上手くいかなくたっていい。
『塞翁が馬』という言葉を知ってるだろうか
故事成語であり、人生の吉凶は分からないという意味である。
由来は、塞翁の息子が馬に上手く乗ることが出来ず、
落馬し骨折をしてしまった。しかし、骨折をしたお陰で戦争に行かずにすんだ、ということからきている。
だから、これは何かの間違いである。
そう雄弁に語る男は、たくさんの罪を犯し裁判所へ立っている。自らの上手くいかなかったことをあたかも、素晴らしい行いだと。逆に考えると上手くいっている最中だと。
狂ったように同じ言葉を繰り返し、ニタニタと笑う男を見て
傍聴席にいた女は皮肉に思った。
「上手くいかなくたっていいなんてものは、ないのではないか。自分が上手くいっても結局誰かは上手くいってない。
あの男が言った話も考えて見ると、確かに塞翁の息子にとっては戦争に行かなくてよかった、嬉しかっただろうが、政府などはどう思った?人員が足りなくて上手くいかなかったのでは?
だから、上手くいったや、上手くいかなくてもいい、上手くいかなかったなどなんてただの妄言に過ぎないのではないか」と。
8/10/2024, 8:41:07 AM