佐藤 と塩

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ピシャッ
君は赤い湖をつくっていた。

クラスメイトだった。2人しかいない探偵部の部員だった。
少し変わった部活だった。僕達の活動内容は可愛らしかった。
後輩が無くしたくまちゃんのキーホルダーを探したり、別クラスのゆいちゃんは誰と付き合っているのか?という田中くんからの依頼を実施したり、探偵という探偵はしていなかったが毎日が充実していた。特に印象に残ってる依頼はイケメンの高瀬先輩の浮気をつきとめたときかな。まさかの担任の山内先生とだったんだよ、ほんとびっくりしたな。この頃はまだ良かった。まだかわいかった。

担任が赤い服と白い髭をつけてチリンチリンと教室に入ってきた頃だろうか。僕の斜め後ろの席には白色の花がさしてある花瓶がおいてあった。その子は寒い冬に耐えられなかったらしい。

君はもうこの時点で気づいていたのか?

隣の人からプールの匂いがする頃だ。前の席に白色の花がさしてある花瓶がおいてあった。その子は肺に酸素が足りなくなったらしい。

僕は疑問に思い始めた。

月見をしたくなった頃だ。1番後ろ端の席に白色の花がさしてある花瓶がおいてあった。その子は迷子になって自然の砂遊びに巻き込まれたらしい。

ここで僕の疑問は確信に変わった。

『死ぬ理由が幼稚すぎやしないか?』

3人目で確信したのはそいつが頭が良かったからだ。あいつが迷子になることはありえない。ましてや2人目も優秀だった。

そこで僕達探偵部は動いた。みんなに言った、「1人になるな」
「複数人でいろ」
僕らの読み通り1人になった奴らは凍死やらなんやらでいなくなった。

とうとうみんなで帰ることになったときぐらいから人が死ぬことはなくなった。だから安心してたんだ。

探偵部として先生方に事情聴取をしている時だった。君は山内先生をさリストに入れといてって言ったね。

その日君を部室に1人にした僕が馬鹿だった。

倒れてる本棚に頭が潰れてる君。微かに匂うあいつの香水の匂い。犯人も手荒だな胸の刺傷が丸見えじゃないか。

どんなに残酷な事件を調べても、母が死んだ時も怖いなんて感情を抱いたことがない僕が初めて『現実逃避』したいなんて思ったよ。

山内、お前の脳と俺の脳どっちが優秀かな?すぐに独房に入れてやるから荷造りでもしてろ、香水くせぇんだよクソばばぁ。





2/27/2024, 2:53:46 PM