「あんたなんか、大っ嫌い」
幼馴染と喧嘩した。
半泣きの君に僕は一言。
『そんなの、思ってないくせに』
何年君の隣にいると思ってるんだ。
どんなことでもわかるに決まってる。
嘘をつくときの癖も。
だからわかる。
本当は喧嘩なんかしたくない。
こんな事言いたくないって。
バレバレなんだよ。ほんと。
俺の前ぐらい…素でいろよ。
ー些細なことでもー
「君は僕にとっての太陽だ」
なんて、馬鹿馬鹿しい言葉。
私なら、
「僕の灯火になってくれ」って言うね。
太陽なんて、自分で光ってるつーの。
君がいないと僕は生きていけないってのが灯火だ。
もっと相手に必要性を示さないと。
私じゃなくてもいいって思われるよ?
…少なくとも私は…。
ううん。なんでもない。
ほら、さっさと告白してこいよ。
あんた(と私)の気持ちが変わる前にさ。
ー心の灯火ー
知っている。
本当は全部。
貴方の「大好き」も「愛してる」も
全部偽りだということを。
最近、彼はスマホを常に持ち歩いていた。
察した。
LINEだ。女だ。
パスワードは知ってる。
開けばいいのに…見て確かめたらいいのに…。
開きたくない。見たくない。
彼との関係を終わらせたくない。
浮気する最低な彼だけど、
私を愛していた時期はあったと思うから。
ー開けないLINEー
「なんでこんな事も出来ないかな」
「貴方は私の理想であってほしいのに」
『ごめ…ごめんなさい…』
『こ、今度は完璧にこなすから…』
「………」
「……何か…変な勘違いしてるんじゃないかな」
『……へ…?』
ガシッ
『うっっ…!』
「貴方は何で何もかも完璧にこなすのかな」
『…え』
「…いい?」
「私の理想は不完全な貴方なの」
「全部出来たら困るのよね」
「貴方はただ、私の為に」
「不完全な貴方を完璧に演じればいいだけ」
「こんな事も出来ないなんて」
「育て方を間違ったわ」
ー不完全な僕ー
「なんかお前、匂い違くね?」
『あ、わかる?彼女が最近くれたんだよ』
『このローズの香水』
「へー、いい彼女じゃん。それ高いやつだろ?」
『そうそう。ほんとありがたいわ』
………。
《え、あいつそんなこと言ってたの?》
「…そうだけど……どした?」
あいつの彼女の〇〇。
〇〇とは幼馴染でこうしてよく話している。
《……いや…》
《確かに…前、誕生日の時香水あげたけどさ…》
「…けど?」
《………私があげたのって》
《ローズじゃなくてラベンダーの香水なんだよね》
ー香水ー