佐藤 と塩

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「あなたにこの花を授けます」
そうやって渡されたのはサンシキスミレ。
彼女の瞳には僕がはっきりと映し出されている。
「いつかまた君に会えますように、」
そう言って彼女の手からミヤコワスレの花が落ちた。
だか、また拾って僕のポッケに差し込んだ。



彼女と別れて2度目の春が過ぎ去りそうな時。僕は兵士として、王国同士との戦争に参加していた。きっと僕たちの国は落ちる。敵国の勢力は4万で僕達の国は2万、勝てるわけがない。
でも逃げたら逃げたで違う死が待っている。どうせ死ぬなら自分が忠誠を誓った、王女の国に僕の脳でも心臓でも捧げようではないか。

「「「「突撃!!!」」」」

その声と共に敵陣に足を踏み入れた。どうせ死ぬのなら死に方くらい選ばせてもらう。

味方の軍勢がだいたい腐りかけた頃だ。相手国は言いやがった。
「お前の国の王女をこちらによこすなら、和平を結んでも良い。」
世間には知られていなかった、彼女の能力がバレた。きっと王城内に隠密がいたのだろう。これで完全に僕達の国は落ちた。

国王は王女を見放した。今回だけは未来を予言できなかったからだろう。王女は敵国、、いや友好国に渡された。

和平を結んで4年、僕は街を出た。





彼と別れてどれくらいがたつのでしょうか。私は4年前最低な行動をしてしまいました。あの時のお父上の顔と言ったら、神話に出てくる悪魔みたいなお顔をしていました。ですがお父様この決心をしていたのはだいぶ前からですの。彼との別れを告げたその時流れてきた映像は、微笑む彼と泣きじゃくる私。思わず「都忘れ」を落としてしまいましたわ。彼に会うために何人も犠牲にしてしまった。でも、未来を変えないようにするにはこれしかなかったんです。愛する人のためにいくつもの命をお父様は殺したのでしょう。お髭の本数でも足りないくらいでしょうか。お父様の遺伝子を多く受け継いだ、この愚女をどうかお許しください。

お父上への手紙を書き終えた。私は予知に専念するため、余計なことはしなくていいような所に今は住んでいる。
窓辺でお茶を飲もう。そう次の予定をたて、行動した。
顔を出していると、たくさんの人に挨拶してもらえて暖かい。

コンコンコン ファサッ


『お久しぶりです、王女様。』





面影のある顔、伸びた身長、優しい声色。全部知っている。
「貴方は!!!!」
彼はすぐ帰ってしまった。忘れ物をして。


私は12本の三色菫とある紙と一緒に取り残された。
紙にはこう書かれていた。


”大好きな君に”


予知通り、微笑んだ彼と泣きじゃくる私。







3/4/2024, 12:32:45 PM