誰かを愛せば平和がやってくるのでしょうか?
ここはマグルス王国。
目が青いことが当たり前のことであり、青くない者は人ではなく兵器として使われる。
私は目が生まれつき青かった。だから美味しいご飯とふかふかのベット何もかもが不自由ではなかった。
私がこの国の本当の姿を見たのは、12歳の頃だ。
母に連れられ足を運んだのは父が働く軍隊だった。
その光景は今でも脳裏に焼き付いている。
自分と年齢が変わらない少年少女。目が青くない少年少女。
戦車に乗る少年少女。
メディアでは戦争の話題なんてやってないのに、血まみれになって帰ってくる少年少女。粉粉になった戦車だったもの。
それを平然とみている両親。
あぁこの国は狂っている。
4年後
私は父のいる軍隊に入った。
『今日からこちらの部隊に配属されました。よろしくお願いします。』
入ったと言っても私は所詮女。だから書類作業しか出来ない。
配属から、1年。私は目が青くない者達の管理を任された。
『これからよろしくお願いします。』
彼たち、12人は目を真ん丸くして驚いていた。
朝、朝食を出した。そしたら彼ら10人は驚いた。
部屋の掃除をした。そうしたら彼ら9人は驚いた。
みんな優しかった。もう戦場なんかに言っちゃダメだ。
一緒にトランプしようと言ったら。彼ら5人は驚いた。
一緒に寝ようと言ったら。彼ら4人は驚いた。
あなた達の夢は何?と聞いたら。彼ら2人は驚いた。
ねぇ行かないで。戦場に行かないで。置いていかないで。
彼は戦場にいった。もうやめてあなただけは、あなただけは
どうか逝かないで。
君たちにもう一度問う。
誰かを愛せば平和がやってくるのでしょうか?
私は12人を愛していた。彼を心の底から愛していた。
でも戦争は終わらない。彼も返ってこなくなった。
きっと愛と平和は、一緒に欲張るものなんかじゃなかったんだ。きっとこの世界は、愛と平和じゃなくて平和と愛なんだ。
愛があるから平和じゃなくて。平和だから愛が生まれるんだ。
そう言って彼の墓に1輪の花を置く。
2017年
キキッードゴン
「誰か救急車を!」
ピポーピポー
僕は意識を手放した。
2028年
パチッ
僕は目を覚ました。目の前に移るのは歳をとった母とメガネをかけている医者。
「おはようございます。四季くん。11年前のこと覚えていますか?」
『車に轢かれたことですか?』
「そうですね。記憶はだいじょぶみたいです。お母さん。」
「ほんとですか!それは良かった!」
「記憶が正常なのでリハビリを初めてもだいじょぶそうです。」
そこからはリハビリをして昔の友達と会っての繰り返しだった。
『来てくれてありがとう。真斗、修一。』
「四季、お前変わったな。イケメンになったな」
「ちょ、俺より身長高くねぇか」
『俺177』
「えっ、俺169なんだけど、、」
「はっ、残念残念」
「真斗お前は180超えてるもんないいなぁー」
僕はついこの前まで真斗、修一と一緒に居た感覚があるけど、あっちは僕がいない11年間という長い年月をすごしてきたんだな。
最近は真斗や修一、クラスメイトの人達から僕がいなかった時の話をされるんだ。楽しいけど悔しい、
僕がいないこの世界で過ぎ去った日々がどれほどのものか。
僕は実感していた。
「あなたにこの花を授けます」
そうやって渡されたのはサンシキスミレ。
彼女の瞳には僕がはっきりと映し出されている。
「いつかまた君に会えますように、」
そう言って彼女の手からミヤコワスレの花が落ちた。
だか、また拾って僕のポッケに差し込んだ。
彼女と別れて2度目の春が過ぎ去りそうな時。僕は兵士として、王国同士との戦争に参加していた。きっと僕たちの国は落ちる。敵国の勢力は4万で僕達の国は2万、勝てるわけがない。
でも逃げたら逃げたで違う死が待っている。どうせ死ぬなら自分が忠誠を誓った、王女の国に僕の脳でも心臓でも捧げようではないか。
「「「「突撃!!!」」」」
その声と共に敵陣に足を踏み入れた。どうせ死ぬのなら死に方くらい選ばせてもらう。
味方の軍勢がだいたい腐りかけた頃だ。相手国は言いやがった。
「お前の国の王女をこちらによこすなら、和平を結んでも良い。」
世間には知られていなかった、彼女の能力がバレた。きっと王城内に隠密がいたのだろう。これで完全に僕達の国は落ちた。
国王は王女を見放した。今回だけは未来を予言できなかったからだろう。王女は敵国、、いや友好国に渡された。
和平を結んで4年、僕は街を出た。
彼と別れてどれくらいがたつのでしょうか。私は4年前最低な行動をしてしまいました。あの時のお父上の顔と言ったら、神話に出てくる悪魔みたいなお顔をしていました。ですがお父様この決心をしていたのはだいぶ前からですの。彼との別れを告げたその時流れてきた映像は、微笑む彼と泣きじゃくる私。思わず「都忘れ」を落としてしまいましたわ。彼に会うために何人も犠牲にしてしまった。でも、未来を変えないようにするにはこれしかなかったんです。愛する人のためにいくつもの命をお父様は殺したのでしょう。お髭の本数でも足りないくらいでしょうか。お父様の遺伝子を多く受け継いだ、この愚女をどうかお許しください。
お父上への手紙を書き終えた。私は予知に専念するため、余計なことはしなくていいような所に今は住んでいる。
窓辺でお茶を飲もう。そう次の予定をたて、行動した。
顔を出していると、たくさんの人に挨拶してもらえて暖かい。
コンコンコン ファサッ
『お久しぶりです、王女様。』
面影のある顔、伸びた身長、優しい声色。全部知っている。
「貴方は!!!!」
彼はすぐ帰ってしまった。忘れ物をして。
私は12本の三色菫とある紙と一緒に取り残された。
紙にはこう書かれていた。
”大好きな君に”
予知通り、微笑んだ彼と泣きじゃくる私。
ピシャッ
君は赤い湖をつくっていた。
クラスメイトだった。2人しかいない探偵部の部員だった。
少し変わった部活だった。僕達の活動内容は可愛らしかった。
後輩が無くしたくまちゃんのキーホルダーを探したり、別クラスのゆいちゃんは誰と付き合っているのか?という田中くんからの依頼を実施したり、探偵という探偵はしていなかったが毎日が充実していた。特に印象に残ってる依頼はイケメンの高瀬先輩の浮気をつきとめたときかな。まさかの担任の山内先生とだったんだよ、ほんとびっくりしたな。この頃はまだ良かった。まだかわいかった。
担任が赤い服と白い髭をつけてチリンチリンと教室に入ってきた頃だろうか。僕の斜め後ろの席には白色の花がさしてある花瓶がおいてあった。その子は寒い冬に耐えられなかったらしい。
君はもうこの時点で気づいていたのか?
隣の人からプールの匂いがする頃だ。前の席に白色の花がさしてある花瓶がおいてあった。その子は肺に酸素が足りなくなったらしい。
僕は疑問に思い始めた。
月見をしたくなった頃だ。1番後ろ端の席に白色の花がさしてある花瓶がおいてあった。その子は迷子になって自然の砂遊びに巻き込まれたらしい。
ここで僕の疑問は確信に変わった。
『死ぬ理由が幼稚すぎやしないか?』
3人目で確信したのはそいつが頭が良かったからだ。あいつが迷子になることはありえない。ましてや2人目も優秀だった。
そこで僕達探偵部は動いた。みんなに言った、「1人になるな」
「複数人でいろ」
僕らの読み通り1人になった奴らは凍死やらなんやらでいなくなった。
とうとうみんなで帰ることになったときぐらいから人が死ぬことはなくなった。だから安心してたんだ。
探偵部として先生方に事情聴取をしている時だった。君は山内先生をさリストに入れといてって言ったね。
その日君を部室に1人にした僕が馬鹿だった。
倒れてる本棚に頭が潰れてる君。微かに匂うあいつの香水の匂い。犯人も手荒だな胸の刺傷が丸見えじゃないか。
どんなに残酷な事件を調べても、母が死んだ時も怖いなんて感情を抱いたことがない僕が初めて『現実逃避』したいなんて思ったよ。
山内、お前の脳と俺の脳どっちが優秀かな?すぐに独房に入れてやるから荷造りでもしてろ、香水くせぇんだよクソばばぁ。
『僕達は1000年以上生きれる種族だろ。だからまたきっとどこかで会えるさ』
そう言ってこの森を追放された君。他種族との恋愛は王家の私にとって絶対にあってはならない事だ。そんなの分かってる。
わかってたのに。
「会いたい。」
そんな気持ちが心の沼に沈みは浮かびを繰り返してはや228年。
瞬きをすれば1日が終わるそんな日々を過ごしていた。
私はこの浮び上がる気持ちを泡として流したかった。
だから私は家を出た。君の死体でも墓石でも見つけられればなって思ってたよ。そうすればきっと楽になれる。その快感を求めて沢山飛んだ、私の白い羽で沢山空を撫でた。私は空を撫ですぎたかな?地球が丸くなったみたいだ。
探してから何十年になるかなぁ。案外楽しいよ、自分の情けなさに気づけて。今日は久しぶりにご飯を食べたよそこら辺の枯葉を集めてこねた特性枯葉団子。意外といけるよ。
探して何百年になるかな。もう疲れたな。おやすみ。
『ねぇそこの君だいじょーぶ?』
声をかけられた。いいや眠いし無視無視。
『ねぇ、!おーい!』
うるさいなぁ。
『おーい!!!』
、、なんか暖かいな。
『 、』
、、なんか懐かしいな。
懐かしいという感覚だけにまかせて私は目を開いた。
あぁやっとみつけた。
私の、私のずっと探してた君は今ここにいる。
ずっと探してた愛しい黒い羽根の生えた君。
「みぃーつけ、、た、」