柊戯

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「雨って良いよね」

あの時紫陽花を見ながらそういった彼女。

その時の表情が儚げで消えてしまいそうで、思わず僕は彼女を抱きしめた。

「もぉ〜どしたの?」

「ううん。ただ、、好きだなって」

「何それ〜!もう照れるじゃん、、!」

表情が少し和らぎ耳まで赤くなった彼女は照れ隠しをするかのように傘で顔を隠す。

こんな時間がずっと続くと思っていた。

だけどそうは上手くいかなかった。

「、、花和?」

「、、、、」

「お、い、、?なぁ、嘘、だよな?」

ぐったりと倒れ込む彼女はもう息をしなくて頭が真っ白になる。

「、、なぁ!起きてくれよ花和!」

何度も肩を揺さぶるが彼女の瞳が開くことは二度となかった。

「ぁ、、うぅっ、くっああああ!!!」

彼女を抱きかかえたまま、泣き崩れる。

窓を叩き付ける雨の音が揺れる紫陽花が目にこびりついたまま記憶の1部となった。

そして僕は今日も君を求め彷徨う。

「今、会いに行くからね」

そして僕は飛び降りた。


ENDお題「梅雨」

6/1/2023, 2:27:36 PM