※この物語はメリーバッドエンドです。苦手な方や不快な方は回れ右してください。
お題「1年前」
「僕たちはこれが幸せだった。」
とある暑い夏の日。
1人の幼なじみがそう言った。
そして1年が経った今彼女と彼はもう居ない。
あれは1年ほど前の夏だった。
「千夏〜遊びに来たよ」
「あ!深春!」
「あ、深春やほ」
「秋人、千夏こんばんは」
病室に入り幼なじみの千夏と秋人に挨拶をする。
ベッドに横たわる彼女は手を伸ばしプリン!とドヤ顔をしながら言い放つ。
「はいはい笑」
箱から2つプリンを取り出し千夏と秋人に手渡す。
「プリンだぁ!!」
「僕まで良いのかい?」
「もちろん」
「ありがとう」
はしゃぎながらも、美味しいと食べ続ける彼女に笑みがこぼれる。
「ほら千夏口元付いてるよ」
「んぁ、ありがと秋人」
2人の世界に入り込んだ所を見守りながら病室を後にした。
そしていつもの様に次の日も病室へ行く。
だが、そこに居たのは白い布を顔に乗せて横たわっている千夏と泣きながら彼女に呼びかける秋人。
プリンの入った箱が、手から滑り降ちる。
「ち、なつ、、?」
「ぁ、み、はる、」
涙でぐちゃぐちゃな顔で振り向き私の名前を呼ぶ彼。
私は静かに千夏に近づく。
「ち、なつ、、?嘘、よね、?」
肌は青白く冷たい。
「ねぇ、昨日はあんなに元気だったじゃない、なんでなの、?」
「深春、嘘じゃ、ないんだ、」
泣きながらボソボソと喋っている彼は心做しか震えていた。
「いやよ、、いやぁ!!ちなつぅぅ!!」
泣きじゃくって千夏の身体にしがみつく。
「僕たちはこれが幸せだったんだ。」
秋人は窓から身を乗り出し飛び降りた。
「あき、ひと、?」
そして残ったのは私一人のみ。
体が強張り動かない。
何故なのか、幼なじみが2人死んだ。
そして騒ぎを聞きつけ医者や看護師が病室に入ってくる。
「大丈夫ですか!?」
「、、あああああああああああぁぁぁ!!」
私は狂った。
そして1年が経った今、2人の元へ旅立つ。
「これが私たちの幸せだね」
私は笑いながら飛び降りた。
そして死後の世界で2人とずっと幸せに、、。
「前世は幸せでした」
3人口を揃えそう呟いた。
6/17/2023, 5:04:35 AM