の布団に潜り込む。眠っているはずの姉がそっと布団の端にずれて寧音を迎え入れてくれた。寧音は姉の呼吸に合わせて息をしてみる。姉の眠気がゆっくりと自分の中に入ってくるのを寧音は感じていた。
『奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の
声聞く時ぞ 秋は悲しき』
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お題:哀愁を誘う
ずっと鹿の鳴き声を知りませんでした。
数年前の秋、山の麓でキャンプしていました。夜寝ていると野生の動物の大きな鳴き声がしていました。翌日聞いたところ、鹿の鳴き声だとのこと。私にとって鹿の鳴き声は哀愁を誘うものではなかったのですが、昔の人は冬が近づく寂しさの様なものを感じるのかなと思いました。
百人一首:2024/10/23