柊戯

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6/26/2023, 9:39:05 AM

お題「繊細な花」


「わぁ、、きれい」

目の前に広がる百合の花を眺め呟く。

「姉さん見てよ綺麗でしょ?黒百合」

「そうね、確かに綺麗だわ」

そう言うと静かに目を伏せ白百合に手を添える。

「けれど、私は白百合が好きだわ」

「姉さんは本当白百合好きよね」

「えぇ、とても美しくて素敵だもの」

白百合に手を添えたまま口ずけをした。

「私は黒百合の方が好きだな〜」

「あら、確かにあなたにはお似合いよ?黒魅」

「ふふ、白諳姉さんもお似合いよ」

2人の姉妹は微笑み百合を摘んでいく。

何本か摘み終えた2人は並んで帰路に着いた。

玄関には白い花瓶に黒百合。

黒い花瓶に白百合が並んでいる。

椅子に座って姉妹は紅茶を1口啜る。

「綺麗に飾れたわね」

「そうね白諳姉さんの生け方綺麗で参考になるわ」

「ありがとう」

姉妹は微笑み合い百合たちを眺めた。

繊細に鮮やかに咲き誇っている百合が揺れる。

6/24/2023, 3:12:22 PM

1年後の私へ

1年後私へこれは1年前の私からの手紙(?)です。

1年後の私は何をしていますか?

1年後は成人して大人の仲間入り、なんてはしゃいでるかな笑

1年後のあなたは私の叶えたいことを叶えていますか?

それとも現実に嫌気がさしてもー無理ぃなんて嘆いてますか?笑

私は1年後の私にやって貰いたいことがあります。

今信用できる人、大切な人を何時までも大切にして自分の気持ちを殺さず生きてください。

そして、やりたい夢を忘れずに貴方の手で幸せを掴み取ってください。

1年後はどうなっているか分からないけれど、取りあえず生きててください。

死んだら承知しないかんなー?笑

好きな人置いて死ぬなよ私。

何があるか分からないけれども1年後も幸せであってください。

小説家を目ざして大きく羽ばたいてください。

1年前の私より

6/17/2023, 5:04:35 AM

※この物語はメリーバッドエンドです。苦手な方や不快な方は回れ右してください。

お題「1年前」


「僕たちはこれが幸せだった。」

とある暑い夏の日。

1人の幼なじみがそう言った。

そして1年が経った今彼女と彼はもう居ない。

あれは1年ほど前の夏だった。


「千夏〜遊びに来たよ」

「あ!深春!」

「あ、深春やほ」

「秋人、千夏こんばんは」

病室に入り幼なじみの千夏と秋人に挨拶をする。

ベッドに横たわる彼女は手を伸ばしプリン!とドヤ顔をしながら言い放つ。

「はいはい笑」

箱から2つプリンを取り出し千夏と秋人に手渡す。

「プリンだぁ!!」

「僕まで良いのかい?」

「もちろん」

「ありがとう」

はしゃぎながらも、美味しいと食べ続ける彼女に笑みがこぼれる。

「ほら千夏口元付いてるよ」

「んぁ、ありがと秋人」

2人の世界に入り込んだ所を見守りながら病室を後にした。

そしていつもの様に次の日も病室へ行く。

だが、そこに居たのは白い布を顔に乗せて横たわっている千夏と泣きながら彼女に呼びかける秋人。

プリンの入った箱が、手から滑り降ちる。

「ち、なつ、、?」

「ぁ、み、はる、」

涙でぐちゃぐちゃな顔で振り向き私の名前を呼ぶ彼。

私は静かに千夏に近づく。

「ち、なつ、、?嘘、よね、?」

肌は青白く冷たい。

「ねぇ、昨日はあんなに元気だったじゃない、なんでなの、?」

「深春、嘘じゃ、ないんだ、」

泣きながらボソボソと喋っている彼は心做しか震えていた。

「いやよ、、いやぁ!!ちなつぅぅ!!」

泣きじゃくって千夏の身体にしがみつく。

「僕たちはこれが幸せだったんだ。」

秋人は窓から身を乗り出し飛び降りた。

「あき、ひと、?」

そして残ったのは私一人のみ。

体が強張り動かない。

何故なのか、幼なじみが2人死んだ。

そして騒ぎを聞きつけ医者や看護師が病室に入ってくる。

「大丈夫ですか!?」

「、、あああああああああああぁぁぁ!!」

私は狂った。

そして1年が経った今、2人の元へ旅立つ。

「これが私たちの幸せだね」

私は笑いながら飛び降りた。

そして死後の世界で2人とずっと幸せに、、。

「前世は幸せでした」

3人口を揃えそう呟いた。

6/1/2023, 2:27:36 PM

「雨って良いよね」

あの時紫陽花を見ながらそういった彼女。

その時の表情が儚げで消えてしまいそうで、思わず僕は彼女を抱きしめた。

「もぉ〜どしたの?」

「ううん。ただ、、好きだなって」

「何それ〜!もう照れるじゃん、、!」

表情が少し和らぎ耳まで赤くなった彼女は照れ隠しをするかのように傘で顔を隠す。

こんな時間がずっと続くと思っていた。

だけどそうは上手くいかなかった。

「、、花和?」

「、、、、」

「お、い、、?なぁ、嘘、だよな?」

ぐったりと倒れ込む彼女はもう息をしなくて頭が真っ白になる。

「、、なぁ!起きてくれよ花和!」

何度も肩を揺さぶるが彼女の瞳が開くことは二度となかった。

「ぁ、、うぅっ、くっああああ!!!」

彼女を抱きかかえたまま、泣き崩れる。

窓を叩き付ける雨の音が揺れる紫陽花が目にこびりついたまま記憶の1部となった。

そして僕は今日も君を求め彷徨う。

「今、会いに行くからね」

そして僕は飛び降りた。


ENDお題「梅雨」

5/31/2023, 12:45:24 PM

彼女は消えた。

突然僕の目の前から姿を消したのだ。

彼女が消えたのは3年前の今日。

そう、僕の、、誕生日だった。


ー3年前ー

「今日も天気良いねぇ」

「天気良いねぇ。じゃないよ全く」

「えへへ〜」

「本当に気をつけてよね心配したんだから」

「ごめんごめん!すぐ治るって!」

「ったく。ほらプリン」

「わぁい!プリンだ!!」

喜ぶ様にプリンを食べる彼女。

この後に来る後悔なんて知らずに笑う僕。

どこで間違えてしまったのだろうか。

「、、え?」

「あー、なんか頭?を強くうっちゃって」

「本気で言ってんのか、?」

「あ、えと、余命、半年だって、、」

頭が真っ白になった。

鈍器で強く頭を殴られたみたいな感覚に陥り受け入れることは到底できるはずも無い。

助けることは出来ないのか。

彼女を救うことは出来ないのか。

何度も強くそう思った。

「で、でもほら!天気はいいし!」

「、、、」

「ほ、ほら青い空、白い雲!快晴だよ!」

「もう、やめろよ、、晴香」

「、、空良ぁ死にたくないよ(泣)」

初めて彼女は弱音を吐いた。

僕は彼女が流す涙を見つめ綺麗だなんて考えていた。

そして半年がたった7月19日。

彼女は死んだ。

「、、うっ、くっ、、はるかぁあ!!」

僕は声を殺し泣き続けた。

そして彼女がいなくなって3年がたった今日。

僕は新たな道を歩む。

「晴香見ていてくれ。僕は立派な医者になるよ」

快晴な空を見上げ今日もまた1人と患者を救う。

今の僕に出来ることはそれくらいなのだから。


ー「大丈夫だよ。ちゃんと見てる頑張れ空良」

END

お題「天気の話なんてどうだって良いんだ。僕が話したいことは、、」

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