fukaziro

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8/13/2024, 12:26:38 PM

『心の健康』
2XXX年 __某日 とある薬が完成された

とある薬というものは「心から幸せだと思える薬」だ。
この薬を、接種すると1ヶ月の間どんな事でも幸福に
前向きに生活できるようになる。
嫌いな食べ物を幸せを感じながら食べることが出来たり、
苦手な人とも大切な存在だと感じられ、怖いことも快感に感じられるようになる。
このような薬を発表し、瞬く間に世界中に広がっていった。
そして、世界中の人々の心の健康、メンタルはケアされ
笑顔で溢れる世の中になり、世界平和に向かったと思われた。

数年後、この薬を使用することを禁止する法律が制定された。
なぜ人々を幸せにしてくれる、接種をすれば心の健康を保持できる薬を禁止にしたか。
理由は簡単であった。この薬を使った自殺が相次いで起きたのだ。確かに、死ぬのが怖い人は薬を飲めば快感に感じる。
結局は幸せとは、偽りにしか過ぎなかったのである。

8/10/2024, 8:41:07 AM

上手くいかなくたっていい。
『塞翁が馬』という言葉を知ってるだろうか
故事成語であり、人生の吉凶は分からないという意味である。
由来は、塞翁の息子が馬に上手く乗ることが出来ず、
落馬し骨折をしてしまった。しかし、骨折をしたお陰で戦争に行かずにすんだ、ということからきている。

だから、これは何かの間違いである。
そう雄弁に語る男は、たくさんの罪を犯し裁判所へ立っている。自らの上手くいかなかったことをあたかも、素晴らしい行いだと。逆に考えると上手くいっている最中だと。
狂ったように同じ言葉を繰り返し、ニタニタと笑う男を見て
傍聴席にいた女は皮肉に思った。
「上手くいかなくたっていいなんてものは、ないのではないか。自分が上手くいっても結局誰かは上手くいってない。
あの男が言った話も考えて見ると、確かに塞翁の息子にとっては戦争に行かなくてよかった、嬉しかっただろうが、政府などはどう思った?人員が足りなくて上手くいかなかったのでは?
だから、上手くいったや、上手くいかなくてもいい、上手くいかなかったなどなんてただの妄言に過ぎないのではないか」と。

8/3/2024, 5:24:00 AM

2XXX年 某日 一人の少女が目覚める

『ここはどこなんだろう?』
寝ぼけた頭を回転させ自分の部屋では無いことを疑問に思う
しばらくして、頭が冴えてきたのだろう少女が当たりを見回していた。
『ここは病室、?』
少女は、また疑問に思う。
なぜ自分がここにいるのか。どうやってここへ来たのか。
次から次へと湧いてくる「なぜ」を答えるものもなく、思考の海に溺れていった。

そこで、ありえない仮説が浮かぶ。
実はここは100年後以降の世界であり、自分が唯一の人間なのではないかと。興奮する様子の少女、その様子を見ながらボクは少女に話しかける。
『こんにちは、唯一の人間さん。これから君がボクの猫ちゃんになるんだよ』そう話終わるや否や少女の絶叫が響き渡る。
あれ?久方ぶりにこの言語を話したのだから間違えたかもしれない。まぁ前の猫ちゃんもこんな感じだったしまぁいっか。
そんなことを考えているものは、少女と同じ人間だった。
しかしそれは、少女を狙う誘拐犯で顔は同じ人間だと思えぬほどおぞましく歪な笑みを浮かべていた。

7/20/2024, 9:08:16 AM

視線の先には、私じゃない。あの子が映ってる。
羨ましいなんて感情はもうなくて、今は恨みや妬みに溢れてる

並んで笑う二人を見てられなくなってその場から逃げ出す。
「なんで、何もしなかったんだろう。かっこ悪いなぁ。」
いつの間にか涙が流れ落ち、自嘲気味に笑った。

7/19/2024, 9:49:27 AM

最近妹が生まれたの、とても可愛いのよ!
でもね、妹が産まれてから私ずっっっと『お姉ちゃん』としか
言われなくなっちゃったの。
私ちゃんと名前があるのに!
それにね、全然私のことを構ってくれなくなったの。
寂しいし、つまらないしでお母さんにそのことをぶつけたの。

ほーんとやんなっちゃうよ。いじけて歩いてた私に猛スピードの車が突っ込んできた。次の瞬間私は空をとんでいた。
―――あれ、ここは?お母さんなんで泣いてるの?
言おうと思ってたのに声が上手に出なかったみたい。
でも、お母さんは泣いて泣いてそして喜んでた。
それから毎日私のことを見舞いに来てくれて付きっきり!
それに名前も呼んでくれるようになったんだ!
あぁ、こうすれば私だけを見てくれるんだね。
いつの間にか私の口は三日月のようになっていた。

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