君たちはきっと
夜景って聞いたら都会をイメージすると思う。
不思議だよね。
夜景って、夜の景色って意味なのに
田舎の夜景が想像できないんだもの。
まあ、都会の方が華やかではあるのか。
でもさ、田舎もいいと思う。
街灯が何処にもなくて
代わりに空に浮かぶ星や月が
自分達を照らしてくれる。
人工的な光じゃなくて天然的な光。
そう考えたら
田舎の方が華やかな気がしてこない?
ー夜景ー
「違う。これじゃない」
「間違えないように、潰さないと」
グシャ…グシャ…っと
花を何度も踏みつける。
「どこに咲いてるの。私の花」
広大な花畑を見渡しながら
違う花をいくつも踏みつける。
「…あ」
その花の周りには
綺麗に咲いた花なんて無かった。
「……あれ」
周りの変化に耐えきれなくなったのか
はたまた自分で潰してしまったのか
探していた、たった一輪の花は
色褪せ、枯れていた。
ー花畑ー
もし、花畑が地球だったら。
花が人間で
探していたのが運命の相手だったら。
踏みつける事が、暴言を言う事だったら。
……なんてね。
「………あ、雨…」
本当に、空なんて嫌い。
なんで、泣く寸前で雨なんか降るのよ。
空は私に泣いて欲しくないの?
そんなことを考えてたら
自然と涙が引っ込んだ。
「バッカみたい…。なに空に抵抗してんだよ」
無理やり笑って見せた。
ふと、死んだ君の顔が浮かんだから。
「やっぱり…見えてるのかなぁ」
私はずっっと高い空を見上げた。
「…大丈夫。頑張るから」
そう呟いたら
空も、心も、少し晴れたような気がした。
ー空が泣くー
すきな人が出来た
そうなん?おめでと
ききたい?
いや…別に
でも、ちょっと不安
すきな気持ちが無くなりそう
なにそれ
好きなんじゃないの?
……やっぱりなんでもない
忘れて。
は?どゆこと?
その後、俺は後悔した。
頑張って告白してくれたのに、
気が付かなかった俺が悪かった。
あんな対応…。
そりゃ好きな気持ちは無くなるよなぁ……。
俺も好きなのに。なに勝手に拗ねてんだよ。
ー君からのLINEー
「どんな事があっても、君を助ける」
今の妻にプロポーズした時の言葉だ。
たとえ、自分の命がどうなろうとも助ける。
そう、誓ったんだ。
……なのに。
……なのに、なんで今、君は
「来ないで」って言うんだ。
俺は決めたんだ。
君が望んでなくても。
「今助けるから!!!」
燃え盛る炎の中にいる、
瓦礫に埋もれた妻に伝えた。
どんな事があっても、命に変えて助けるって
言っただろ?
ー命が燃え尽きるまでー