わたあめ

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 この部屋はとても居心地がいい。静かで暖かく、辺りは暗闇に包まれている。ここにいれば安全だ。僕はここから出て行きたくない。もう少し眠っていよう。

 なんだか最近部屋が狭くなってきた。腕や脚を伸ばすとすぐに壁にぶつかってしまう。でもこの部屋はやっぱり居心地が良い。小さく丸まって眠っていよう。

 ちょっと部屋の外が騒がしい。何が動いたり壊れたりする音がする。ちょっと静かにしてくれよ。僕はまだまだ眠っていたいんだ。
 あっ!誰が僕の部屋にぶつかってきたみたいだ。やめてくれ!僕も部屋の壁を叩き返す。部屋の中に一筋の光が入ってかた。ああ、僕の部屋の壁が壊れてしまった。部屋の中に光が溢れてくる。あれ?僕の部屋ってこんなに小さかった?なんだか汚れてる気持ちする。
 もぉ、よしこうなったら僕も外に出て見よう。僕の仲間がいっぱいいるね。
「やあ、はじめまして。みんなどこに行くの?」
「着いておいでよ。みんなで外に出るよ」
 んしょ、んしょ。わぁ、きれい。なんて広いの。頭の上には満天の星空。
「あっちだよ。海の方へ行くんだよ」

 僕らは広い世界に放たれた。この世界は静かでも暖かくも安全でもない。でも、この世界は美しい。

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お題:一筋の光

11/6/2024, 2:33:50 AM