夜1時。
親に黙って、家の外に出た。
外は思っていたより明るくて
数十秒に一台、車が通るだけだった。
「あ、懐かしいな。ここ」
ふと、昔遊んだ公園が見えた。
「変わってないな〜。ジャングルジム」
俺の方が背高い〜とか言って遊んだっけ。
今じゃ上の所まですぐに手が届く。
なんか…胸糞悪いな。
上へ上へただただ向かって行くだけの遊具。
俺が今登ってるジャングルジムは
こんな上の方に簡単に手が届くものなんかじゃ、無いんだろうな。
「……って、考えすぎか」
ージャングルジムー
「何してるの、こんな所で」
『……何って、飛び降りようとしてるんだけど』
「ふーん、そっか」
『……止めないのか』
「止めて欲しいんだ」
『っ………てか、お前誰だよ』
『何処から話してんだ、姿ぐらい見せろよ』
「えー、やーだね」
「勇気の無い人には見えないのよ」
『……勇気があれば良いんだな』
視界が揺らぐ中、
女の子が笑顔で笑っていた。
ー声が聞こえるー
解説
勇気があれば見える子
ここから飛び降りれば、勇気があると証明できる
死にかけの男の子の目に映ったのは
笑っている女の子
この女の子は以前、ここから飛び降りて亡くなった
彼女は向こう側の世界から声をかけていた
9月20日、信じられないことが起こった。
私と彼と友達と放課後に
勉強を先生に教わりに行く予定だった。
でも友達が家の用事で帰った。
彼と2人で職員室に入って
ソファーに座った。
隣に彼がいる。一緒に座ってる。
爆発しそうだった。
先生に教わる時、正直彼しか頭になかった。
「〇〇(彼)って、〇〇さん(私)とは普通に話せるんやね」
先生が言う。
『え?どう言う意味ですか?』
私はすかさず聞く。
「いや、〇〇(彼)、女子が苦手やけんね」
…まじかよ。
彼の女友達の中でも、私って結構良い方なのか??
変に気持ちが昂った。
ー秋恋ー
体育の時間。
今日は先生が不在の授業。
そうなれば、やっぱりみんなまとまりがない。
バレーをやると決めたけど
みんな各々遊ぶ。
「バレーするから男子と女子それぞれ4チームに分かれてー」
友達がみんなに声をかける。
やっぱり、流石だな。
少しずつだが、みんな動き始めた。
『でしゃばり』
そう陰口を言う女子や男子がちらほらいる。
誰かがまとめなきゃいけないのに。
率先してやってくれているのに。
じゃあお前がやればいいやん
とでも言えばよかった。
私にはそんな勇気は無いから
凄いなって思うことしか出来ない。
ー大事にしたいー
「綺麗だね」
『…そうだね』
屋上から、君は空を見つめる。
そんな君を、僕は見つめる。
「…あ」
風で帽子が飛ばされる。
ぐっ…と君は前屈みに手を伸ばす。
ガクンッ
『え』
次の瞬間、君が視界から消えた。
血の気がスッと引いていくのがわかった。
ほんと、嫌なぐらいに。
その場から動く事ができなかった。
ただただ、時が止まって欲しいと
強く願う事しかできなかった。
ー時間よ止まれー