「ジョージを殺して欲しい。」
届いたのは一通の手紙だった。
『 ジョージ、今日一緒に帰ろ』
「えっ、あ、んー、ちょっと今日用事があってごめん。」
『 ほほーん、彼女できたか?』
「いや、ちが、くわないんだけど。」
「あー、やっぱ一緒に帰る!」
『 ねぇジョージ、だいじょぶ?顔色悪いよ』
「うん、だいじょぶ」
『 で、どーなの?彼女』
「えっ、か、かわいいよ」
「ばいばい」
『 うんばいばい』
僕は顔色の悪いジョージの後をつけることにした。
ここは?墓?
「ごめんなさいごめんなさい。愛する彼女を助けたかっただけなんです。」
ただただ墓石の前で謝るジョージがいた。
『 ジョージ』
「えっあっ、マイク。」
「きっ、君は?!!?!」
僕の右手には小さいナイフ。
『 あぁ、ジョージごめん。』
「ふふっははっ、君が殺し屋なんだねマイク。」
「どうか僕を善人のまま殺してくれ。」
『 う、うん』
震えていた、ありえないほどに。
『 ジョージ、、やっぱり僕、君だけは、』
「ははっ、君ほんとに殺し屋?人1人殺せなくて殺し屋?反吐が出るね。」
『 クッ』
グサッ
「アガッ」
「いいん、だよ。それでいい、んだ。」
「マイ、ク、、あり、が、と」
あとから聞いた話だ。ジョージは女性が誘拐されそうだった所を助けたらしい。
犯人を殺して。
泣かないよ。
決して処刑台に立っても。
これは一国の幼き姫の物語。
私はとてもとても裕福でとてもとても穏やかな生活をさせてもらっています。私のように暮らせていない方が何千人いることも知っています。地に這いつくばって生きている方がいるのもしっています。だから私はこの国をみんなが笑える国にしたいのです。水素9.5%、炭素18.5%、窒素3.2%、酸素65.0%、ナトリウム0.2%、マグネシウム0.1%、リン1.0%、イオウ0.3%、塩素0.2%、カリウム0.4%、カルシウム1.5%、鉄0.005%、その他1.7%これらの成分で人間はできているのです。みんな同じです。みんな同じ成分なのです。それではなぜ人間は身分というものをつくるのでしょうか?それはきっと私たちのような身分の人が裕福をしたいから。私は別に普通でいいのに。
それは突然でした。国民の反乱が起きてしまったのです。王族への反感によってです。他国の洋服ばかり買う母は国民に殺され、子供を嫌う父は馬車で逃亡の後暗殺。綺麗な令嬢ばかりを家に招く兄はその令嬢に毒殺。私は捕まり牢屋生活になりました。見せしめに殺されるみたいです。
ガチャ
ついにこの時が来ちゃいました。私は首を落とされてしまいます。
あぁこの人たちはご存知ないんですね。
私が孤児院や病院に多額の寄付してることも、私のアクセサリーは売ってドレスは街の女の子へ寄付、税を2%下げるよう国会で言ったのも、手作り料理をまだ身分のない方にあげたのも、他国の難民のためのシェルターを作るお金を出したのも全部全部私ということにを
足りなかったのでしょうか。やっぱり国の体制ごと変えないといけなかったのでしょうか。私なりに頑張りましたのに。
私が悪役になって殺されてそれでこの国が平和になるのならそれでいいのです。
周りからの罵倒で私の視界が滲んで来てしまいました。
でも泣かないよ私は悪役でいないと。そう自分に言い聞かせました。
「姫様!!!!」
その声でふと目が冴えてしまいました。
私のことを支えてくれたたった1人の執事。
「姫様は悪くない!最近税が下がったのも、孤児院が増えたのも病院が増えたも、全部姫様のおかげなのに!!誰よりも私たち国民を優先してくださった人なのに。そんなことも気づけていないのか!馬鹿共め!!」
この言葉は周りの雑音で掻き消されてしまいましたが、私には聞こました。ありがとう。私のことを知っている人がいてくれて私は本当に幸せ者です。そうですとも。
『国民どもが!!殺せるものなら殺してみなさい!』
ありがとう。
そう口パクで私は彼に伝えました。
ガチン
平穏な日常が壊れる時はいつもオルゴールの音がする。
今日は朝からずっとオルゴールの音がした。
だからかなぁ。今目の前にいるのは人間では無いナニカ。
あちこちで悲鳴が聞こえる。
はぁもっと平穏を堪能すればよかったな。
僕は平穏だった日常の生き方に後悔をした。
誰かを愛せば平和がやってくるのでしょうか?
ここはマグルス王国。
目が青いことが当たり前のことであり、青くない者は人ではなく兵器として使われる。
私は目が生まれつき青かった。だから美味しいご飯とふかふかのベット何もかもが不自由ではなかった。
私がこの国の本当の姿を見たのは、12歳の頃だ。
母に連れられ足を運んだのは父が働く軍隊だった。
その光景は今でも脳裏に焼き付いている。
自分と年齢が変わらない少年少女。目が青くない少年少女。
戦車に乗る少年少女。
メディアでは戦争の話題なんてやってないのに、血まみれになって帰ってくる少年少女。粉粉になった戦車だったもの。
それを平然とみている両親。
あぁこの国は狂っている。
4年後
私は父のいる軍隊に入った。
『今日からこちらの部隊に配属されました。よろしくお願いします。』
入ったと言っても私は所詮女。だから書類作業しか出来ない。
配属から、1年。私は目が青くない者達の管理を任された。
『これからよろしくお願いします。』
彼たち、12人は目を真ん丸くして驚いていた。
朝、朝食を出した。そしたら彼ら10人は驚いた。
部屋の掃除をした。そうしたら彼ら9人は驚いた。
みんな優しかった。もう戦場なんかに言っちゃダメだ。
一緒にトランプしようと言ったら。彼ら5人は驚いた。
一緒に寝ようと言ったら。彼ら4人は驚いた。
あなた達の夢は何?と聞いたら。彼ら2人は驚いた。
ねぇ行かないで。戦場に行かないで。置いていかないで。
彼は戦場にいった。もうやめてあなただけは、あなただけは
どうか逝かないで。
君たちにもう一度問う。
誰かを愛せば平和がやってくるのでしょうか?
私は12人を愛していた。彼を心の底から愛していた。
でも戦争は終わらない。彼も返ってこなくなった。
きっと愛と平和は、一緒に欲張るものなんかじゃなかったんだ。きっとこの世界は、愛と平和じゃなくて平和と愛なんだ。
愛があるから平和じゃなくて。平和だから愛が生まれるんだ。
そう言って彼の墓に1輪の花を置く。
2017年
キキッードゴン
「誰か救急車を!」
ピポーピポー
僕は意識を手放した。
2028年
パチッ
僕は目を覚ました。目の前に移るのは歳をとった母とメガネをかけている医者。
「おはようございます。四季くん。11年前のこと覚えていますか?」
『車に轢かれたことですか?』
「そうですね。記憶はだいじょぶみたいです。お母さん。」
「ほんとですか!それは良かった!」
「記憶が正常なのでリハビリを初めてもだいじょぶそうです。」
そこからはリハビリをして昔の友達と会っての繰り返しだった。
『来てくれてありがとう。真斗、修一。』
「四季、お前変わったな。イケメンになったな」
「ちょ、俺より身長高くねぇか」
『俺177』
「えっ、俺169なんだけど、、」
「はっ、残念残念」
「真斗お前は180超えてるもんないいなぁー」
僕はついこの前まで真斗、修一と一緒に居た感覚があるけど、あっちは僕がいない11年間という長い年月をすごしてきたんだな。
最近は真斗や修一、クラスメイトの人達から僕がいなかった時の話をされるんだ。楽しいけど悔しい、
僕がいないこの世界で過ぎ去った日々がどれほどのものか。
僕は実感していた。